地元の人を中心に人気を集めている、サッカーチームがあります。
Jリーグに所属する、『徳島ヴォルティス』です。
国内のトップリーグ・J1昇格にあと一歩のところまで迫っていました。
【女性サポ―タ―】
「私も一緒に戦うつもりで。選手と同じ気持ちです」
【男性サポーター】
「サポーターの熱が以前と比べると熱くなっている」
【男性サポーター】
「ヴォルティスの活躍っていうのが、糧になっているというか、生活を楽しませてくれてる大きな要因になっています」
チームを率いるのは、スペイン人のリカルド・ロドリゲス監督。
決して強豪とは言えなかった徳島ヴォルティスを、就任から4年で、J1昇格を争うチームにまで育てあげました。
リカルド監督は、徳島にどんな魔法をかけたのでしょうか?
ここはリカルド監督行きつけのうどん店。
徳島に移り住んで4年。言葉の壁に悩んだこともありましたが、今では通訳をつけずに生活しています。
――Q:うどんは好きですか?
【リカルド・ロドリゲス監督】
「イエス、好きです、好きです」
「めっちゃおいしい、ありがとう」
【うどん店店員】
「頑張ってくださ~い」
町の人たちの期待を肌で感じています。
【うどん店 店主】
「地域の人は半端ではないですね。盛り上がりは。みんな食べに来た時に必ずヴォルティスの話を話しかけてくれるんです。選手来てる?とか今回試合どうだった?とか」
【リカルド・ロドリゲス監督】
「私たちは試合を見てくれる人たちが楽しんでもらえるようなサッカーを目指しているので、J1に昇格して、ファンにいい影響を与えて、街全体が盛り上がればいいなと思います」
Jリーグの2部に当たるJ2に所属している徳島ヴォルティス。
J1に昇格するには、2位以内に入る必要があります。
リカルド監督がチームに植え付けたのは、“ボールを奪われてもすぐに取り返す”積極的なスタイル。
その攻撃的なサッカーは徳島の人たちを魅了しました。
そして、リカルド監督には、スペイン、メキシコ、サウジアラビアなど様々な国でチームを率いた経験から、大切にしていることがあります。
それは、地域から愛されるチームを作ること。
【岩尾憲キャプテン】
「徳島ヴォルティスというクラブがどうあるべきなのか、どういう風に地域に対して発信していくのか、裏では熱く語っているので、サッカーに真剣でありながらもっと広く見ている人かなと思います」
徳島名物・阿波踊りには、選手たちの先頭に立って毎年参加。
地域に溶け込み、地域の人にサッカーの楽しさを知ってもらう。
そして地域からの声援が、チームの力になるのです。
【リカルド・ロドリゲス監督】
「すごく応援されているなと感じます。温かい言葉などをかけてもらえるので。J1に昇格してほしいという声もかけてもらえるので、言葉が分からなくても応援されていることはすごく感じています」
リカルド監督が就任してから、試合を見に来る観客の数は右肩あがり。
4年かけて監督の目指す、地域に根付いたチームを作り上げました。
2019年はあと一歩のところでJ1昇格を逃しました。
2020年こそ、いつも声援を送ってくれる徳島の人たちにいい報告がしたい。
そんななか、勝てば”J1昇格”の大一番を迎えました。
【男性サポーター】
「守るんじゃなくて攻めて、点をとって昇格してほしい」
【男性サポーター】
「4年間の集大成としてきょうホームで決めてほしい」
築きあげてきた、攻撃的なサッカーを貫き通します。
そして、ついに・・・。
J1昇格が決定!
選手と地域の人がひとつになって掴んだ、歓喜の瞬間でした。
今シーズン限りで徳島を去ることが決まっていたリカルド監督…
スタジアムで選手と観客に想いを伝えました。
【リカルド・ロドリゲス監督】
「私は4年前、チームを応援してくれる人たちに幸せになってもらいたいという大きな目標を持って徳島に来ました。試合が終わって、我々の目標であるJ1昇格を叶えることができて、試合を見た人たちは幸せな気持ちになってくれたと思います。僕の人生の中で最も幸せな瞬間のひとつです。私はこの日の喜びを一生忘れません」
J1昇格は感謝のしるし。
チームと地域の絆がまた、強くなりました。