大阪で開業を目指す、カジノを含む統合型リゾート=IRについてアメリカのIR事業者の最高経営責任者が来日し、大阪府と本契約に相当する「実施協定」を締結しました。
大阪で開業を目指す、カジノを含む統合型リゾート=IR。
28日午後、大阪府とアメリカのIR事業者「MGMリゾーツ」やオリックスなどで構成される運営事業者が本契約に相当する「実施協定」を結びました。
出席したのはMGMの最高経営責任者、ビル・ホーンバックルCEO。 MGMのトップが大阪のIRに関する公の場に出席するのは、今回が初めてです。
【MGMリゾーツ・インターナショナル ビル・ホーンバックルCEO】
「私たちにとってきょうはとてもエキサイティングな一日です、このIRを中心に大阪が世界的な観光名所になることは間違いありません」
【大阪府・吉村洋文知事】
「大阪のベイエリアにおいて世界最高水準のIRを実現したい」
IRは、2025年に大阪市の夢洲で開催する万博会場のすぐ横にカジノや国際会議場、ホテルなど大規模な商業施設を作る計画で、2030年秋ごろの開業を見込んでいます。
計画では年間2000万人が来場し、経済波及効果は1兆円以上。大阪府市には事業者からの納付金など年間で1060億円もの収入が見込まれ、住民の暮らしなどにあてられるということです。 大きな経済効果が見込まれるIR。
計画が進む一方で、懸念も残されています。
【大阪府・市IR推進局 西島由美企画課長】
「大阪のさらなる成長に向けて、世界中から新たに人・物の投資を呼び込むIRの導入。必要と考え…」
8月、IRの整備計画について国から認定が出てから初めて大阪市で住民説明会が行われました。しかし…
【IR推進局担当者】
「実現に向けては、市民の理解が重要と考えています」
【市民】
「それがやってないんだよ」
「工期が2、3年ほど遅れますとか、夢洲特有の土地の課題があるとか、どういう課題にどう立ち向かうかが書いていません」
国が認定の際に改善が必要として提示した、地盤沈下などの土地の問題や地域住民との関係づくりなどについて、具体的な対策がみられないと厳しい意見が飛び交いました。
また今回の実施協定では、土地の整備や新型コロナで落ち込んだ観光需要の回復の見込みが整わなければ、事業者側が違約金を支払わずに撤退できる「解除権」も盛り込まれました。
IRに関する懸念の声に対し、吉村知事は…
【大阪府・吉村洋文知事】
「リスクはそれぞれ分担をしながら、世界最高水準のIRを成功できればと。住民の皆さんの意見を聴いて進めていきたいと思います」
この協定締結を終えると、残すはカジノ免許の交付のみ。事業者側が、交付を国に申請し、審査を経て免許が交付されればIRの開業に向けた手続きが完了することになります。
ついに動き出すIR整備、関西にどのような影響を与えるのでしょうか。 大阪でのIR開業に向けて準備が進む一方で、まだまだ課題は残されているようです。
取材を担当している竹中記者の解説です。
【関西テレビ 竹中美穂記者】
「いくつかの課題も残されています。そもそも大阪へのIR誘致の議論が始まった当初、開業は万博前の2024年末とされていました。しかし、新型コロナの影響で事業者決定が遅れ、国に整備計画を出した際には2029年の開業予定となり、今回の実施協定では“2030年秋ごろ”と先送りになりました。 さらにIR施設の工事が万博の開催期間と重なるため、大阪府によると工事の進み具合によっては『あと1~2年遅れる可能性もある』ということです」
【関西テレビ 竹中美穂記者】
「また今回の実施協定では、土地の整備や新型コロナによる観光需要の回復の見込みが整わなければ、事業者側が違約金を支払わずに撤退できる“解除権”も盛り込まれました。この解除権について事業者の関係者に聞くと『実施協定を結んで大々的に発表しているのでやめることがリスク。事業成功を目指して取り組んでいく』と撤退ありきではないことを強調していましたが、本当に解除されないのかリスクを指摘する声も上がっています」
【関西テレビ 竹中美穂記者】
「(Q.住民からの根強い反対の声についてはどう対応していくのでしょうか?) 4月に整備計画について国から認定が出た時、留意すべきこととして『地域との双方向の対話の場を設け、地域との良好な関係構築に継続的に努めること』などの条件がつけられました。その後8月に住民説明会が行われたのですが、質問は1人あたり1問とし、追加の質問を受け付けなかったので、納得しなかった参加者からは『双方向の対話にはなっていない』などと不満の声が聞かれました。 大阪府は今後も住民説明会などを開催していくとしていますが、同じようなやり方では、住民の理解をどこまで得られるかは不透明な状況です」
(関西テレビ「newsランナー」 2023年9月28日放送)