新型コロナウイルスの後遺症。
疲労感や息苦しさのほか、睡眠障害や脱毛などがみられ、確立された治療法は見つかっていません。
大阪の病院に開設された「後遺症外来」には、次々と受診に訪れる人の姿が。
その現状を取材しました。
大阪市の北野病院。
新型コロナウイルスに感染したあと、後遺症に悩む患者を診察する「後遺症外来」を、今年6月23日から開設しました。
受診を希望する人は後を絶たず、診察の予約は11月末まで埋まっています。
【後遺症外来を受診する男性(50)】
「平衡感覚がおかしい」
【丸毛聡医師】
「今、一番困っているのは、めまいですか?」
【男性】
「そうです。それと心臓をぎゅっとつかまれるような(痛み)が時々出てくる」
4月下旬に感染が確認された男性(50)。
軽症でしたが、体の不調が続き、4カ月が経っても仕事を休まざるを得ない状況です。
診療にあたる丸毛聡医師によると、後遺症外来を訪れるのは、そのほとんどが軽症だったり、中等症以上でも入院先が見つからなかった人たちです。
これまでに10代から50代の約30人が受診しましたが、その内の少なくとも2割は、生活にも大きな支障が出ています。
【北野病院 丸毛聡医師】
「学生の方であれば、就学に関わるし、働いている方なら復職に関わる部分で非常に弊害が起きているのを目の当たりにしているので」
「軽症でも、若い方でも絶対に軽視してはいけない」
■記憶が消えてしまう症状も…長引く後遺症
長引くことが多い、コロナ後遺症。
6月に出された国の調査の中間報告では、新型コロナで入院した246人に、診断から半年後の症状をアンケート調査したところ、疲労感やけん怠感が21%、息苦しさが13%、睡眠障害が11%、脱毛が10%などとなっています。
北野病院を受診する患者の中には、記憶がすぐに消えてしまうという症状がある人もいます。
【後遺症外来を受診する女性(50)】
「思い浮かんだことがふっと消える。買い物に行っても何を買いに来たかなって」
5月下旬に感染が判明した女性は、中等症で入院しましたが退院後にも症状が残りました。
まだ覚えていることや、考えたことをすぐにメモにとって、生活しています。
【後遺症外来を受診する女性(50)】
「家中がメモだらけで。すぐに忘れる。瞬間で忘れるから、今思ったことを書かないと、次の瞬間には何がなんだか」
■ワクチン接種後も後遺症が…
後遺症はどうすれば改善するのか。
確立された治療法は見つかっていませんが、丸毛医師はワクチンの接種を勧めています。
【丸毛医師】
「データが海外から出るまでは、ワクチンを打ったら余計ひどくなるんじゃないかとか、実際そういうケースもあるみたいだが、受けてよくなっていると報告が多いので」
ワクチンの接種で、症状が改善するケースもあるということですが、全ての患者がそうではありません。
【丸毛医師】
「(ワクチン接種の後)息苦しさはどうですか?」
【後遺症外来を受診する男性(43)】
「まだ続いています」
この男性は4月下旬に感染が判明し、いまも倦怠感や息苦しさ、全身の痛みなど様々な症状に苦しんでいます。
感染当時、酸素投与が必要なレベルまで血液中の酸素飽和度が低下していましたが、入院先が見つからずに自宅で療養していて、治療を受けないまま隔離期間が解除になっていました。
症状に改善がみられず、男性は新たな薬を試してみることになりました。
【後遺症外来を受診する男性(43)】
「気力とやる気と、人間関係を全部奪っていく病気です。長く、沼にはまっているような感覚を感じています」
「(コロナを)軽視する人たちは、本当に気をつけた方がいい」
感染の急拡大で、さらに後遺症の人が増えることが見込まれる中、丸毛医師は、地域の医療機関の協力が必要だと訴えます。
【丸毛医師】
「このような外来が多くの医療機関で開かれて、後遺症の患者にまだ何ができるかはわからないが、お話を聞いたり相談に乗る場だけでも、必要だということを感じています」
(カンテレ「報道ランナー」8月26日放送)