今、にんにく市場が絶好調。2020年の販売金額は生鮮品で前年比121%の168億円、チューブなどの調味料も同133%の64億円です(インテージ調べ)。
にんにくブームの裏側には、どんなヒミツがあるのか…。ヒットのワケを取材しました。
(餃子の王将 空港線豊中店)
にんにくを使った話題の新メニューがあるということで、訪ねたのはあの有名チェーン店。
【薄田ジュリアキャスター】
「お!お!わかります!ニンニク! 本領発揮してますよ!元気が出る匂い!食欲そそられますねこれは」
餃子の王将で3月から販売されている、その名も「にんにく激増し餃子」。
通常の2倍以上のにんにくが入っているんです。
私も朝一からいただきます。
【薄田ジュリアキャスター】
「パンチ力すごい!噛めば噛むほどうまみが複雑的に口の中いっぱいに広がる感じ」
なぜ今、ニンニクの人気に火が付いたのでしょうか??
そのワケを探ってみると…
【街の声】
「コロナ禍だから食べるみたいな。マスクするから。前は1つ(粒)やったけど、今は3つ入れるとか」
「キムチ(にんにく入り)を毎日食べるのは、マスクしてるから周りの人に迷惑かけないかなっていうのはあります。これってにおっているんですかね?(笑)」
――Q:にんにくの需要が高まっているのを感じますか?
【餃子の王将 販売促進部 池田勇気 部長】
「特にテイクアウトの販売数が増えておりますので、にんにくへのにおいの抵抗感がなくなってきているのではないかなという風には思います」
マスクの習慣化などで匂いを気にしなくなったことがにんにくブームの一つの要因になったといえそうです。
さらに街で聞いてみると、話題のニンニク料理があるということで…
【街の声】
「テレビかインターネットで見ました。最近はやってますよね」
「西洋料理系の何かで、松屋の看板で見たかもしれないです」
牛丼チェーンの「松屋」が去年期間限定で販売したことで注目されているのが『シュクメルリ』です。
コンビニやスーパーなどでも関連商品が徐々に増えていて、去年7月に発売して2万個以上売れているものもあるんです!
(モスクワ プリュス シェミ(大阪・北区))
一体どんな料理なのか、実際に販売している店で調査開始。
――Q:ひとつのお皿の中にどれくらいのにんにくが入るんですか?
【薄田ジュリアキャスター】
「一個これぐらいです」
――Q:にんにく一玉入るんですか?
シュクメルリとは、鶏肉をスパイスとにんにくがたっぷり入ったクリームソースで煮込んだもの。
東ヨーロッパに位置するジョージアの郷土料理で“世界一にんにくをおいしく食べるための料理”とも言われているんです。
普段は通販限定のメニューですが、特別にお店でいただきます。
(1350円 税込み 別途送料)
【薄田ジュリアキャスター】
「ソースが濃厚」「にんにくのパンチとクリームのまろやかさがすごく相性良くてそれをチキンにからめて食べると。最高ですね。にんにくのパンチがすごい!」
それにしてもなぜ、ジョージアの郷土料理が注目を集めたのでしょうか? きっかけを作った松屋に聞いてみると…
【松屋 広報 青木葉子さん】
「実はですね 本導入をする1カ月前の試験的に販売をしていたときに偶然ある方に召し上がっていただきまして、それがSNS上で反響を呼びまして、弊社の話題ナンバー1メニューといってもいいくらい結構話題になりましたね」
【薄田ジュリアキャスター】
「松屋のシュクメルリがヒットするきっかけとなったこの写真。投稿したのはこちらの方です」
【ティムラズ レジャバ 駐日ジョージア臨時代理大使】
「皆さんこんにちは、がーまるちょば。在日ジョージア臨時代理大使のティムラズ・レジャバでございます」
――Q:シュクメルリはジョージアの家庭料理?
【ティムラズ・レジャバ 駐日ジョージア臨時代理大使】
「関西テレビなので関西の方がご覧になってますよね、(日本食と)比べてみるとお好み焼きとすごく似たポジションなんですね。誰もが好きだけど一番有名じゃない、だけどみんな好きで特別な料理。今までジョージアの料理がこれだけ大々的に取り扱われることはそんなになかったですから、なによりもありがたい」
さらに、調査を進めると兵庫県のニンニク農家にあるヒミツがあるようで…
【薄田ジュリアキャスター】
「養父市にやってきました!後ろに広がっている大きな畑がにんにくの畑ということですが、早速お邪魔しましょう!」
――Q:おはようございます!これがにんにくですか?
【小谷英輔さん】
「茎が太くてことしはいいできばえです」
いまは5月の収穫にむけて草むしりの真っ最中です。
【薄田キャスター】
「こちらのかぼちゃ専門店にも発見しましたよ!マリトッツォが並んでいます」
――Q:それにしても広いですねこの畑。
【小谷英輔さん】
「この畑の大きさが50か所くらい」
――Q:ええええ!50か所?
【小谷英輔さん】
「企業がにんにくを作っているという規模感からすると日本一ではないかなと」
なんとにんにくの生産量が日本一位だというこちらの企業。そのワケを知るため後をついていくと…。
実はここ、製本の会社ナカバヤシの兵庫工場なんです!
論文や雑誌を1冊のハードカバーに仕上げる特殊な製本を行っていて、大学の図書館ではシェア80%以上を占めているそうです。
それにしてもなぜこの会社がにんにくの生産を始めたのでしょうか?
【ナカバヤシ兵庫工場 小谷英輔工場長】
「要因は過去からずっとあって、我々の図書館製本というのは年に2回山谷を繰り返す。忙しいとき仕事がないとき。年間通して利益を出すのが難しい。」
工場の繁忙期は、大学が長期の休みに入る夏と冬。
一方でにんにくは、秋に種をまき春に収穫するので、閑散期にできる仕事としてぴったりだったそう。
数億円かけて加工場なども整備し、副業ではなくまさに2刀流の事業として行われているんです。
【ナカバヤシ兵庫工場 小谷英輔工場長】
「でこぼこがうまくハマる、農業というよりもにんにくでないと方程式がなりたたない」
畑違いの仕事をすることになった社員はというと…
【女性社員】
「草取りから始まって、植え付けの手伝いに行かされて、すごい仕事やなと思ったら今度は収穫の仕事をさせられて…」
――Q:途中、”させられて”が気になったんですが・・・
【女性社員】
「それはありましたけどハハハ」
これまで生鮮食品を誰も販売したことがないなかで始めたニンニクの生産。
大阪の本社では女性社員を中心とした特別チーム「プロジェクトG」が結成され、スーパーなどへの販売ルートをいちから確保しました。
【ナカバヤシ プロジェクトG 兼藤夢さん】
「このプロジェクトGが発足した年に入社しました。そういうつもりで面接も受けてなくて全然知らなかった分野なんですが、今は印刷物と並ぶくらいのブランド商品になるかなと思っているので楽しいが先行しています、新しいことが常に生まれてくるので」
今は、兵庫県の食品メーカーとのコラボ商品も検討しているということで、ますますニンニクの世界が広がりそうです。
【ナカバヤシ兵庫工場 小谷英輔工場長】
「我々としては地域の農家さんを巻き込んだブランドを作りこんで産地化したい。地域の活性化をしながらにんにく事業を拡大していきたい」