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【独自】「娘は取り乱して泣いていた。本当に卑怯で許せない」性的暴行被害を受けた女児の父親が語る怒り02月19日 11:30
■大阪府内の集合住宅で小学生の女の子10人に性的暴行の男に無期懲役
10人の小学生が、性的暴行などを受けた事件。
被害にあった女の子の父親が取材に応じ、今も続く苦しみを打ち明けました。
裁判所は「悪質の極み」と指摘し、被告人の男に無期懲役の判決を言い渡しました。
■警察から「娘さんが事件に巻き込まれてる」と連絡 「まさかうちの娘が…」
【被害にあった女児の父親】「警察の方から連絡をいただいて、『(娘が)事件に巻き込まれてる可能性があります』ということで、まさかうちの娘が…」
関西テレビの取材に対し、初めて悲痛な胸の内を語ったのは、大切なわが子が性犯罪事件の被害にあった父親です。
【被害にあった女児の父親】「娘が取り乱して泣いていたので、とりあえず落ち着かせて。自分よりも力の弱い子供をターゲットにしてというのは、本当に卑怯で…許せないです」
柳本智也被告(28)は、2016年からおよそ6年間にわたり、大阪府内の集合住宅で、小学生の女の子合わせて10人に性的暴行を加えるなど、複数の罪に問われています。
■犯行の前から被害児童や家族を見張り「探偵ごっこ」 入念な犯行計画
初公判で起訴内容を認め、「身勝手な行為で、被害者に精神的苦痛を与えてしまった」と謝罪した柳本被告。
裁判員裁判では、入念な犯行計画も明らかになりました。
【柳本智也被告(28)】「(被害者の)全てを知りたいという、『探偵ごっこ』の一部」
柳本被告が語った「探偵ごっこ」。最長で犯行の11カ月も前から、被害児童や家族を見張り…。
【柳本智也被告】「ターゲット3時57分帰宅」
時には動画や写真も添えて、外出や帰宅の時間などを詳細に記録し犯行に及んでいました。
被害者にカッターナイフを見せながら、「泣いたら殺すぞ」などと脅すこともあったといいます。
■柳本被告「支配欲みたいなものもあった。相手(被害者)が嫌がっていると認識できていなかった」
【検察】「事件を起こしたのは、なぜ?」
【柳本智也被告】「今思うと、支配欲みたいなものもあったのかなと思います。相手(被害者)が嫌がっていると、認識できていませんでした」
【検察】「泣き叫んだりしているのに、嫌がっているとは思わなかった?」
【柳本智也被告】「思い込みが激しいというか、非現実的な世界に入り込んでいました」
検察は「執拗で、被害者の人権を無視した卑劣な犯行」として、法定刑上限の無期懲役を求刑。
一方、弁護側は「柳本被告は被害について理解し、生涯をかけて償うつもりである」とし、有期懲役刑を求めました。
■「娘の人生を返してくれ」 事件後、1人で自宅にいることを怖がるようになった娘
裁判を傍聴してきた被害者の父親は…。
【被害にあった児童の父親】「許されるんであれば、その場で(被告に)飛びかかっていた。娘の人生を返してくれと言いたい」
事件後、女の子は1人で自宅にいることを怖がるようになりました。
目をそむけたくなる、現実。
それでも裁判を傍聴したのは、ある思いからでした。
【被害にあった児童の父親】「自分がもしかしたら、あの時、守ってあげられていたかなと、そういう気持ちがどこかにずっとあって、後悔することが、ただただあったので。知りたくないこともあったので、つらかったんですけど、やっぱり親である以上、知っておかないといけないのかなと」
(Q.判決を前に思うことは?)
【被害にあった児童の父親】「求刑通り、無期懲役になってほしいと思います」
■「卑劣・悪質の極み」「高度な計画性」と裁判所は指摘 被告人が裁かれても苦しみは続く
そして迎えた18日の判決。
裁判長は被告人に無期懲役の判決を言い渡し、こう指摘しました。
【大阪地裁 伊藤寛樹裁判長】「各犯行は健全に育成されるべき女児らを狙って、人格の根幹を傷つけたもので、卑劣・悪質の極み」
さらに、「高度な計画性を備え、性的加害は個別に見ても重い部類で、被告人に対しては無期懲役をもって臨まざるを得ない」としました。
閉廷後、柳本被告はうなだれた様子で、刑務官に連行され法廷を後に…。
■裁判員「目の前にすると、かなり重たいものだった」
審理にあたった裁判員は、会見に応じ審理にあたった心境を次のように話しました。
(Q.苦しんできた被害者側の証言など踏まえて感じた事は?)
【裁判員(30代会社員)】「目の前にすると、かなり重たいものだったと思いました。このようなひどい事件が起こらなくなれば一番いいのかなと思っています」
■「普通に恋愛して、普通に結婚してくれたらいいが、男性恐怖症になってしまわないか」
判決の前、父親は娘の将来についてこのように語っていました。
【被害にあった児童の父親】「普通に恋愛して、普通に結婚してくれたらとは思いますけど、男性恐怖症みたいな感じになってしまわないかなと、そういう心配はありますね」
子どもを狙った卑劣な犯行。
被告人が裁かれても被害者や家族の苦しみは続いています。
■父親「本音としては死刑になってほしかった。親が死んでいなくなった後も、娘は1人で背負っていかないといけない」被害にあった児童の父親は判決を受けてコメントしました。
【被害にあった児童の父親】「本音としては死刑になってほしかったけど、無期懲役になったのは良かったと思っています。ただ、娘や家族としては、受けた被害のことは一生忘れることはないし、親が死んでいなくなった後も、娘は1人で背負っていかないといけないので、すごくつらいと思う」
判決は下されましたが、被害に遭った女の子、そして家族の心の傷は、決して消えることはありません。
(関西テレビ「newsランナー」2025年2月18日放送)