日本を訪れる外国人観光客がコロナ前の水準に戻りつつある中、お客さんが増えるのはうれしいことですが、 「外国人の忘れ物」に頭を悩ませているということです。坂元龍斗フィールドキャスターが取材しました。
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「カンデオホテルズ大阪なんばにお邪魔しています。難波にあって、宿泊してる方の8割が外国人観光客のホテルです。そのため、フロントも国際色豊かになっています。一時コロナでお客さんの数がだいぶ減ったそうですが、今はもう復活していて、今日もほぼ満室と人気のホテルになっています。中国の団体客も解禁されたので、ますます増えることが予想されます。そんな中、困っているのが『忘れ物』が増えているということです」
7月、韓国人の観光客がチェックアウトしたホテルの一室。
【女性清掃スタッフ】
「これは忘れ物です」
韓国の小銭や化粧品、地下鉄のパスカードが残されていました。
【カンデオホテルズ大阪なんばフロント 朴栽圓(パクゼウォン)さん】
「忘れていかれたのか、それとも捨てて欲しくて部屋に置いたままチェックアウトされたのか、という判断が難しいものが結構あります。連絡がとれなかったら全て保管しないとならないのでスペースをとられてしまう」
ほかにも、携帯電話や腕時計にモバイルバッテリー、そして大きなスーツケースまで…忘れ物は1日に30個以上にのぼります。
7月、日本を訪れた外国人の旅行者は約230万人で新型コロナ感染拡大前の8割近くまで回復しましたが、それとともに「忘れ物」も増えているというのです。
大阪を観光していた外国人に忘れ物の経験を聞いてみました。
【カナダからの観光客】
「父が箱根のホテルにクレジットカードを忘れたらホテル側が鹿児島まで届けてくれました。私がカナダで物をなくした時は返ってきませんでした。宝石とか携帯電話とか」
日本のホテルのサービスに感謝する声がある一方で、『忘れ物』ではなく、わざと置いて帰るという人もいるようです。
【オーストラリアからの観光客】
「スーツケースにお土産を入れるために、洋服をホテルに置いて帰るという話はよく聞きます。私もやってしまうと思います」
ここは外国人客の忘れ物を海外へ配送する大阪の代行業者です。
【オー・エス・エス 荒本修一社長】
「東京からですね。リュックで送ってきているんですけど、中から出てくるのはお菓子、ぬいぐるみ、日本で手に入れたものですね。毎日こんなかたちでいろんなものが送られてくるんです」
全国のホテルなどから依頼を受けて海外の持ち主と連絡を取り、配送料の入金を確認してから国際便で配送します。
【オー・エス・エス 荒本修一社長】
「忘れ物を送れるかという問い合わせは、一気にまた増えてきていると思います。30~50個くらい取り扱いが1日であるから、月で1000~1500個くらい」
ただ、この業者に届くのは、あくまで持ち主が「送ってほしい」と言った忘れ物です。持ち主から何の連絡もなければホテルが処分するしかないのですが、大きな問題が生じています。
■“忘れ物”かゴミか区別ができないものの処分費用はホテル負担
部屋にあった忘れ物が、忘れ物なのか置いていっているものなのか、処分してほしいのかわからないので、安易に処分できず、たまっているという状況になっています。
カンデオホテルズの岡さんに話を聞きました。
Q.部屋の中は忘れ物なのか処分してほしいのか分からない状況なんですか?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「そうですね。ゴミ箱の中に入れていただいてるとはっきりと分かるんですけども、あちこちに置かれていると(判断は難しい)」
Q.いざ、処分となった時に費用が発生して大変だと伺いましたが…
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「そうですね。スーツケース1つに付き1000円、傘ですと1本50円、処分するのに費用がかかってしまいます」
Q.ひと月いくらぐらいホテル側は費用負担されているんですか?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「だいたい平均でひと月で約6万円ぐらい」
意外と多い忘れ物が「お金」です。3カ月保管後に警察に届け出ているということで、実際に現在保管されているお金を見せていただきました。
Q.この量で、だいたいどれくらいの期間のお金ですか?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「だいたい1カ月分ですね」
Q.3カ月たったら警察に届け出る?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「そうです。貴重品として届け出します」
Q.持ち主は見つからないですよね?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「そうですね。なかなか小銭の特定というのは難しいですね」
Q.小銭はその後ホテルのものになるんですか?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「いや、そういうわけではないんですね」
■“忘れ物”よくするのは外国人観光客、日本人は後で取りに来る
ホテルには、色んな国のお金が残っています。
Q.お金に限らず、この国の忘れ物が多いなという傾向などはありますか?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「特に、この国が多いというわけではなく、まんべんなく海外のお客様は多いですね」
Q.なぜ外国人観光客はお金を忘れるのでしょうか?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「チップの可能性もあるとは思うんですが、その判断はつきにくいです」
Q.日本人の観光客の方も少ないですけど宿泊されていると聞きましたが、日本の方は、そういったことはないですか?
【カンデオホテルズ 岡益充さん】
「そうですね。日本人の方ですと、純粋な忘れ物がほとんどで、後で取りに来られる方がほとんどです」
今後も増えると考えられる外国人観光客の忘れ物に対して、ホテル側も何らかの対策をしていく必要があるかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」2023年8月29日放送)