■風疹がもたらした悲劇を描いた、実話に基づく物語
14日、大阪市内である演劇が上演されました。
タイトルは「遥かなる甲子園」、実話に基づく物語です。
東京オリンピックの開催に日本中が沸いていた1964年、アメリカ統治下の沖縄で風疹が大流行しました。
多くの妊婦が感染し、耳や心臓に障害のある子どもが400人以上生まれたのです。
その子どもたちが通っていたのが「北城ろう学校」。
物語は、甲子園を夢見ていた生徒たちが実際に体験したことがモチーフになっています。
== 舞台「遥かなる甲子園」 より==
【生徒】
「聞こえる連中は、お前たちのこと無視してるんだ」
【生徒】
「いいや、だから今度こそ辞めない。途中で逃げ出したら、
俺たちは、いつまでも耳の聞こえない、風疹障害児なんだよ!」
差別に苦しむ生徒たち、
そして、自分のせいで息子の耳が聞こえなくなったと自責の念にかられる母親。
風疹がもたらした”現実”です。
== 舞台「遥かなる甲子園」 より==
【母親】
「息子の耳が一生治らないこと、その原因が妊娠中に私が風疹にかかったことだと知らされたその日でした。
飛び込めば楽になれる…昔、命が生まれたという海に帰るだけだと、そんなことを考えました」
■昔の話ではない、風疹の流行に「今こそ対策を」
演劇の上演を企画した大畑茂子さん(52)。
大畑さん自身も22年前、妊娠中に風疹にかかり、赤ちゃんに難聴の障害が残りました。
『二度と自分たちのように苦しむ人を出してはいけない-』
クラウドファンディングで協力を呼びかけ、上演を実現させました。
【大畑茂子さん】
「この話は1964年に風疹が大流行した時の話ですが、けして遠い話ではないんです。
また今、風疹が流行っているんです!」
【演劇を見た人】
「誰もが感染者になり得ることを知っていかないといけない。
知った者としては、だまってたらあかんなという気がします」
【大畑茂子さん】
「こんなに豊かになって物が溢れてすごく良い国なのに、何にもしてない子供たちが障害を持って生まれてくる。
防げることを防げずにいるこの国に生きている私たちが、何をすべきかと少しだけ考えて頂けたら…
守ってもらえる命があるのかなと思います」