大阪発祥スパイスカレー。今やその人気は全国に飛び火するほどに!一体なぜ、大阪でスパイスカレーが生まれ、広まったのでしょうか?
やってきたのは東京にも出店している人気店。まずは味の調査が必要ですね!
【旧ヤム邸空堀店 加藤理店長】
「お待たせしました。本日のカレー膳です。」
【堀田アナウンサー】
「和食みたいですね。」
【旧ヤム邸空堀店 加藤理店長】
「結構和のテイストを取り入れて仕上げてますね」
【カレー膳2種あいがけ 880円(税込み)】
・鱈と煮込む白味噌鶏キーマ菜の花の梅しらす和えのせ
・黒ビールでつくる牛スジカレー
【堀田アナウンサー】
「どれぐらいのスパイスが入るんですか?」
【旧ヤム邸空堀店 加藤理店長】
「多い時であれば20種類以上。シンプルな時でも10数種類とか使って作ってますね」
恥ずかしながら、スパイスカレー初体験です!
【堀田アナウンサー 実食】
「スパイスカレーっていう言葉からめちゃくちゃ辛いのイメージしたんですけど、結構マイルドですね」
【旧ヤム邸空堀店 加藤理店長】
「そうですね。辛い=スパイスカレーじゃなくて、スパイスを楽しんでいただくものがスパイスカレーだと思ってる。だから辛いっていう先入観は持たないでほしいかなと」
いわゆる「スパイスカレー」とは、ルーや小麦粉を一切使わず、数十種類のスパイスと出汁、そしてそこにマッチする食材を自由に組み合わせて作り上げるものなのだそう。
ちなみにあいがけの場合、副菜も全て混ぜて食べるのもオススメだそうです。
【堀田アナウンサー】
「なんで今これだけスパイスカレーが盛り上がってきていると思いますか?」
【旧ヤム邸空堀店 加藤理店長】
「個性を出しやすいっていう時代なのかなと思うので、そこにカレーがフィットしたと思う。新しいことにチャレンジしたいっていう大阪の商いの精神みたいなところもあるのかなと。」
自由にスパイスと食材を組み合わせることができるスパイスカレーは、いわば「なんでもアリ」確かに私がいただいたものも鱈、白味噌、菜の花、梅、しらすに黒ビールなど…カレーでは聞いたこともないような食材ばかり。
大阪には、「オリジナルの味を作りたい」という作り手が多かったため、幅広いアレンジができるスパイスカレーの店が増えたのでは、とのこと。実際に、大阪のスパイスカレーをだす店は2年前に比べて、なんと約7倍に増えているのです。(ぐるなびデータライブラリ調べ)
実はカレーと大阪にはこんな歴史的背景も。
明治時代、薬の町として知られる大阪・道修町の薬問屋の二代目店主が、漢方薬の原料とカレーの匂いが似ていることに気づき、研究・開発を重ね、日本で初めて国産のカレー粉を製造したのです。
カレー粉を作った大阪から、時代を経て、スパイスカレーという新しいカレーが生まれたんですね。
しかし一大ブームを巻き起こすには、やっぱりお客さんからの支持が欠かせませんよね。
【堀田アナウンサー】
「スパイスカレーの魅力は?」
【街の人】
「一言で言うと刺激的!」
「味が深い!」
「最初、自分の口には合わへんかなと思ってたけど食べてみたら癖になる。」
「辛いのあんまり得意じゃないんですけど、口に残るヒリヒリした感じを後に楽しむのが好きです。」
様々な意見がありますが…「なぜスパイスカレーが大阪人の心に刺さったのか」、食文化に詳しい相愛大学の前垣教授に実際に食べて分析してもらいます!
==お出汁とスパイス元祖エレクトロニカレー==
【河相店長】
「お待たせです、カレー二種のあいがけです。」
こちらのお店は特に出汁にこだわっていて、店長の河相さんが毎朝100分かけて、様々な食材から丁寧に出汁をとっているのだそう。
【相愛大学 前垣和義客員教授】
「スパイスがばっと効いて暖かくなってきますね体が。こっちはかなりまろやかですね。」
【堀田アナウンサー】
「やっぱりおだしですかね、だしがきいてる感じがするなあと。」
【相愛大学 前垣和義客員教授】
「だしはほんまにきいてますね。だしも大阪の文化ですからね。」
== 大阪に定着したワケその1「だし」 ==
【相愛大学 前垣和義客員教授】
「だし文化を作ったのは大阪ですから。それでいきてるとは思う。私も最初和だしが入ってると聞いた時にはもう一つピンとこんかった部分はあるんですけど、食べてみるとまろやかですから。」
さらに、食べ方も大阪の食文化に合っているそうで…
【堀田アナウンサー】
「ちょっと混ぜてみましょうか。」
【相愛大学 前垣和義客員教授】
「今度また面白い味になってきます。大阪っていうのは混ぜ文化ですよ。」
== 大阪に定着したワケその2「混ぜて食べる」 ==
【相愛大学 前垣和義客員教授】
「大阪人は好奇心が旺盛ですから、『混ぜたらどうなるやろかな』っていうことで、色んな食べ物を生んできた歴史がありますのでね。だからミックスジュースにしても色んな果物を混ぜ合わすところで『どうや?』という。やっぱり東京、関東はシンプルイズベスト。大阪はまぜまぜ!!これは好奇心が背景にある。」
前垣教授の分析の結果、だしを使っているという点と、混ぜ合わせて楽しむ食べ方が、大阪人にぴったりはまったのでは、とのこと。
【堀田アナウンサー】
「本当に大阪人にマッチした食べ物なんですね、スパイスカレーって。」
【相愛大学 前垣和義客員教授】
「そういうことやと思いますけどね。」
さらに、スパイスカレーが全国的に広まったワケを探るため2年連続ミシュランガイドに掲載され世界にその名を馳せた「Columbia8」を訪ねました!
【代表 オギミ~ル★さん】
「できました!どうぞ。」
【堀田アナウンサー】
「ありがとうございます!こちらが?こちらがColumbia8のキーマカレーですね。」
30種類以上のスパイスが使われているこちらのキーマカレーは、上に乗っている獅子唐を合間に食べることで最後までスパイスを楽しめるそうです。
【堀田アナウンサー 実食】
「いただきます。え!不思議、そんな辛くない!」
【Columbia8北浜本店 代表 オギミ~ル★さん】
「うちのカレーはうま味もそうですけど香りに重きを置いてますので、辛さはうちではおまけやと思っといてください。」
【堀田アナウンサー】
「ものすごいギャップですね。」
コロンビア8代表のオギミ~ル★さんは、自分ならではの味を作りたいと、まだ「スパイスカレー」という言葉すらない11年前にこのカレーを編み出したそうです。
【Columbia8北浜本店 代表 オギミ~ル★さん】
「こんなにも火が付いたのはここ5、6年ぐらいですかね。ドバっと増えました。一気に。」
【堀田アナウンサー】
「なんでそんな増えたんですか?」
【Columbia8北浜本店 代表 オギミ~ル★さん】
「5、6年前ぐらいに広がった時にはSNSがすごくポピュラーになった。当時(11年前)からありましたけど、当時使われてた以上に普及した瞬間やったんですかね。」
【堀田アナウンサー】
「見た目も写真撮っときたいし、アップしたくなるような感じですもんね。時代にうまくあったんでしょうね。」
大阪で生まれ、定着したスパイスカレーは、一風変わった見た目がSNSで注目され、その発信力によって全国的に広まっていったのかもしれません。
目で楽しみ、鼻でスパイスを感じ、そして食べて美味しい。スパイスカレーは、大阪人の自由な気質と独自の食文化が発展させた新たな「大阪らしい食べ物」と言えそうです。