番組審議会 議事録概要

No.660 2025.1.16

「超アスリートVS芸能人 野球&駅伝&忘年会ガチすぎるにもほどがあるSP」(12/31放送)について審議

放送日時
2024年12月31日(火)
15:00~16:50
視聴率
個人全体3.0%(占拠率15.6%)
オブザーバー
スポーツ局 スポーツ部 プロデューサー
田中 潤

参加者

委員

委員長

上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)

委員長代行

難波功士(関西学院大学 社会学部 教授)

井上章一(国際日本文化研究センター 所長)
上野信子(ジャトー株式会社 顧問 関西国際交流団体協議会 理事)
黒川博行(作家)
高江洲ひとみ(弁護士)
通崎睦美(木琴奏者)
中村 将(産経新聞社大阪本社 大阪代表補佐兼編集局長兼写真報道局長)
早嶋 茂 (株式会社旭屋出版 代表取締役社長)

(敬称略50音順)

関西テレビ

大多 亮 代表取締役社長
喜多 隆 専務取締役
高島公美 コンプライアンス推進局長
坂口隆晴 編成部長
乾 充貴 制作部長
西澤宏隆 スポーツ局長
松林正和 技術推進局長
江口 茂 報道情報局長

議題

  • 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(11月分、12月分)報告
  • 審議番組 「超アスリートVS芸能人 野球&駅伝&忘年会ガチすぎるにもほどがあるSP」
    [12/31(火)15:00~16:50放送]
  • その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等

第660回番組審議会では、11、12月分の視聴者対応報告のほか、スポーツバラエティ番組「超アスリートVS芸能人 野球&駅伝&忘年会ガチすぎるにもほどがあるSP」について審議された。委員からの意見は下記に記載。

 超アスリートVS芸能人 野球&駅伝&忘年会ガチすぎるにもほどがあるSP
番組概要

「超アスリートVS芸能人 野球&駅伝&忘年会ガチすぎるにもほどがあるSP」
(12/31放送)
スポーツ界や芸能界の著名人たちが集まり、野球や駅伝などで対決する年末恒例の特別番組。今回は2024年を締めくくるにふさわしい豪華企画3本建て。「プロ野球レジェンド軍VS芸能人オールスターズ」のガチンコ野球対決。阪神タイガース、オリックス・バファローズ、松竹芸能、NMB48など7チームによる異種混同の駅伝バトル。さらにはアインシュタインが、元阪神の鳥谷敬氏と共に、世界で戦うアスリートをおもてなしするスペシャル企画「アスリートホームパーティー」を放送。

委員からのご意見

【ガチンコ野球対決について】

  • スポーツが好きな人がリラックスして見るならこれはこれで面白いのかなと、思った。
  • 野球はちょっとだらだらしていて途中でダイジェストの回もあったが、特に野球が好きでなければわからない感じだった。
  • 野球はイニング数5回、放送時間50分はちょっと長いなと思う。
  • スポーツにあまり興味がない私にとっては、野球のパートを見続けるのは結構しんどい。しんどいなりにも点が入ったら「おおっ」となって面白いなと思うし、監督の作戦が功を奏したら「すごいな」とは思うが、これをテレビの前でずっと座って見るかと言われたら多分見ないとは思う。初心者というか、あまりスポーツになじみがない人にとっては、野球のVTRは、ちょっと難しいパートだったのかなと思った。
  • 野球は、辛うじてスポーツの世界をちょっと感じさせる部分があった。気になったところは、変なギャグを使ったこと。このギャグによって野球の持っているスポーツ面のよさが全部吹っ飛んでしまうような気分を持ってしまった。
  • 鈴木福さんが投球されているのを見て、あの小さかった福君が大人になったな、すごいなとしみじみ思いながら見ていた。

【駅伝バトルについて】

  • 駅伝の部分はよかった。駅伝は結構差があっても最後に逆転してしまうようなスポーツ。実際、本当に一生懸命みんな走っていて逆転した。抜いたり抜かれたりで。そこがかなり面白かったなと思う。チームの色分けも工夫していたと思うし、さらにチームのバリエーションを増やすことでスリル感も出るのかなと感じた。
  • 苛酷なコースであることは現役の野球選手がへとへとの様子とか、コースの映し方からも伝わってきた。その中で、山本有真選手の走りがやっぱりメルクマールとなって、全体の中でトップアスリートの走り方、すごさがわかった。これだけ違いがあるのかと。
  • 駅伝は本当にシンプル。どこが勝つかいうのは普通に面白く見た。だからあまりこねくり回さんと普通にシンプルにこういうスポーツを扱った番組にすればもっとましなんかな、もっと見られるんかなというふうに思った。
  • 野球と駅伝は取りあえず競技を見ているだけでもそこそこ楽しめたし、ハンデのつけ方がうまかったのでワンサイドにならず、駅伝もどのチームが勝つかわからないみたいな興味は持てたからその辺も結構楽しんで見た。
  • 駅伝は普通に楽しく見られたが、チーム分けがあまりピンとこない。タイガースが野球チームとかはわかるが、吉本と松竹の違いとかもあまりふだん意識していないので、そこがチームになっていてもいまいちピンとこない。

【アスリートホームパーティーについて】

  • 「忘年会」を鳥谷さんのお宅でやっている設定のパートが印象に残った。確かに出演者がお酒を飲みながら何か食べたり、はしゃいだりするだけで、それを不快に思う視聴者もいるのかもしれない。しかし、何でこれが何となくいい感じがしたのかなと考えたときに、ちょっと「さんまのまんま」的な雰囲気があった。レスリングの鏡さん、ゴルフの山下さん、阪神の森下さん、全く違う別々のジャンルの人をチョイスしたのがむしろよかったのかなと思った。
  • レスリング、ゴルフ、野球にそこまで関心のない人でもトーク番組として見ればクスッと笑えるような場面もあったのかなという心地よさはあった。
  • アスリートホームパーティー、全体的に興味深く、それぞれのアスリートの人柄とかも伝わってきた。トリセツ(取扱い説明書)という切り口でアスリートを他己紹介するというのも面白かった。手土産の紹介なども親しみが湧いた。
  • 忘年会については、もしかしたらあまりスポーツに興味ない人にとっては入りやすい入り口のつくりになっているのかなとは思う。ただ、視聴ターゲットとして今回の番組を見そうな人たちがここに面白いと感じるかどうかはまた別の話なのかなと思った。
  • まだ入団して2年目の森下選手がおちょくられているのを見ると、テレビの批評というより阪神ファンのぼやきでしかないかもしれないが、もうちょっとそっとしといてあげたほうがいいんじゃないかなと思った。
  • アスリートのホームパーティーの安っぽさは何なのか。レスリングとゴルフのプロの選手が出ているのであれば、それはプロの芸をプロがプロであるプレーを見たい。飲み会でわあわあ言っているようなところを見たくない。だからYouTubeの番組観が強い。YouTubeでこういう番組はたくさんやっている。
  • いただけなかったのは、ジェスチャーゲームの罰ゲームで大辛のたこ焼きを負けたチームに食べさせること。もうそろそろこういうようなことで出演者の反応を見て楽しむというような形はちょっと時代が違うのかなというふうにも感じた。
  • 罰ゲームは本当にハラスメントとして取られかねないし、本人たちが楽しんでやってくれていたとしても見る人がちょっと嫌な気になってしまうというふうに世の中の雰囲気が変わっているんじゃないかなとは思ったので、そろそろ考えたほうがいいのかなとは思った。
  • レスリングの金メダリスト(鏡選手)が試合中に眼底骨折になった話をされた。もし自分の痛みが審判にわかってしまえば直ちに退場というようなことになりかねない。ここは頑張ってやり抜くしかないというようなことを言っておられた。スポーツ選手の気概みたいなものを感じて唯一の見どころかなと思った。
  • 鏡選手が眼底骨折を隠して出場した話をしていた。鳥谷さんも顔を骨折して試合に出続けたことがあったが、現場でその話をしていたか。
    (田中プロデューサー回答 鳥谷さんはその話はしたくない、比べるところではないとおっしゃっていました。鏡選手へのリスペクトだと思いますが、自分の骨折と比べたくないということでした)。
    鳥谷選手、立派やね。

【番組全体について】

  • 最初から最後まで飽きずに、笑いながら、面白く拝見した。アスリートの皆さんの素が垣間見え、今後の競技の活躍も応援したくなるような選手を発見したところが面白いところだった。出演者が、それぞれ一生懸命に見えて、好感が持てた。野球とか駅伝というスポーツを通してだから、自然とガチになるのかもしれない。
  • 大みそかに肩肘張らずに気楽に見る番組だと思えばこれでいいのだろうが、駅伝が一番シンプルで言わばストレートなつくりで腑に落ちたが、野球とアスリートのトークはどちらもカメラを意識した受け狙いの楽屋ネタの披露のように思えた。
  • バラエティの悪い面を取り入れて無理やりに笑わせようあるいはにぎやかにしようと、何かそういう厚化粧をすることがバラエティ番組が見られるポイントだと思って制作しているような感じを受けた。
  • テレビ出演も必要だとは思うが、アスリートと芸能人との境目がどんどんなくなってきているなという現実を改めて突きつけられた思いで見た。
  • 面白いキャラを持っているアスリートがいますよ、どうでしょう、楽しいでしょうというのがちょっと見ているほうもしんどくなりつつある。ガチのアスリートとしての姿とかすごさみたいのを感じたい。
  • アスリートの方でも、テレビの発言がある部分だけ切り取られ、むごい扱いを受けることが間々あるので気をつけてあげてほしい。

    上記のご意見への返答

    アスリートと芸能人の境目については、自分自身も葛藤しました。芸能人と共演する中で、普段の真剣な表情以外の姿を見せるのもメディアの役割と考えました。笑いという部分ではアスリートは素人であり、普段の取材以上にリスペクトを忘れないようにしました。SNSで切り取られて拡散させることが確かにあります。特にトークにテロップが載った部分が拡散され、本人がこんな発言をしたかのように拡散されてしまうことがありますので、本人にマイナスになるようなテロップはトークの場面に載せないよう意識しました。リスペクトを忘れない番組作りをこれからもしていきたいと思います。

    プロデューサー 田中 潤

  • 統一性がない3本のVTRがまとめて番組になっていた。これを例えばそれぞれを個別に放送するには時間がもたないだろうし、まとめて放送するしかないのかなと思いはするが、パッケージというか、軸がそもそも3本のVTRにないので、見やすいか見にくいかというと、そこまでスルッと見ることができる番組ではないのかなと思った。
  • 野球の対決も駅伝も何年も続いているということ自体びっくりした。恐らく毎年手を変え、品を変え、いろいろなパッケージで放送しているんだろうなと感じた。
  • スポーツに特に興味がない人も見られるように工夫してもらったらよかったんじゃないか。
  • 多分(スポーツの)初心者向けというか、あまりなじみのない人向けになると物足りないと感じる人もいるだろう。むしろスポーツを好きな人に振り切ってつくったほうがいいのかどうかというところで、クオリティを上げて見たことがない人も興味を引くような番組にするのかどうかという方針もあるが、どんな番組がいいかという点を考えると、やはり難しいなと感じた。
  • バラエティというのは難しい。本当にそれを実感した。大みそかのこの時間帯2時間、何か番組をつくれというふうにプロデューサーは言われて、さて何するかといったときに今までやってきたのと同じようなことをするしかないなというふうにお考えになったと思う。そういう意味で、ここで新しい企画を立ち上げるというのがいかに難しいか、というのが本当によくわかった。でも何か新しいことをしないと前に進まないと思う。同じことばかりしていると。

委員のご意見を受けて

スポーツ局 スポーツ部
田中 潤 プロデューサー
普段制作している中継やドキュメンタリーといった形ではなく、スポーツバラエティというジャンルでアスリートを描くことは自身が一番葛藤している部分ではあります。今回の審議会でスポーツバラエティの表現方法の難しさを改めて感じましたし、多くいただいた厳しいご意見を力にし、また自身の葛藤への答えを探しながら、今後の番組作りに活かしていきたく思います。ありがとうございました。