兵庫県尼崎市の小学校教師が逮捕された女子児童に対する強制わいせつ事件。教師による子供たちへの性犯罪は後を絶ちません。
どうすれば子供たちを守ることが出きるのかツイセキします。
林間学校で児童にわいせつ 教師を逮捕
尼崎市立小学校の32歳の男性教師。逮捕から11日目の10月3日、余罪などを調べるため拘留を延長する手続きが取られました。
男性教師は9月、泊りがけで行われていた林間学校で児童の部屋に侵入し、寝ていた小学5年の女の子4人の体を触った強制わいせつの疑いで逮捕されました。
調べに対して容疑を認めています。
逮捕翌日、学校では…。
【記者レポート】
「男性教師の所属する小学校では緊急の保護者説明会が開かれます。学校は再発防止策を示すことが出来るのでしょうか」
学校は今回の逮捕についての説明会を実施。
その中盤になって、保護者からの指摘を受けて初めて、驚くべき事実を明らかにしたのです。
=保護者説明会の音声データより=
(学校側)
「保護者の方から電話がありましたということです。(男性教師が)後ろから子供に対して肩のところに手をのせる、あるいはハグをしているような感じがある」
今回の事件の数日前に、保護者が「男性教師が女子児童を抱きしめていたなどしていた」と被害を学校に訴えていたことが明らかに。
=保護者説明会の音声データより=
(学校側)
「(男性教師は)「肩のころに手を置くということはしたことあります」と、それは当然か我々「だめでしょう」って話を本人にし、「分かりました」っていうような返事をもらっていた。こんなことになってしまっております。申し訳ございません」
しかし、学校は口頭で注意をして林間学校に同行させていたのです。「重大な事態と認識していなかった」と説明しています。
――Q:子供から男性教師の噂は聞いたことがある?
【説明会に参加した保護者】
「1学期に何度か聞いたことがあります。女の子の体を触ってるんじゃないかって話を聞きました。こういう形で自然学校がなされたってことは、保護者としてもすごく腹立たしいですし、学校が安全な場所なのかどうか疑問が残っています」
明かになる学校の危機意識の低さ。そして学校は、効果のありそうな再発防止策を何も示していません。
毎年「200人以上」の教師が懲戒処分に
教師による性犯罪…そこには驚くべき統計があります。
それは…
「教師のわいせつ行為等 毎年200人以上 懲戒処分」
文部科学省がまとめたデータ。
強制わいせつとセクハラで懲戒処分を受けた教員は2017年度には210人、なんと毎年200人以上いるのです。その約半数が自分の学校の児童や生徒への行為です。
25年前の被害体験に、今も苦しむ女性
9月末のある日、名古屋市のとある場所に女性たちが集まっていました。
【女性】
「私は実の兄からの性被害に今も悩んでいます」
【女性】
「私も小学校1年生のときの担任の教師からの被害なんですけど…」
同じような性被害などにあった女性に、「希望」の花言葉をもつガーベラを順番に手渡しながら打ち明けていきます。
教師による被害者も少なくありません。
【教師から性被害にあった涌井佳奈さん】
「結婚しても今でも不信感というか、相手は加害者ではないのに加害者を投影したり。逃避をずっと考えて、逃げたいとか、破壊したくなったり、壊したいとか、幸せなんて嘘だろみたいな、安泰とかが気持ち悪い感覚があって」
性被害などで傷ついた女性を支える会を定期的に開催している涌井佳奈さん(44)。
高校生のときに、信頼していた教師から性被害に遭いました。
【涌井さん】
「スカートの中に手をいれられてかたまってたところ、そういうわいせつなことを放課後にされたのが最初。子供は何も経験のない10代とか未成年は性が分からない。経験がないことって嫌とも言えない」
当時、涌井さんは学校に相談ができませんでした。
性被害の影響もあり30代でうつ病になり、自殺をしようと自宅で首を吊りましたが、母親に発見されて一命をとりとめました。
25年以上前の被害体験に、今も苦しんでいます。
【涌井さん】
「ずっと蓋をしていて自分でもPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状か何かわからない。でも苦しい。なんで死にたいかも分からないけど、でも死にたいとかそのことって自分が一番認めたくないし向き合えない部分なんです。性被害って」
誰にも知られたくない被害ですが、涌井さんは実名で活動をしています。
【涌井さん】
「法的にも相談したけど時間が経ちすぎている。因果関係がなかなか証明しづらいから、逆に名誉棄損になるってことを何回か言われて。本当に無かったことにはしたくないっていうのがあって。私も娘がいるんですけど、自分の子供の代にこういうことが、こういう社会じゃいけないなって思いが強い」
涌井さんを傷つけた教師は問いただされることなく、今も教育の現場にいます。
実際の被害は…処分件数の10倍以上とも
なぜ教師の子どもへの性犯罪は後を絶たないのでしょうか。
専門家は、教師に従うことが求められ、死角も多い学校という特殊な環境が犯罪につながりやすいと指摘します。
【筑波大学人間系 原田 隆之教授】
「世の中には子どもに性的関心が強い人たちが一定の数いるわけです。(子どもへの性的行為を)実行する人っていうのは非常に少ないです。ただそれが、学校の現場であったりとか、実際にそういう物理的な状況というのをつくりやすいわけです。子どもの場合は、なかなか被害を受けたっていうことが把握できない場合もあるので、(被害は懲戒処分の)200件なんてものではなくて、数倍から10倍以上の実数があってもおかしくない」
被害から何年たっても苦しみ続ける女性たち。
今も起き続けている教師の性犯罪から子供を守るために、具体的にはどんな対策が出来るのでしょうか。