
大阪市内モーニング最安値は『250円』倒産相次ぐ喫茶店 経営苦しくても続ける理由「笑顔が売り上げ」03月30日 18:41
コストなどの増加も背景に、いま倒産が相次いでいる、喫茶店業界。
そんな中で、お得な「モーニング」をどのように提供しているのか、そしてなぜ続けているのか。
現状に迫るため、大阪市内で一番安い「モーニング」を「おっカネ~NEWS」で独自調査しました。
■倒産が相次ぐ喫茶店 8割以上が”町の喫茶店” 「コーヒー豆の価格が倍に」
今、喫茶店の倒産が相次いでいます。
帝国データバンクによると、この1年で倒産した喫茶店やカフェの数は過去最多になる恐れが!まさに、おっかねえ事態に…
中でも、その8割以上が“町の喫茶店”なんです。
【百年コンサルティング株式会社 チーフエコノミスト 鈴木貴博さん】「基本的にはコーヒー豆の価格が高騰していて、コーヒー業界は大変なんですよ。特に2024年がその前の3年間と比べると、コーヒー豆の価格が倍になってます。
気候変動で主要な産地であるブラジルで干ばつが続いたとかね。インドネシアの方もちょうどコーヒーの収穫時期の天候が悪かったとか、そういう話が続いて。2050年ぐらいになると、コーヒーが採れる耕地面積が今の半分になるんじゃないかって予測されてるんですね。
今とはケタの違うような価格感になってくる時代がいずれ2030年、40年代でやってくるでしょうね」
■「大阪のモーニング最安値はたぶん350円じゃないか」と専門家
【秦令欧奈アナウンサー】「大阪の喫茶店の実態を知るため、最安値のモーニングを調査していきます」
まず向かったのは、大阪屈指の喫茶店激戦区「中崎町」。ちなみに、専門家の予想金額は…
【百年コンサルティング株式会社 チーフエコノミスト 鈴木貴博さん】「大阪の最安値は、たぶん350円じゃないかと思ったんです」
なかなか おっカネ〜金額ですが、果たしてどんな調査結果が出るのでしょうか?
【秦令欧奈アナウンサー】「今の喫茶店のモーニングの価格を調べていまして、どこかお安いところ知らないですか?」
【街の人】「安いって、今みんなおんなじぐらいちゃう」
【秦令欧奈アナウンサー】「同じくらいといいますと?」
【街の人】「片手。500円。だいたいそんなもんやわ。ニューMASAっていうところとか。文枝師匠なんかが来とったんや。一緒にコーヒー飲んだり」
【秦令欧奈アナウンサー】「今は行かないんですか?」
【街の人】「今はもう、午前中はたぶん閉めてると思う」
■「なかなか単価が取れない」人員不足のためモーニングは控える喫茶店
ほかの人にも喫茶店について聞いてみると…。
【街の人】「喫茶店やってるんですよ。人員不足のためモーニングは控えてて、ランチからの営業になっているんですけど」
【秦令欧奈アナウンサー】「お店の名前は?」
【街の人】「喫茶マリンカ。ウチで元々モーニングは450円とかで、500円に変えて、やめちゃったんですけど」
【秦令欧奈アナウンサー】「コーヒー豆やっぱ高くなってますか?」
【街の人】「なにもかもですね」
【秦令欧奈アナウンサー】「モーニングをやめられた理由は?」
【街の人】「なかなか単価が取れない。6時半とか7時からお店開けて、時間・労力になかなか見合ってこない。モーニングが一番厳しかった」
モーニングをやめる喫茶店も多い中、名前が多く挙がったお店が…
【街の人】「喫茶Y」
【街の人】「喫茶Y」
【街の人】「喫茶Yとかですかね。コスパ的に考えると、そこが一番かなと思いますね。とにかく量が多いです。毎回死んだ顔をしながら食ってました」
■800円でメインが2つにお味噌汁と副菜が2品でコーヒーも
喫茶Yのコスパ最強モーニングとは?店内に入ると、早速驚きの光景が…
【秦令欧奈アナウンサー】「これ頼んだんですか?量が多いという噂は聞いていたんですけど、想像を超えてきますね。食べきれるんですか?」
【客】「頑張ります」
【秦令欧奈アナウンサー】「一番安いやつですとごはんモーニング、パンモーニングがそれぞれ800円ということですが、ごはんモーニングの方が量は多いですか?」 【店主 貴島千里さん】「量の問題じゃないです。ごはんが好きだったら、ごはんにしたらええし」
【秦令欧奈アナウンサー】「ごはんでお願いします」
【秦令欧奈アナウンサー】「メインがもう1個出てきた。ごはんモーニング、お肉とハムエッグ、スパゲッティ。メインが2つですね。そしてお味噌汁と副菜が2品でコーヒーも付いて、これで800円。忘れていただきたくないのは、これはお昼じゃなくてモーニングです」
実際に食べてみると…
【秦令欧奈アナウンサー】「いただきます。白菜とほうれん草の和物。実家で食べた味って感じがします。美味しい」
【店主 貴島千里さん】「『実家に来たみたい』ってみんな言うねん。おかんと思ってください」
【秦令欧奈アナウンサー】「おかんです、もう。安心できる空間が売りってことですね」
■「『お母さんおいしかった。また来るね』ってそれが私の売り上げやから」
【秦令欧奈アナウンサー】「完食いたしました。ごちそうさまです。僕がさっき食べたごはんモーニングですと800円ですから、コーヒーの値段抜いたら、他で300円でやってるということですよね?」
【店主 貴島千里さん】「みんなが言うねん『これは値段おかしいで』って。お金的には儲からないんです。『おばちゃん値上げしてもええやん』とか言うけど、値上げしてみ、絶対文句言うねんでみんな。あたし50年やってるんだよ仕事。私の利益はないわけ。お客様に提供しすぎて」
【秦令欧奈アナウンサー】「それでもなんでやり続けてるんですか?」
【店主 貴島千里さん】「楽しいから。だって楽しいじゃない。お若い方とお話したりね。ニコニコ笑ってね。『いやー、お母さんおいしかった。また来るね』って帰ってくれる。それが私の売り上げやから」
■トースト玉子付きで350円の喫茶店も
確かにコスパ最強だった喫茶Y。お母さんと別れ、最安値のモーニング探し再開!すると有力情報が…
【街の人】「大国町駅の交差点角にあるもみの木。ホットコーヒーのモーニングだったら350円。アイスコーヒーは400円でやってます」
【秦令欧奈アナウンサー】「むちゃくちゃ安いですよね」
【街の人】「モーニングとは違うんですけど、ミックスサンドイッチが何か安心する味なので、よくランチでも利用してて、それが大好きです」
【秦令欧奈アナウンサー】「今、喫茶店の倒産数が過去最多になろうとしていまして…」
【街の人】「さすがに350円のモーニングは安すぎるなと思うので、潰れられるよりはちょっと上げてもらっていいけどな。なくなるぐらいだったら」
早速、大国町へ。専門家が予想する最安値と同じ350円のモーニングとは。
【秦令欧奈アナウンサー】「ありました、こちら『もみの木』さん。ですが、店内満席ということで、取材は難しかったです。メニューは撮っていいということだったので、モーニングサービス。トースト玉子付きで350円でございます」
ちなみに、安心するお味のミックスサンドは600円でした。
■ブログの情報を頼りに、伝説の喫茶店へ
するとここで秦アナウンサーから提案が。
【秦令欧奈アナウンサー】「一旦携帯で最安値を調べてみてもいいですか?ネットも頼る現代人なので。『大阪 激安 純喫茶』。なんとコーヒー160円、カレーライス250円と書いてあります。恐らく日本一安い喫茶店。これが本当ならば間違いなく最安値。西成区で喫茶マル屋というお店です。伝説の喫茶店行きましょう。ほぼ自動販売機の価格ですね」
ブログの情報を頼りに、伝説の喫茶店があるという商店街へ。
【秦令欧奈アナウンサー】「この辺ということなんですが。ありました喫茶マル屋です。すごい雰囲気。レトロの中でもレトロを極めし喫茶店という感じがする。
あ~!『休業させていただきます』とありますね。また再開するのかは分かりませんが、とりあえず今は休業してるということですね。でもやっぱり安かったのは間違いないんだと思います」
■聞き込み調査で「モーニングが160円」と判明
いったん近くの玩具屋さんに聞き込み調査をする秦アナ。
【秦令欧奈アナウンサー】「マル屋っていう喫茶店があるじゃないですか、あちらはやっていないですよね?」
【玩具屋】「もう辞めましたね、1年半が2年か。もう主役さんがおらんわ」
【秦令欧奈アナウンサー】「店主さんがお亡くなりになったんですね」
【玩具屋】「よう流行ってたで。今、そんな喫茶店ないわ、どこにも。もったいない」
道ゆく夫婦にも、『マル屋』について聞いてみます。
【秦令欧奈アナウンサー】「ここのモーニングの価格が知りたいんです」
【街の人】「やってないわ」
【秦令欧奈アナウンサー】「コーヒーとパンに付いておいくらでした?」
【街の人】「160円」
【秦令欧奈アナウンサー】「なるほど、コーヒーだけで160円だと思ってた。モーニングが160円です」
日本一安かったであろう喫茶店があったこの町なら、何か有力な情報が得られるかも。ということで、聞き込み再開。
【秦令欧奈アナウンサー】「ここら辺でお安い喫茶店ご存知ないでしょうか?」
【街の人】「そこ。250円。四つ角を左に曲がったところに『白』いう喫茶店あるわ」
【秦令欧奈アナウンサー】「モーニングの値段を調べているんですけれども… 」
【街の人】「モーニング入って250円」
聞いた情報をもとにさっそく行ってみることに。
【秦令欧奈アナウンサー】「白!雰囲気がありますね」
■「こんな古い暇なお店だけど、私にとっては宝物」
創業から50年の純喫茶白。ご主人がなくなり、ママさんお一人で営業されているお店です。
【秦令欧奈アナウンサー】「コーヒーだけで250円?卵ついても250円。トーストがついても250円。3点セットだと300円。安い。ずっと始めからこのお値段なんですか?」
【店主 中條幸代さん】「一番最初の頃はもっと安いです。180円ぐらいの時がありました」
【秦令欧奈アナウンサー】「パンは?」
【店主 中條幸代さん】「バタートーストね」
【秦令欧奈アナウンサー】「結構厚みありますね。安心する味ですね。普通のコーヒーのお値段が250円じゃないですか。ということは、このパンを分厚いのに無料で出してるってことですよね?」
【店主 中條幸代さん】「モーニングはみんなそうですよね」
【秦令欧奈アナウンサー】「大丈夫なんですか」
【店主 中條幸代さん】「大変だけど、認知症予防と体元気のためにやってるみたいな感じなんですわ。朝、知ってる優しい良いお友達が来るから」
【秦令欧奈アナウンサー】「お母さんにとってこのお店ってどういう存在ですか」
【店主 中條幸代さん】「こんな古い暇なお店だけど、私にとっては宝物。ここがあるから元気でおれるんですよ。そう私の宝物」
【秦令欧奈アナウンサー】「ありがとうございました。何かちょっと寂しいですね、出るの。ということで、番組調べではありますが、大阪最安値の喫茶店のモーニングは250円でした。お母さんの宝物のお店ということで、皆さん本当においしいので良かったら来てみてください」
経営として苦しい中でも店の努力ややりがいで成り立っているという喫茶店の内情がありました。
(関西テレビ「newsランナー」2025年3月28日放送)