【山之内すずさん】「震災当時の話をし始めると、(目が)うるっとしていて。心がすぐに当時に戻ってしまうくらい、みなさんは今でも(震災の記憶を)新鮮に覚えておられました。これをきっかけに、いろんな人と話を広げていってほしいなと思います]
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災。多くの命・生活が失われたあの日から30年となる年に、カンテレ報道はさまざまな特別番組をお届けする。
①『newsランナー』震災特集(関西ローカル) 1/7(火)~17(金)・21(火)
『newsランナー』(毎週月曜〜金曜 夕方4時45分~7時 生放送)にて、震災シリーズ特集を放送中。
関西テレビの記者が、それぞれの目線から震災を伝える。今後は以下の特集をお届けする。
■14日(火)「被災した千代田さん3兄弟の今」
宝塚のアパートで被災し、母と妹を亡くし、五島列島の祖母に引き取られた千代田さん3兄弟。当時小学生と4歳だった彼らが30年の間でどう成長し、今何を思うのか、取材する。
■15日(水)「震災遺児の30年」
震災で母を亡くした福井友利さん。東日本大震災や能登半島地震で被災した遺児との交流を描く。
■16日(木)「はるかのひまわりの原点」
震災で妹のはるかさんを亡くした加藤いつかさん。その年の夏に妹が亡くなった場所から大輪のひまわりが咲き、以来、そのひまわりの種を「はるかのひまわり」として全国で育てる活動が広まった。活動の原点ともいえる姉・いつかさんを通じた、30年の歩みにせまる。
■17日(金)「長谷川家の30年」
震災で母と三男を亡くした、長谷川家。残された父・博也さんと長男・元気さん、次男・陽平さんの3人それぞれについて、30年の時を経た今を追う。
■17日(金)「新長田の再開発のいま」
土地の買収が難航し、計画が遅れ、30年をかけてようやく完成した新長田の再開発。“街づくり”ではなく、“ハコものづくり”との批判もあるが、人々の営みは尊重されたのか?新長田の商店街でお茶の販売店を営む伊東正和さんに、再開発に必要なことを問う。
■21日(火)「30年を過ぎても…『母への手紙』の語り部 これからも」
大学に通う息子・貴光さんを亡くした母・加藤律子さんが、大学進学直前の息子からもらった「母への手紙」。ある作曲家から歌をプレゼントされて以来、加藤さんは「母への手紙」の語り部を続けてきた。75歳になった加藤さんと彼女をずっと支え続けた仲間の、活動の軌跡とこれからを追う。
②『newsランナー震災30年~守りたい、だから伝える~』(関西ローカル) 1/13(月)午後3時45分~7時
『newsランナー』を拡大放送。被災した人だけでなく、幅広い層に阪神淡路大震災を感じてもらうため、カンテレ報道が記録した震災当時のアーカイブ素材を紐解き、当時多くの人が直面した現実、そして今も残る課題を考える。
さらに、神戸市出身で23歳のタレント・山之内すずが、震災の“当事者”たちを取材する。
30年前、医師歴3年目だった水谷和郎さんは、勤務先の病院で、膨大な患者を目の前に、当時まだ社会に浸透していなかった治療の優先順位を決める「トリアージ」を行なった。混乱した状況の中で下す“治療不可”の判断。水谷医師が感じた当時の医療の限界と教訓とは。
また、“神戸で育った子供たちなら誰もが知っている”と言っても過言ではない曲「しあわせ運べるように」。ひとりの音楽教師が震災直後の混乱の中で作詞作曲したこの歌は、今も歌い継がれており、山之内自身も「学生のころ何度も歌った、唯一無二の曲」だと話す。この曲が生まれた背景にある、当時の学校が直面した現実を初めて作者本人から聞く。
地震発生から30 年となる今、“震災を知らない世代”“震災の記憶がない世代”は当たり前の存在になってきた。次の時代を担う人たちは、30 年前の記憶から何を感じるのか?あの日の記憶と向き合う。
③『伝える震災30年』(関西ローカル) 1/16(木)~1/19(日)深夜
1995年以降カンテレで放送した約30本の震災ドキュメンタリー番組から5本を選び再編成した『震災30年を伝える(予定)』を四夜連続放送。当時の担当ディレクターが、かつて取材した人々や所縁の地を訪ねて追加撮影し、それぞれの阪神淡路大震災を振り返るほか、5作中3作の編集を手掛けた野上隆司が全ての編集を担当する。
■16日(木)深夜0:55~1:55
『ゼロからの復旧~芦屋市水道部・水を運んだ男たち~』(1995年3月21日放送 取材:宮田輝美)
震災で配水池が空になり、水道の供給がゼロになった兵庫県・芦屋市で、自らも被災しながら市内の全戸に水を届けた職員たちに密着。当時から今も水道部で働く職員3名を再取材する。
■17日(金)深夜1:25~2:25
『神戸・六甲に吹く風は… ~震災から5年~』(2000年2月2日放送 取材:小形正嗣)
震災による大火で街ごと消失した神戸・灘区の六甲宮前商店街で、再開発の波に揉まれながらも、商売を続けたいと奮闘する人々を描く。当時、ガレキの中で看板一枚を掲げて酒店を再開した岩田さん一家の現在を取材する。
■18日(土)深夜2:15~4:15
『想いをたずねて~父子が歩んだ30年〜』
阪神淡路大震災の犠牲者全員についての記録を残すため、遺族一人一人をたずねて話を聴く神戸大学工学部の取り組みと、妻と三男を亡くした遺族、長谷川博也さんと2人の子どもたちを取材したドキュメンタリー『想いをたずねて~6430人 いのちの記録~』(2000年1月16日放送 取材:迫川緑 ギャラクシー賞・選奨受賞)と、長谷川家のその後を継続取材した『想いを伝えて~阪神淡路大震災・父子が歩んだ20年~』(2015年3月8日放送 取材:迫川緑 日本民間放送連盟賞・優秀賞、地方の時代映像祭・選奨受賞)を2作連続で放送。今に至るまで継続取材をしている長谷川家の30年を再編集して放送する
■19日(日)深夜0:59~1:59
『ガレキに埋もれた生命~あと一人救えなかったのか?~』(2005年1月16日放送 取材:塩川恵造 日本放送文化大賞グランプリ近畿地区選出)
子どもを亡くした夫婦や救急医療にあたった医師、自衛官らの震災10年目の告白から、阪神淡路大震災であと一人命を救うことができなかったのか?その後どう変わったかを検証するドキュメンタリー。
④報道特番『この瞬間(とき)に祈る』(関西ローカル) 1/17(金)午前5時25分~6時
阪神淡路大震災が起きた時刻と同じ、午前5時46分に祈りをささげる人たちの姿を中継する本番組。震災の翌年1996年からタイトルを変更せず毎年一貫して放送を続けており、2年前の2022年からは、地上波だけでなくYouTube上でLIVE配信を開始している。
遺族の想いに立ち返り、『newsランナー』メインキャスターである吉原功兼アナウンサーによる東遊園地(神戸・中央区)からの追悼行事中継などを交えた放送を予定している。
⑤『newsランナー震災30年~つなぐ未来へ~』(関西ローカル) 1/17(金)午後3時45分~7時
『newsランナー』を拡大放送。各地での追悼の特集や生中継を交えて、阪神淡路大震災へ思いをはせるほか、2024年1月1日に起きた能登半島地震の災害への追悼も特集する。
30年前の1月17日、あの時何があったのか?30年となるいま、どう変化したのか。阪神淡路大震災をきっかけに始まった“ボランティア”の変化や、“避難所”の今なお残る課題について、当時の映像を使用しながらお届けする。
また、シリーズ「震災前日のあなたへ」と題したシリーズにて「もしも30年前の震災前日に戻れるとしたら、被災者は自分自身に何と伝えたいか」取材する。被災した各地の映像を振り返るとともに、今の町を生きる被災者からのメッセージを届ける。
⑥『ザ・ドキュメント 30年目の難問 ~震災を知らない学生たちへ~』(仮)(関西ローカル) 1/31(金)深夜1時25分~2時25分
31日(金)深夜は『ザ・ドキュメント』の新作として「30年目の難問 ~震災を知らない学生たちへ~」を入社4年目の入道楓が取材する。関西大学で映像制作を勉強する学生たちに与えられたゼミの卒業課題は、30年前に発生した阪神淡路大震災。ゼミで震災をテーマに取材を展開しドキュメンタリーを作ることを求められた学生たちにとって、生まれる前に起きた震災について考えることは容易ではない。取材を進めると、震災の記憶の継承の難しさや若者が“自分事”に捉えることの難しさが浮かび上がる。
「阪神淡路大震災」をテーマにドキュメンタリーを制作する関大生を通じて、多くの命・生活が失われたあの日から30年となる今、震災を伝え続ける意味とは何なのかを考える。
⑦阪神淡路大震災のアーカイブ映像のYouTube配信を開始 1/10(金)~
地震発生から1年間で放送したニュース番組の企画など40本あまりのコンテンツを2025年1月10日(金)から順次、カンテレ報道情報局の公式YouTubeチャンネル「カンテレNEWS」で配信中。
被災者が当時何を考え、どう行動したのか、教訓として次世代に伝えたいと考え、報道情報局と総合編成局知財推進部が保管している震災関連のニュース映像など5,000件近いコンテンツを再編集や権利処理を行った上で配信を実施。
20年以上にわたって継続取材している被災地の銭湯経営者の家族の姿など、人間の力強さや優しさを再認識する映像を、報道センターと知財推進部の共同チームが選んだ。
なおYouTubeチャンネル「カンテレNEWS」では、アーカイブ映像以外にも、阪神淡路大震災に関する様々なコンテンツを順次配信する。
⑧民放・NHK共同プロジェクト「阪神・淡路大震災30年 守りたい、だから伝える 関西 民放NHK連携プロジェクト」参画
阪神淡路大震災の伝承と、災害に備えた連携をテーマに、関西の民放6社(毎日放送、朝日放送、カンテレ、読売テレビ、テレビ大阪、サンテレビ)とNHKが共同で立ち上げたプロジェクトに参画。局の垣根を越え、勉強会や番組などで連携をはかる。「守りたい、だから伝える」が共通テーマとなっている。
山之内すずさんは『newsランナー震災30年~守りたい、だから伝える~』にて、当時の被災者に直接話を聞いた感想を次のように話した。
「みなさん震災当時の話をし始めると、(目が)うるっとしていて。きっと、当時の感情を思い返していらっしゃるんだろうなと…。心がすぐに当時に戻ってしまうくらい、みなさんは今でも(震災の記憶を)新鮮に覚えておられました。トラウマやいろんな思いを抱えながらこの30年を過ごされたんだと思います。今回皆さんと目を見て話すことで、(被災者の)気持ちを本当の意味で理解できたように思いました」
さらに、震災の経験を聞くということについて「“聞いていいかもわからない”というか、当時のことを思い出させて、辛い思いをさせてしてしまったら…と思うのもあり、ぐいぐい聞ける話題ではないと思っていたんですが、今日皆さんと話していて、“つなげたい思い”や“忘れてほしくないこと”があるんだなと実感しました。震災を経験した方がまだまだ身近にいらっしゃる今のうちに、聞いておかなきゃいけないことはたくさんあるなと感じます」とコメント。
自分と同じく“震災を知らない世代”に向けて「これをきっかけに、いろんな人と話を広げていってほしいと思います。“そういえば、自分の親とかおばあちゃん、おじいちゃんと(震災について)話したことなかったな” とか、“こんなん見たんやけど、お母さんあの時どうやったん”と話すとか、そんなきっかけになるような30年でないといけないなと思います」と呼びかけた。
同番組のプロデューサーを担当する関西テレビ報道センター・奥元伸部次長は放送に際し、「30年がたつ中で、取材・報道する我々も”震災を知らない世代”が中心になってきています。改めて、あの時何があったのかを丁寧に伝える大切さを感じています。若い記者たちが取材を通して得た気づきなどを多くの方と共有することで、一人でも多くの命を守るきっかけになることを願っています」と語り、報道プロデューサーとしての思いを述べた。