台風7号が近畿を直撃してから2日がたちましたが…17日も新幹線が一時、運転見合わせるなど混乱が続きました。なぜこれほど影響が長引いたのでしょうか?
■新大阪駅のホームが”列車でパンパン”になった
台風7号が過ぎても混乱が続いた東海道・山陽新幹線ですが、混乱に巻き込まれた方たちは相当、疲労やストレスがたまってらっしゃるとお察しします。混乱が長引いたワケを神崎デスクに解説してもらいます。
17日も混乱が続いた理由ですが、なぜなのでしょうか?
【関西テレビ 神崎博デスク】
「新大阪駅のホームが列車でパンパンになったということです。どういうことかと言いますと、普段は東京から博多まで”直通”で運転してる新幹線があります。これは新大阪駅に着いたら、乗客が乗り降りしたら、すぐそのまま博多まで行きます。下りもしかりなのですけが、今回はもう新大阪で全部”折り返し運転”にしまっていたので、東京から来た新幹線は新大阪駅に止まり、例えばそこで座席の向きを変えたり清掃で、新大阪駅での停車時間が非常に長くなってしまいます」
【関西テレビ 神崎博デスク】
「そうすると、普段でしたら数分で行き来して抜けていた列車が、ずっと滞留することになるので、だんだんとホームが埋まってしまう…ということがありました。 そもそも今回はお盆期間で利用客が多いので、増便しての臨時ダイヤを組んでいる中でこの滞留が起きてしまい、新大阪駅に8本あるホームにも、列車がずっと並んでるような状態となってしまいました。次から来ようにも、もう新大阪のホームが詰まってしまっていたので、それ以上は列車が来れないというなことが起きたんです」
では、そもそも今回の混乱の元となった、16日の運転見合わせについても見ていきましょう。
■東海道新幹線には「運転見合わせ」となる雨量の基準が4つ
そもそも新幹線は雨に弱いのですが、東海道新幹線には「運転見合わせ」となる雨量の基準が4つあります。 どれか1つでも基準を超えると運転見合わせになります。 1時間に60ミリ以上の雨が降った場合や、24時間の総雨量、土壌雨量指数などです。
■東海道新幹線は特に雨に弱い
この4つのうちどれか1つでも基準を超えると運転見合わせになるということですが、今回は「1時間60ミリ以上」ということで、運転見合わせになりました。
【関西テレビ 神崎博デスク】
「新幹線は雨に弱いのですが、特に東海道新幹線が雨に弱いんです。今ならコンクリートの陸橋の上を走る新幹線が多いですが、1960年代に開業した東海道新幹線はその頃の土木技術ですと、土の上を走ります。『盛り土』っていうのですが、その盛り土の上に線路を通して、そこに新幹線を走らせているので、大雨が降ると、その下の盛り土が崩れてしまう恐れがあります」
【関西テレビ 神崎博デスク】
「東海道新幹線全体で言いますと、およそ半分が盛り土の上を走っているんですね。山陽新幹線ですとコンクリートの陸橋が多いので、盛り土部分は2割以下という風に言われています。東海道新幹線だけ、ものすごくこの盛り土の上を走っていることが多いので、特に雨に弱いと言える訳です」
今回は静岡周辺での雨でしたよね。
【関西テレビ 神崎博デスク】
「今回は台風7号が過ぎ去った後、まさか静岡のあの場所で、集中的に雨が降るとは思っていなかったので、例えば折り返し運転するにも、車両の手配とかで段取りが必要ですがそれもできなかった。それでこのような対応になってしまいました」
ただ、神崎さん。今回の混乱が当たり前にはなるのもいけませんよね。混乱を回避する術はないのでしょうか?
【関西テレビ 神崎博デスク】
「やっぱり東海道新幹線は”海側”をずっと走っているので、当然その台風とか大雨に弱いという側面があります。『う回路』を考えないといけないのではないでしょうか。海側を走っている東海道新幹線という、ある種1本足打法では、こういう台風や大雨の時には避けられないと思うんです」
【関西テレビ 神崎博デスク】
「例えばですけど、建設中のリニア中央新幹線であれば、山の中をほとんどトンネルで走りますので安心です。あとは、いま金沢まで来てて今後は敦賀まで延伸する北陸新幹線ですね。こちらは日本海側を走りますので。要は、新大阪と東京を結ぶ第2第3の”う回路”があればですね、東海道新幹線がダメになったとしても、安心です。リスク管理の面でも対応できないのかなという風に思いますね」
利用客がとても多いお盆休みに重なった台風7号とその後の大雨。 まずは、全線がいちはやく”通常運行”に戻ることを願うばかりです。
(関西テレビ「newsランナー」8月17日放送)