カイトを演じたから200年くらいは生きたくなりました(笑)
皆さんの胸の中にぽつんと気づく、最終回をお見逃しなく!

人間界に降り立った未熟者のルカ(中山優馬)を立派なヴァンパイアにすべく導く、400年以上生きてきた一流ヴァンパイアのカイト(近藤真彦)。神出鬼没で、カッコよくて、セクシーで、しかもユニーク。絶大な存在感のカイトを演じきった近藤さんに、クランクアップ直後にインタビューしてきました!

――3カ月の撮影を振り返っての感想をお願いします。
連続ドラマが11年ぶりの緊張感も、現場のアットホーム感もありました。レースの仕事、歌の仕事、役者の仕事と、僕はいろんな仕事に出かけていくわけですが、この3カ月間はここが帰ってくる場所、家族のような現場でした。他の出演者の方やスタッフの皆さんも同じだと思います。そして、3カ月が過ぎると、またみんなそれぞれの家族のところへ行っちゃうっていう、寂しさのようなものもあります。僕は変わった役だし、ペチャクチャとセリフも多かったし(笑)、楽しかったけど楽しいだけでなく、いい仕事をしようというプレッシャーもありました。
――“ヴァンパイア”役の出演依頼があった時はどう思われました?
“ヴァンパイア”と言われてもいったいどんなものなのか、手探りからのスタートでした。とはいえ、本を読んだり映画を見たりということはしないで、自分なりの演じ方をしようと。演じ始めて日が経つにつれ、面白いな、と思いましたね。もっとこんな風に演じてみよう、あんなヴァンパイアがいたらカッコいいなと、そう思い出したら最終回が近づいちゃって。いつかこの“ヴァンパイア”の役をもう一度やりたい、ドラマでも、映画でも。せっかくきっかけをつかませてもらったので、もう一度やってみたいと思うんですよ。ヴァンパイアにはいろいろな演じ方があると思うんです、僕の中でさえ何パターンかの“ヴァンパイア像”がどんどん生まれましたしね。カイトの基本にはブレない筋が一本通っているんですが、場面によっては相手を喜ばせるようなことを言ったりやったり、意外と表情が豊かなんですよね。それが…、そうだな。最後にちょっとだけ、カイトの太い筋を揺さぶったのが…、ルカ、だったのかな。
――牙の着け心地はいかがでしたか?
子どものころ、祭りの縁日で買ったようなかわいい牙を着けたことがありますけど、本格的なのは初めてで。特殊メイクさんに型をとってもらったんです。出来上がった牙を着けて鏡を見たら、「お、牙だ…!」みたいな。これがまた、監督が無理なことを言うんですよ。「牙を着けたままセリフをしゃべってくれ」と。しゃべれませんよね(笑)。着け外しするのも歯の裏に留め具があってなかなか大変なんですが、自然に見えていたなら成功でした。
――その牙が生えたヴァンパイアとして400年以上生きてきたカイトですが、特殊な設定の役を演じるに当たっては?
実は僕も途中で400歳ということに気付きました(笑)。何歳だろう? と疑問に思いはしていたんですが、ある日台本を見て知りまして「ええー!」と。
400歳以上の年齢という背景は、もちろん演じる上で意識もしましたが、それ以上に、このドラマを通して、テーマの一つであった“永遠の命”について感じました。果たして“永遠の命”は本当にいいものなのか、悪いものなのか…。僕本人は、永遠の命って魅力だなと思いますけど、ドラマの中でルカに教わったというのもなんですが、人間って終わりがあるからこそ、楽しめたり、悲しめたり、いろんなことができるのかなって思います。今、人間の寿命は長くなったとはいえ100年も生きれば十分長生きしたと言えますよね。ただ、僕はカイトを演じちゃったものですから、せめて200年くらいは生きたくなりました。400年もいらない、まして永遠もいらない、でも200年は生きたい(笑)。カイトを演じていて、100年では味わいつくせないだけのものが人間にはあるような気がしました。何歳までに学校を卒業しなきゃとか逆算して生きていますが、200年生きられるなら大学卒業は78歳くらい? 100歳くらい? そうすると就職をしてから長くなるのか…。そりゃ大変かな(笑)。
――元人間というカイトの背景を最初からご存じで?
もちろん。ルカと同じように人間だったから、ルカの気持ちが分かるという目線ですよね。過去の経験からルカにどうアドバイスをしていくのか。ただし、このことは、最初から最後までバラせないからジレンマで、3話くらいで言いたかったです(笑)。毎回、「次の満月までに血を吸わないと消える」ということだけ言い続けました。これがまた、満月がなかなか来なくて(笑)。
――カイトの能力の中で、実際に使ってみたいものはありますか?
瞬間移動が一番楽しそうですね。あと、透明人間になれるのもいいなぁ。でもやっぱり、それができないからいいんじゃないかな、と思うよね。できないから憧れるのだし。なんでもできたら逆につまらないし、透明人間になったらいろんな人の秘密が分かっちゃって、おかしくなりそう(笑)。冷静に考えると人間が一番いいのかな、というところに戻ってきますよね。
――カイトとルカは、親子、兄弟、あるいは友人と、どれでもあってどれでもないような不思議な関係。どれがしっくりしますか?
そこですよ。親子じゃない、兄弟じゃない、まして友人でもない。永遠を共にするパートナーなんですよね、恋人でもないし…。難しいですね。永遠の命がお互いにあれば成立する関係ですけど、永遠がなければないでしょうね。
――優馬くんは、近藤さんとの共演を楽しみにも緊張にも思って取り組んでいました。
こうしなさい、ああしなさいと、先輩面して言いたくはなかったんですが、この3カ月間を共にすることで、いろいろ感じ取ってくれたことはあるかなと思います。役者として歌手として、一生懸命に長くがんばってやっていくためには、こうすればいいんだな、ああしたほうがいいなと、僕を見て分かってくれたことがあればいいですよね。僕も言葉では直接言わないし、ぜんぜん違うことに例えてお話しするだけなんですが、そこを感じて吸収してくれたものはあったかと思うと、よかったですよ。逆に、「マッチさんのここは真似しちゃいけない」もあったと思います。(笑)
――さて、いよいよ最終回が来ますが、この結末をどう思いましたか?
切ない…、ですよね。ルカと真琴(加藤ローサ)のラストシーンも、僕(カイト)も。
でも、永遠の命と、男女の恋愛感情と、うまく言葉にならないんですが、そこにある思いを、皆さんもここまでのドラマをご覧になりながら感じてきたと思うんですよ。それは、出演者もスタッフにも、それぞれの胸にある思いではないかと思います。そんな思いの何かが、このドラマを通じてぽつんと胸に生まれたならば、いい作品として完成したと思います。

ただ、ちょっと引っかかっているのは、前半には、女性の首に噛みついたり、獲物の裸の女性がベッドに横たわっていたりとセクシーなシーンが多かったのに、3、4話くらいから減って、5話以降なくなったこと! うーん! 心残りですねぇ! せっかくの役得だったのに(笑)。毎話カイトのねぐらのホテルのシーンがあって、スタジオに入るたびに、今日はどの女性が寝ているのかしらと思えば、ある時から気づいたら寝ているのはルカですから。ちょっとショックだったかな(笑)。
いよいよ最終回です。永遠の命、死生観、男女の恋愛観と、いろいろな思いを感じていただけると思います。僕らみんなで丁寧に作りました。ぜひ楽しんでくださいね。