女子高校生4人組が、まさかの時に命を救う「AED」にまつわる、ある「難題」を解決しようと、アイテムを作成しました。
みなさん、“ためらいなく”AEDを使えますか?
高校生が「心臓突然死」の難題に挑む
【高校生の寸劇】
「た、大変だ!どうしよう!そういう時に使うのが『レスキューカード』!」
軽快な寸劇でプレゼンテーションを行う、高校生たち。
しかし、内容は切実で、心臓が突然止まって死に至るのを防ぐための“解決策”です。
【高校生のプレゼンテーション】
「高齢者にもわかりやすいよう、救命活動の一連の流れを絵中心で説明しています」
日本で年間約7万人が命を落としているという「心臓突然死」を減らすためのアイデアを高校生たちが競う、関西大会が開かれました。
そこに参加したのが…
【大谷高校の高校生】
「こんにちは。私たち『進撃の大谷ガールズ』です。皆さん、想像してみてください。ある日突然、あなたの目の前で見知らぬ女性が倒れました」
大阪の大谷高校に通う、女子高校生。この4人が目を付けたのは、女性にAEDを使用する際の「深刻な問題」です。
服を脱がせてAED使用…男性に「ためらい」も
【大谷高校のプレゼンテーション】
「あなたは即座に胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始します。AEDも到着しました。さぁ、その女性の身体にAEDのパッドを貼ろうとしたその時、あなたはすぐにその女性の服を脱がすことが出来ますか?難しいですよね」
今年、京都大学などの研究グループが、全国の学校で心臓が停止した子どもにAEDを使用したかどうかを調査しました。
その結果、特に高校では男子生徒の「83.2%」にAEDを使用したのに対し、女子生徒に使用したのは「55.6%」。
「女性へのAEDの使用率」が、明らかに低いことがわかったのです。
大谷高校の4人は、今年6月からこの問題の解決策に取り組んできました。
【大谷高校・松村美優さん】
「男性が女性を救助する際、AEDのパッドを貼るのは地肌じゃないとダメなんですけど、服を脱がせないといけなくて。それに抵抗を感じているようで。それをなくしたくて…」
女性の服を脱がせることへの抵抗感は、高校生に限った話ではないようで、街で話を聞いてみると…
【男性】
「セクハラとか胸を触られたとか。怖いですね。触っていいのかどうかって、躊躇すると思います」
――Q:裸を見ずにであれば、ためらわずにできる?
【別の男性】
「それだといけると思います」
そこで、4人が考えたのが…「まもるまる」。
「女性の肌を見ずにAEDが使える」という、救命用のシートです。
”助ける側”の意欲・思いも守りたい
大会当日、彼女たちの自信作だという「まもるまる」を、大勢の人たちの前で披露します。
【大谷高校のプレゼンテーション】
「あ、人が倒れている。胸骨圧迫開始。AEDが到着しました。と、ここで、『まもるまる』を…
1、倒れている人の首に被せます。
5、電気ショック実行…と、このように使用します」
身体を隠した状態でも、AEDを付ける場所がわかる「まもるまる」。
素材も塩化ビニールを使っているので、防水性や電気ショックを与えた時に、感電を防止する効果もあります。
【大谷高校・椎原彩葉さん】
「助けられる女性のプライバシーだけではなく、助ける側の助ける意欲・助けたいという思いも、私たちは守りたいんです」
医師らによる審査…『まもるまる』の評価は
彼女たちのプレゼンを審査するのは、ほとんどが医師。
プロの視点から見た、厳しい指摘が次々と…。
【審査員】
「胸骨圧迫する場所はここです、という印がついているでしょ?だから間違えて、AEDのパッドをそこに貼る人が出てくるかもしれない」
【別の審査員】
「人の体格にはかなり差があります。(胸骨圧迫で)押しているところが、実際にはもっと下や上を押した方がいい場合もありうる」
【大谷高校・椎原彩葉さん】
「やはりずれていると意味がない思ったので、学校でクラスメイト・男性教師に試してもらったが、誰もずれたことがなかったので、このデザインで確定しました」
と、自分たちの開発した「まもるまる」をしっかりアピールした結果…。
【司会】
「発表します。1位は…『進撃の大谷ガールズ』1位です。おめでとうございます」
見事、彼女たち4人が最優秀賞を獲得しました!
【大谷高校・松村美優さん】
「本当に、今回はほかのチームの発表がすごすぎて、ダメかなと思っていたので、もう緊張でいっぱいでした」
【大谷高校・椎原彩葉さん】
「この案(まもるまる)がすごく好きだし、絶対役に立つと思う」
1分1秒を争う場面で、誰もが“ためらうことなく”、目の前の命を救える社会に―。
彼女たちの『まもるまる』が、当たり前のように使われる日も、そう遠くないかもしれません。