12月25日に「関電、中間貯蔵施設の”候補地”を示せず 謝罪 福井県は”年内”の約束は守られず『誠に遺憾』」というニュースをお伝えしました。
このニュースの背景を関西テレビの神崎博デスクが解説します。
<神崎デスクのニュース解説>
■そもそも…「中間貯蔵施設」とは」?
原子力発電所を動かすのに必要な核燃料。
本来、使用済み燃料は原子力発電所の中の”燃料プール”で冷やしながら保管をしますが、この燃料プールの容量が今どんどん足りなくなってきています。
保管している使用済みの燃料について、電力各社は「青森の別の工場に送り、再処理して、もう一回使えるようにする」ということを前提にしていますが、その工場自体も現在動いていません。
「再処理」がうまくいっていないのです。
そんな中、使用済み燃料を保管しておく場所として必要なのが”中間貯蔵施設”です。
■中間貯蔵施設を探さないといけない「関西電力」…まさに”土俵際”
美浜の3号機と高浜の1・2号機という、運転開始から40年経ったいわゆる”老朽”原発を関西電力は再稼働させたいと考えています。
福島第一原発の事故もあり、「原発の運転期間は40年まで」という決まりがありましたが、特別に原子力規制委員会がチェックして安全性が確認されれば「最大20年延長」が認められます。
関電は、この期間延長を認めてもらい”再稼働”することを目指しています。
しかし、原発を置く福井県から、ある条件が出されています。
その条件とは…『福井県以外の所で中間貯蔵施設を見つけること』。
そのうえ、『2020年内に候補地を示す』という条件でした。
関電は土俵際の状態だったと言えます。
■そこで…関電が画策する「むつ市の中間貯蔵施設の”共同利用”」
使用済み燃料をどこにもっていくのか…これが関電の課題です。
困った関電が目を付けたのが、むつ市の中間貯蔵施設です。
むつ市の中間貯蔵施設は「東京電力」と「日本原電」という2社で利用する協定を結んでいます。
実は2年前にも、関電は「何とかこの協定に入り込めないか」と色々画策をしていましたが、むつ市と交渉する前に情報が漏れしまい、むつ市側から反発がありました。
こういった過去があり、関電が単独で協定に参加するのが難しい状況でした。
そこで動き出したのが”共同利用”です。
電力会社が集まる「電気事業連合会」が「中間貯蔵施設を他の電力会社も一緒に共同で利用したい」と提案をしました。
再稼働を後押ししたい経産省も、関電を支えるような形で”共同利用”に前向きな姿勢を示しています。
しかし12月18日、またもや”報道先行”などを理由に、青森県側は回答を保留。
土俵際の関電の先行きに暗雲が立ち込めていました。
そして12月25日、関電は今年中の候補地提示を断念、これを福井県に伝えたのです。
「宿題できませんでした」と謝る学生のような立場に置かれた関電。
なんとか古い原発を動かしていきたい関西電力の今後の成り行きが注目されています。