若者の間で「野菜」という言葉が、“あるもの”の隠語として使われています。実はこの「野菜」とは、『大麻』のことを意味するんです。
先日発表された、大麻の検挙件数は過去最悪。中でも若い世代の検挙が目立っています。若者の間で広がる「大麻」、その驚きの実態を取材しました。
検索すれば簡単に…SNSに溢れる「大麻」の投稿
ツイッターで大麻を検索してみると…
【記者】「見るからに怪しい写真がたくさんでてきました…」
画面に現れたのは、「大麻」の写真!他にも続々と怪しい投稿が…
今、大麻が若者たちにとって身近な存在になりつつある背景を取材しました。
驚くほど低い罪の意識、「大麻を吸う動画」まで…
大阪ミナミの街で若者にマイクを向け、大麻に関して取材してみると…
(記者)「大麻についてどう思う?」
男性1「たばこよりは安全とおもいます」
男性2「ぼくはバレなかったらいいんじゃないですかね」
男性3
「それをやったからどうやって、社会的制裁を加えるほどのもんなんかって。僕はいいようにしかとらえてないですね」
大麻を「危険な薬物」だと捉えていない若者たち…
取材進めると、『大麻を吸っている様子』を撮影した動画を見つけました。
どこかの部屋の中で、数人で談笑する雰囲気の中、一人の大学生が椅子に腰かけながら大麻を吸っている様子が映っています。
(大学生)「息するのがしんどい」
映っている大学生はぐったりとして、意味もなく笑い続けます。
幻覚や記憶力の低下も…精神的な影響は”一生続く”
厚労省によると、大麻は、摂取すると幻覚を引き起こしたり、精神的に不安定な状態になったりします。乱用を続けると、記憶力の低下や小学生程度の計算や読み書きしかできなくなってしまうこともあります。
【京都府 南丹保健所 石田真一郎さん】
「大麻たばこ一本はタバコ20本分の発がん性物質が含まれている。精神的な影響は一生続くとうかがっております」
3月、警察庁が発表した統計によると、去年の大麻の検挙人数は3578人と「過去最悪」となっていて、30代以上と比べると、とくに若者が急増。
大阪では20代以下の検挙人数が去年と比べて「約1.5倍」の228人に増えています。
その背景には、若者たちが簡単に大麻の情報を手に入れられる現状があります。
(若者)「リツイートで出てきて」
(記者)「何が?」
(若者)「大麻の販売所です」
(若者)
「大麻の動画とかあるし、ツイッターで回ってきたりするし、誰誰さんが『いいね』しました、で入ってくるときもあるから」
『野菜』という隠語で…蔓延する大麻の情報
SNS上に蔓延する大麻の情報。
さらに、取材を進めると。暗号のように飛び交うある言葉が…
『野菜』
(記者)
「実際に野菜という文字をツイッターで検索してみたいと思います」
大量に出てきたのは“野菜”を売り買いする投稿。実は野菜とは「大麻」の隠語なのです。
“野菜”を売っているというアカウントに客のふりをしてメッセージを送信。『電話で話したい』と要求すると、数分後…
(売人)
「お疲れ様です」
Q:(大麻の取引は)どういう段取りに?
「取引自体は梅田とかお初天神とか、ちょっと路地になってる方とか。警察が少ないところですね。簡単に言ったら」
「だいぶこれ気持ちよくなるんでね。吸ってもらったらわかると思うんで」
Q:値段は?
「一応7000円ですね」
Q:買いに来る人は、若い人が多い?
「若い人も多いですね。多めですね。だいぶ多めですね」
悪びれる様子もない、”17歳”の大麻の売人
さらにこの日、連絡をとった別の売人は、電話でのインタビューを了承しました。
(大麻の売人)
「普通に、悪いことと思ってやってないので」
Q:売ることを?
「そうですね。ただ普通に小遣い稼ぎにもなって…」
Q:いまおいくつぐらい?
「今、17ですね」
17歳だと語る売人は、薬物がらみの事件を起こして高校を中退、1年ほど前から、SNSを通して大麻を売り始めたと悪びれる様子もなく話します。
(17歳の売人)
「SNSの情報入ってきたんで、そこで売る方がまだ効率いいって聞いて。(一日で売るのは)だいたい5~6人くらい。利益だけで考えたら2万円くらい」
巧妙化する取引…”消えるSNS”
SNSで横行する取引…
警察もこの事態を食い止めるべく、新たに専門の係を設けました。
【大阪府警 薬物対策課 中矢高稔課長補佐】
「平成30年の春から、薬物サイバー対策係が新しく設置されました。その係でインターネット上の薬物の売買の取り締まりを現在強化しています」
警察によると、野菜などの隠語を使ってSNSに投稿することで、もし捕まっても、「野菜を売っていただけ」と言い訳をする目的もあるといいます。
そして最近、警察の捜査の新たな壁となっているのが…
【大阪府警 薬物対策課 中矢高稔課長補佐】
「消えるSNSとか使ってやってるのも事実です」
~巧妙化する取引 “消えるSNS”~
今回、取材班が売人たちと電話などの連絡を取る際、ツイッターとは別の、あるメッセージアプリを使うよう指示がありました。
ダウンロードは無料、見た目は普通のメッセージアプリなのですが…
(17歳の売人)
「(このアプリは)文字自体が暗号化されてるので、警察に捕まっても携帯から出てこないんですよ。履歴が」
通常、SNSでメッセージを送ると、発信した側がメッセージを消去しても、サーバーには通信履歴が残る場合もあり、完全にけすことは困難です。
しかし、この“消えるSNS”では、メッセージ自体が暗号化されているため、一度消してしまうと復元が難しく、大麻の取引の証拠が残らないというのです。
Q:(売人を)やめた方がいいと思うが?
「あーまーけど、やめないですかね。お金がないのと、親もたよれないですし。儲かってるっていうのもありますね。お姉さんもやりたくなったら連絡してください」
買う側は手軽に、売る側は巧妙に…
違法で有害な大麻は確実に若者たちに忍び寄っています。