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妻の命奪われ22年「怒りはまだ収まっていない」犯人逮捕へ「わずかな情報でも」街に立ち呼びかける夫02月22日 09:01
2003年に神戸市須磨区で帰宅途中だった寺田和子さん(当時44歳)が殺害されてから、21日で22年となった。
犯人はいまも捕まっておらず、寺田さんの夫は街頭に立って情報提供を呼び掛けた。
情報提供は兵庫県須磨警察署078-731-0110で受け付けている。
■「悔しい気持ちは変わっていない」手がかりを求めてチラシを配る夫
「情報提供をお願いします」。
神戸市須磨区の神戸市営地下鉄・妙法寺駅。
22年前のこの日、命を奪われた妻のために、寺田さんの夫は警察官たちと共に帰宅途中の人たちに声をかけ、情報提供を求めるチラシを手渡した。
【被害者・寺田和子さんの夫】「当時の気持ちとか場面っていうのはすぐ思い浮かべますし、悔しい気持ちというのは、未だに変わっていない。
まだ怒りが治まっていないっていうのを毎年、毎年、改めて確認するという、そういった作業になっているような気がします。
今年も当時の怒りというか、憤りを思い出しています。いつまでたっても忘れることはできないのかなという、そういう気持ちを改めて感じました」
■「太ももを刃物で刺され…」強盗殺人事件として捜査
2003年2月21日午後10時45分頃、パートから帰宅途中だった寺田和子さんが、妙法寺駅を出て自宅に向かっているところで、何者かに太ももを刃物で刺されて殺害された。
寺田さんが持っていたかばんや財布はなくなっており、壊れた携帯電話が現場に残されていたという。
警察は強盗殺人事件として捜査しているが、証拠に乏しく、これまでに延べ6万1000人の捜査員が投入されたものの、いまも犯人逮捕には至っていない。
■「一緒に生活したのと同じ時間が」「楽しいことしか思い出せない」
事件で突然妻を亡くし、必死に2人の子供を育てた。
一緒に暮らした時間と命を奪われてからの時間はほぼ同じになってしまった。
【寺田さんの夫】「付き合って、一緒に生活してほぼ20数年だった。それと同じだけのときが過ぎてしまっているわけです。
楽しかったことしか覚えてないというか、思い出せないっていうか。子供と一緒に遊びに行ったっていうようなこととか、そういったことは思い出すんですけれども、そういったことしか思い出せないというか…」
■チラシには和子さんのかばんが見つかった場所の情報などが追加された
寺田さんの夫は事件が起きた日の前後に、毎年チラシを配って、情報提供を呼び掛けている。
その1枚1枚には、何とか犯人逮捕につながってほしいという思いが込められている。
おととしから、チラシの内容が和子さんが映っていた防犯カメラ映像に加えて、かばんが見つかった現場の写真やそれらの位置関係を記載した地図も含めたものに変わった。
それによって情報提供の件数が再び増えたという。
ことしは人通りの多い日曜の2月16日と、まさに事件が起きたのと同じ日・同時間帯の、2月21日午後10時の2回にわたってチラシを配った。
事件から20年以上たった今だからこそ話せることもあるのではないかと期待を寄せている。
【寺田さんの夫】「犯行時間近くにチラシを配れば、当時の記憶の喚起になるのかなと。確証がなくてもこんなことがあったよと振り返って思い出していただいて、情報があつまれば、捜査が進めば、それでいいのかなと思う」
■「そんな人生を送っていいのか」と聞いてみたい
事件から22年、和子さんを殺害した人物はいったいどう過ごしているのだろうか。
いつまでも逃げ切れると思っているのだろうか。寺田さんの夫は、犯人に対してこう語った。
【寺田さんの夫】「どういう人生を送ったのかな、と。当然、刺した感触っていうのも残ってることでしょうし、こうして(ビラ配り)をやっていることも、当然知っているだろうし。
自分のしでかしたことっていうのをどう感じているのかっていう、そういうのは是非聞いてみたいなと。
本当にあなた、そんな人生を送っていいのか、どんな人生送っていたのかっていうのを、聞いてみたいっていうのは、今でも変わらない気持ちです」
寺田さんの夫は犯人が逮捕・起訴され、裁判が始まったら、被害者参加制度を利用して、法定で直接質問を投げかける予定だ。
情報提供は兵庫県須磨警察署078-731-0110で受け付けている。【関西テレビ記者 藤田裕介】
2007年入社。神戸支局記者、大阪司法担当、FNNパリ支局駐在などを経てWEBニュース担当に。
神戸連続児童殺傷事件の遺族、神戸北区・男子高校生殺害事件の遺族たちに取材し、長年、犯罪被害者や少年犯罪にまつわる問題に取り組んでいる。