■「この道しか通れない」市は認めず
自分の畑に行く道が有料になる?
大阪府和泉市で米や野菜などを作ってきた男性は今、ある“変更”に直面しています。
【農業をする男性】
「この土地は先祖代々、私たちの畑です。(畑に行くための)道が無かったので、無料で(市有地を)通らせてもらっていました。(ある時)市役所から、“通りたければ、2メートル幅の土地を買え。もしくは、賃料を払え”と(言われた)」
■約50年間 無料で通ってきた道
1000平方メートルほどもある男性たちの畑は公道に面しておらず、市やほかの人が所有する土地に囲まれた、“袋地”と呼ばれる場所にあります。
民法では、袋地の所有者が隣接する他人の土地を通る権利を認めていますが、同時に、隣接する土地の所有者が通行料を求めることも認めています。
市は50年ほど前から、田畑に通じる長さおよそ50メートルの土地の通行を男性らに無料で認めてきました。
しかし一転、今年5月に市が“通行料”を支払うか、その土地を買い取るよう求めてきたということです。なぜ今年に入って急に…。
【和泉市・前田正和総務部長】
「(もともと)“防災広場予定用地”として活用しながら、隣の方が通っていただくのは支障がなかったので、認めてきました」
■市の担当者「無償で使っていただくことはありえない」
市は当初、この土地を誰もが使える防災広場として活用する計画でしたが、変更。新しい警察署の建設のため、所有地の一部を府と交換し、残りの区画は売却することに…。
この際、畑に通じる一部分を残し、男性らに土地の購入または通行料の支払いを求めました。
市は「本来、(無償で)通れるという法的な権利は(畑の所有者に)なかったが、便宜上通っていただいていた。今後は普通財産として管理する上では、適正な対価を支払ってもらうことに理解いただきたい」とし、問題となっている畑に通じる部分の通行料について、年間最大43万円、土地の販売額はおよそ900万円と試算しています。これについて市の担当者は…。
【和泉市・前田正和総務部長】
「市民共有の財産として、無償で1人の方に使っていただくことはありえませんので、負担を求めている」と話しました。
■「市が通行を妨害するのは不当」調停申し立て
男性の父親は9月、「市が通行を妨害するのは不当」だとして岸和田簡易裁判所に調停を申し立てました。
【農業をする男性】
「通行権もあるにも関わらず、ここまで強硬に押し切ろうとしているのが非常に残念です」
市は「納得できるよう協議を進めたい」と話しています。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月3日放送)