投開票日が近づく参議院選挙。近畿2府4県と徳島・高知の各選挙区についてお伝えします。
今回は和歌山県と奈良県です。
あわせて5人がそれぞれの1議席を得るための闘いを繰り広げています。
与党対「野党統一」の舌戦の現場とは?
【和歌山選挙区】
選挙戦初日、和歌山県南部の新宮市に降りたつヘリコプター。
颯爽と現れたのは安倍政権で経済産業大臣を勤める自民党の世耕弘成さん(56)です。
【自民党・世耕弘成さん】
「ヘリコプターなんて贅沢じゃないかと思われるかもしれないけれど、私はたった一日しかないんです」
5期目を狙う世耕さんが和歌山に入れるのは公示日だけ。
閣僚の中で唯一の候補者のため、公務と各地の選挙応援で多忙を極めているのです。
たった一日の選挙戦、安倍政権の実績を力強くアピールします。
【自民党・世耕弘成さん】
「経済、外交、安倍政権はしっかり立て直しました。残りの残った部分を安定した政治環境の中でしっかりやり遂げていくことをお約束したいと思います」
そして、午後7時過ぎ。
最後の演説には石田総務大臣もかけつけ、世耕さんは1日で県内の9か所、400キロの道のりを回り切りました。
【自民党・世耕弘成さん】
「数え切れないくらいの人と握手でき、自分の政策を直接聞いてもらうことができたのは有意義だったと思う」
――Q:本当に今日一日だけしかこない?
「情勢が激変すれば別ですけれど現時点では今日一日だけかなと」
――Q:不安とかないですか?
「そりゃ不安ですよ自分の選挙は本来はフル稼働でやりたいもんですもんね」
それでも狙うのは得票率全国1位という圧倒的勝利。
そんな世耕さんに対し…
移動手段は自転車。弁護士で無所属の新人、藤井幹雄さん(58)です。
【無所属・藤井幹雄さん】
「相手候補はヘリコプターで飛ぶそうです私はこの足で(パチン!)。自転車で回ります」
元和歌山弁護士会会長の藤井さんは“野党統一候補”として立憲、国民、社民の三党から推薦を得ました。
出馬を決意したのは消費税増税や改憲を進める安倍政権への危機感からでした。
【無所属・藤井幹雄さん】
「安倍さんのやってることは消費税増税でもそう年金問題でもそう。結局弱いものには我慢させる弱いものからお金をとる。安倍政権にちょっと待てよやりすぎちゃうかと」
趣味のトライアスロンで鍛えた自慢の足で相棒の自転車とともに選挙を戦い抜きます。
【無所属・藤井幹雄さん】
「有権者の方とも車よりも近くで接することができていると実感している。お疲れ様です」
ところが、7月7日の朝、藤井さんは選挙カーに乗ってやってきました。
【無所属・藤井幹雄さん】
「朝、自転車見たらパンクしてた」
なんと愛車がパンクするアクシデント。
午後になり、修理された自転車を家族に持ってきてもらいました。
【無所属・藤井幹雄さん】
「よっしゃ~」
この日、支援者たちが開いた七夕イベントを訪れた藤井さん。
世耕さんに立ち向かうべく、短冊に願いを込めました。
【無所属・藤井幹雄さん】
「安倍首相の大側近である世耕さんと戦えるのは非常に光栄だと思っています。むちゃくちゃ強敵だと思いますけど」
短冊に書いた言葉「安倍政治の暴走に今こそレッドカード」
【奈良選挙区】
【記者リポート】
「奈良選挙区では自民党現職と野党統一候補が『事実上』の一騎打ちです」
【自民・堀井巌さん】
「ふるさと奈良をもっと元気にしたい。そう思って6年前、国政に挑戦した。今もその思いは変わりません」
自民党の現職・堀井巌さん(53) 二期目の当選を目指します。
相次ぐ災害に備え、対策の充実や県内のインフラ整備を公約に掲げています。
【自民・堀井巌さん】
「4年後の2023年ごろにはリニア中央新幹線の新駅の位置が確定するといわれている。新幹線も飛行場もない奈良県にとっては、リニア新幹線の駅を誘致することが県民の悲願でありました」
また堀井さんは外務大臣政務官として50ヵ国以上を訪問していて、河野太郎外務大臣が応援に駆けつけました。
【河野太郎外相】
「国内の政治基盤が安定していないと外交もうまくいきません。堀井巌への1票という形で投じていただきたい」
県南部を中心に保守層が厚く「自民党王国」ともいわれる奈良。
この日は、分刻みのスケジュールの中、2人で20ヶ所以上をまわりました。
【自民・堀井巌さん】
「今まで遅れていた道路インフラも相当進んでまいりました。また災害対応ももっと安全で安心できるようにしてもらいたいと。そのことをしっかり実現する立場で努力する」
一方、新人の野党統一候補として挑むのが旧・室生村の出身で無所属の西田一美さん(58)です。
【西田一美さん】
「この室生村と奈良市や東京の生活はやっぱり違います。公共交通の不便もあります。そして働く場が本当に減ってしまいました。安倍政権の中で何が残ってきたでしょうか」
労働者の組織、「連合奈良」の会長を務める中、“野党統一候補”として出馬を打診され、立憲、国民、社民の三党から推薦を受けています。
【有権者の女性】
「消費税の増税、何とかなりませんか?」
【西田一美さん】
「衆議院も参議院も与党が大半なんです。なんでも通っちゃうので、今こそお灸をすえる意味で参議院で野党が勝たないと」
賃金・雇用の問題や女性の目線から子育て支援にも取り組み、「平等な社会」の実現を訴えます。
「無所属」にもかかわらず、立憲民主党の枝野幸男代表が応援に来るという力の入れぶりです。
【枝野幸男代表】
「地方遊説のスタートがこの奈良、西田一美さんの応援であります。分かりますね、みなさん意味。ここから頑張れば勝てるぞっていうところじゃないと代表・幹事長、来ないです」
【西田一美さん】
「組織選挙ですから、自民党は。保守基盤は強いな~っていうのは実感してますよね。なかなか、手ごたえは徐々には上がってきている気がする。雲をつかむ感じです」
奈良選挙区では、このほかに諸派の新人、田中孝子さん(64)も立候補しています。
それぞれの1議席を獲得するのは誰か!
投開票は7月21日です。