古代オリンピックから続く歴史ある競技、ウエイトリフティング。
山本俊樹選手は、兵庫県三木市で競技に出会い、
去年、世界選手権で金メダルを獲得しました。
オリンピックのメダリストを恩師に持ち、一からその指導を受けてきました。
山本選手が目指すのは、恩師を超える”金メダル”です。
【服部】すごい、岩みたいですね!
これは見たことないですね。「ししゃも」みたいですね。
【山本】ウエイトリフティングは(腕の)うしろの筋肉が重要で、
最後の支持姿勢の時に、ここを伸ばす筋力として、自然とついてくるので。
身長は171cm、体重は90kg。
初めてのオリンピック出場を目指す山本選手、
すごいのは、腕の筋肉だけではありません。
【服部】見てください、これ!
【山本】脚の力でバーベルを引き挙げて、
そして跳ね上げて頭上まで持ち上げるので、
足の脚力というのは重要になってきます。
山本選手が、その名を轟かせたのが去年の世界選手権でした。
バーベルの重さは、挙げれば日本記録となる「208kg」
※2019年9月「世界選手権」
これで見事、金メダルを獲得し、日本人で42年ぶりとなる快挙を果たしました。
【山本】日本選手が世界と戦って、負けているような競技は誰も見てくれないと思っているので。
僕が世界と戦う際には必ず表彰台に立って、ウエイトリフティングという種目をみんなに見てもらう、
それが僕の役目だと思っているので。
これまで全日本選手権3連覇を含む5度の優勝と、国内では”もはや敵なし”。
こちらは、そんな山本選手の中学生時代。
陸上の長距離選手で、体重は今の半分以下(約40kg)でした。
ウエイトリフティングとの出会いは、高校生の時。
きっかけは三木東高校で今も監督を務める小高正宏さんです。
実は小高さんはロサンゼルス五輪の銅メダリスト。
その小高さんが、高校に入学して間もない山本選手を勧誘した方法が…
【山本】校内放送で『山本俊樹くん、至急、職員室に来なさい」という放送が流れて、
僕の記憶の中では、何か悪いことした覚えはなかったので、
『何かな?』と思いながら、職員室に行くと『ウエイトリフティングやらないか』と。
もう逃げられず、そのまま入部したのを覚えています。
【小高】入部して、すぐにスナッチ種目を指導したんですが、
『こうやって挙げるんや』と、一度アドバイスをしたら、理想的なリフティングをしたことにビックリしました。
『スピード』『バランス感覚』『柔軟性素』
素質は、指導してすぐにわかりました。
その恩師から、山本選手へメッセージです。
【小高】彼が今、東京オリンピックを目指して、頑張って、
トレーニングを積んでるっていうようなことは、本当に尊敬もしてますし、
素晴らしいことだなと思っています。とにかく彼のいい部分は『有限実行』。
それに向けて日々努力する。そこが彼の素晴らしいところだと思います。
【三木東高校の後輩たち】東京オリンピックをめざして、頑張れ!
【山本】ありがとうございます。
僕がオリンピックを目指すきっかけになったのが、小高先生がきっかけなので。
僕の誇りでもあるので。
かつてウエイトリフティングは”日本のお家芸”でした。
小高さんが出場したロサンゼルスオリンピックまでに、日本は実に12個ものメダルを獲得しました。
しかし、男子ではその後、メダルから遠のくこと36年ー
山本選手が目指すのは、恩師の小高さん以来となるメダル獲得です。
※「全力東京」階級の壁を超えろ
去年の世界選手権の山本選手の階級は89kg級です。
しかし、東京オリンピックで実施される階級に89kg級はありません。
山本選手は体重を増やして、よりハイレベルな96kg級でのオリンピック出場を目指しています。
【山本】その分、記録も高くなりますし、
世界的に見ても、かなりレベルの高い階級でもあるので、
現状の力で言うと、まだまだ及ばないので。
東京オリンピックまで、まだ期間はあると思っているので。
5日前のツイッターには、自分の限界を超えようとする山本選手の姿がアップされていました。
※3月13日 山本選手のツイッターより
「世界トップの中国人リフターは、これ(肩にバーベル)を400kgで10秒キープする。
ちなみに、僕は380kgで3秒しか出来ない。その差を埋めていく!!」
【山本】僕が重量級でも『日本人は世界の舞台で戦える』というのを証明したいので。
厳しいから金メダルを目指さないのではなくて、厳しいからこそ、
金メダルを目指して自分を奮い立たせて、頑張りたいなと思っています。
【服部】金メダルを取ったら、噛みますか?
【山本】小高先生の銅メダルの横に置いて、
『金メダル取ったよ』って、自慢したいです。