強烈なにおいを発する嫌われもの、”カメムシ”が今、大量発生しています。取材班はどこにカメムシが潜んでいるのか総力取材しました。
視聴者のみなさんにも番組の公式ラインを通じて協力をお願いしたところ、いろんな場所に潜むヤツらの動画が集まりました。
あっ!ほら!いまもあなたのすぐそばに…
神戸市内のマンションでは
【記者リポート】
「自宅のエレベーターが開きましたが、さっそく、エレベーターの真横にカメムシが一匹います。一匹いるだけだと思ったら下にも3匹。上を見ると、なんと…明らかに今日の朝よりも増えている…。ちょっと待ってください、これ、家に帰れないかもしれないです。待って、20匹ぐらい、え!待って!あぁっ!やだっ!わ~っ」
記者はカメムシに襲われてしまいました。
今、日本各地でハンパじゃない数のカメムシが発生しています。
和歌山県の調査によると主に果実を食べるチャバネアオカメムシの9月の捕獲数が2022年と比べ約34倍になったとのことです。農林水産省も22道府県に「カメムシ注意報」を出し警戒を呼びかけています。
そして、私たちの暮らしの中にもその足音が忍び寄っています。天井にも、壁にも…そして、ベランダにも…
■ホームセンターでは…
そんな事態にホームセンターでは…
【記者レポート】
「カメムシ用殺虫剤は、去年同期比の約15倍の売り上げだそうです」
9月末に「カメムシ専用」の殺虫剤が全て売り切れてしまい、急きょ追加で別の種類の殺虫剤を大量に入荷したそうです。
【カインズ東大阪店販売担当 小林真優さん】
「60~70本ほどは随時入って来ては売れているという感じですね」
きょうも殺虫剤を求めるお客さんがやってきました。
【子連れの買い物客】
「洗濯物についてたりとかが一番嫌やなって思います」
‐Q:カメムシ好き?Q嫌い?
【子ども】
「プーするから…」
【子連れの買い物客】
「プーしてくさいねんな」
【買い物客】
「もう数えて300匹くらい殺してるんちゃう。軽くやったら飛んでくるやろ、せやから、パーンと落とすくらいの、あっちこち青タンやし肩痛いし、腕痛いし、もう年くうてるから難儀やでほんま」
■観光地でもカメムシ
さらに、大量発生した今年、カメムシの姿は都市部にも。
【記者リポート】
「こちら神戸の観光名所のモニュメントですが、カメムシが何匹も付いています」
みなとまち・神戸で人気の撮影スポットに集まったカメムシ。モニュメントで写真撮影中の観光客の後ろにもカメムシがいます。
‐Q:(モニュメントで写真)撮られました?
【観光客】
「やーちょっと、撮るの遠慮しようかな~」
「飛んでこられたらちょっと…ダメですね」
さらに、空高くそびえたつ梅田スカイビルにまでカメムシは現れました。梅田スカイビルの展望台は地上173メートルの超高所です。
【記者リポート】
「あ、カメムシいますね~!いっぱいいますね~。1,2,3,4,5…うわぁ~そのまま回廊に沿っていますね」
こんな“超高所”にいったいどうやってたどり着いたのでしょうか。ピークは過ぎたということですが、こんな経験は初めてだということです。
【空中庭園展望台 高瀬奈々さん】
「今まではなかったので、今年は異常な発生って感じかなと。『こんな高いところに』っていうことでびっくり」
そんなカメムシは、単なる“きらわれもの”というだけでなく、農作物などに被害を出す農林水産省が指定するれっきとした「害虫」です。
日本有数の柿の産地、和歌山県紀の川市では、収穫シーズンを迎えた農園に深刻な被害が出ています。標高約600メートルの山中で、柿を育てているにしぐち農園では…
【にしぐち農園西口寿一さん】
「これがカメムシが吸った跡」
‐Q:ちょっと色変わってますね。
【西口寿一さん】
「色変わったとこが、中まで固くなっていて、食べたとき食感が悪いっていう風に…」
この日も、収穫した柿に紛れ込んだカメムシ。今年はカメムシの被害で廃棄する柿が例年より2割ほど多いということです。
【西口寿一さん】
「今年は多いと思います。さすがにここまで例年だったら(ダメになった柿が)足元転がってないですけど、これ全部(カメムシのせいで)ダメやった柿なんで」
伊丹市昆虫館の長島聖大学芸員は、カメムシの幼虫が食べるスギやヒノキの実が、今年の夏、山で豊富になったことが大発生の理由になっているとみています。長島学芸員によると、独特の臭いは敵に襲われてピンチを感じた時に出すので、刺激しないようにすれば避けられます。しかし踏まずに通れない通路のようなところに集中している場合もあります。夜間は明かりに集まる習性があるので、明かりをうまくコントロールするといったことが対策として考えられるということです。
(関西テレビ「newsランナー」2023年10月3日放送)