第62回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要
2025年2月18日
日時 |
2025年2月18日(火)13時~14時30分 |
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場所 |
関西テレビ放送 |
出席者 |
難波功士委員長、赤松純子委員、丸山敦裕委員 |
関西テレビ出席者 |
大多代表取締役社長、喜多専務取締役、小杉取締役、岡取締役、高島コンプライアンス推進局長、事務局 |
1.芸能関係者との会食に関する社内調査の実施について
フジテレビに端を発する一連の事案を受け、関西テレビから、全社員を対象とした社内調査に着手したことが報告された。芸能関係者との会食の場での性的なトラブルの有無等を問う内容。これに関連し、企業ガバナンスの在り方などについて以下、意見交換を行った。
委員からの意見
- フジテレビの事案を機に、関西テレビにも残っている男性中心の企業風土を見直さなければならない。
- メディアは、視聴者との信頼関係で成り立つので、一般の民間企業よりも厳しいコンプライアンス意識が求められる。
- フジテレビからのCM離れにより、広告主がテレビCMの効果について疑問を抱き始めている。CM離れ・テレビ離れについて留意しなければならない。
- 社内へのアンケート調査は非常に良い試みだ。記名式にしたのも理解はできる。ただし、アンケートだけでなく、内部通報制度を安心して利用できるような体制づくりも必要だ。
- 「性的被害」という言葉の範囲や定義をはっきりさせておいた方がよい。
- 日本には、実際の公正さよりも、外見上の公正「らしさ」を重視する風土がある。幹部社員の構成や組織体制などに不審さがないことが、企業ガバナンスに要求されているかもしれない。
関西テレビからの報告
- 社内調査は2月中旬から下旬に実施し、3月中に結果がまとまる予定。
2.BPO関連
(1)TBS「熱狂マニアさん!」BPO放送倫理検証委員会審議入り
審議入りしたTBS「熱狂マニアさん!」の事案について事務局より報告があった。
同番組で指摘されている広告と番組の識別の問題に関して委員から以下の意見があった。
委員からの意見
- 民放連の放送基準に定める広告の基準と実際の番組づくりとの間に、齟齬が出始めているのではないか。
- 番組の演出であっても、広告と取られかねない要素はある。関西テレビの番組制作でも気を付けなくてはならない。
- 直接宣伝する目的で番組を作ったのか、間接的に宣伝効果が出てしまったのかは分けて考える必要がある。その上で総合的に考え、度を越しているところがあれば問題となる。
- 審議入りした放送回で取り上げた販売業者は、過去に2回同じ番組で取り上げられていた。同じような企画を何度もやるうちに、エスカレートしてしまったのではないか。
(2)テレビ東京警察密着番組 BPO放送倫理検証委員会で「放送倫理違反」
テレビ東京の“警察密着番組”に、BPO放送倫理検証委員会で放送倫理違反との判断が出された。
上記について事務局より報告があり、委員より以下の意見があった。
委員からの意見
- BPO意見書で、不起訴になった事実を番組で取り上げなかったことが問題視されているが、不起訴と無罪は違うことも世間に伝えてほしい。
(3)BPO放送人権委員会 近畿地区意見交換会報告
BPO放送人権委員会と放送局との意見交換会が2月に開催された。兵庫県知事選をめぐる選挙報道が主なテーマで、放送局各社から反省点も出た。BPO委員からは、選挙報道に求められる政治的公平性とは量的公平性より質的公平性であるとの指摘があり、ファクトチェックの実施や、告示後に明らかになった重要な事実の報道により、量的公平性から脱するよう提言があった。また、取材者に対する個人攻撃への対応策等についても話し合われた。
上記について事務局から報告があり、以下、意見交換を行った。
委員からの意見
- 生成AIによる偽情報も発生しており、ファクトチェックが難しくなっている。
- 政治的公平性について量的公平性よりも質的公平性を重視するBPOの意見に強く同意する。量的公平性に振り回されるあまり、報道すべきことも報道しない消極的な姿勢があったのではないか。
- 告示後に明らかになった重要な事実についても、質的公平性を確保しながら報じることは可能だ。消極に走るのではなく、むしろ情報は提供した上で、質的公平性確保のためにアプローチするよう、関西テレビに望む。
- 時間で判断できる量的公平性に比べ、質的公平性を保つことは非常に難しいが、積極的に挑んでほしい。
- ファクトチェックといえど、100% 正しい情報を伝えることは不可能で、主観や主張が入る。複数人の目でチェックし、なるべくフラットにした上で、どのような取り上げ方にするかを考える必要がある。
- 起きた出来事に対する評価や補足の情報も合わせた上で、一つの報道はできあがる。事実を事実のまま報道するといっても難しさがある。
関西テレビからの意見
- 選挙報道における質的公正性の問題については以前から突き付けられている宿題だ。投開票日に集中して情報を伝えるよりも、投票を促す、投票の選択肢を有権者に提示するようなプロセス重視の報道が求められている。
- ファクトチェックについては対象や方法に関する指針作りを進めてトライしていかなければならない。
- 取材者を誹謗中傷や個人攻撃から守る対策も考えなくてはならない。意見表明や法的措置も含めて検討している。
- ネット上のデマや生成AIによる偽情報の問題が起きている中で、視聴者に信頼できる有益な情報をどう伝えるか、時代と社会とに対応し、アップデートしなければならない。
3.オンブズ・カンテレ特選賞について
オンブズ・カンテレ委員会特選賞について、賞の創設当時と状況が変化しており、見直していることが関西テレビから報告された。
4.委員会直接通知について
この期間における社員等からの直接通知案件は無かった。
次回委員会日程について
2025年5月開催予定
以上