止まらない物価高の中で大手企業が賃金を上げる姿勢を続々と打ち出しています。この流れはどこまで波及するのでしょうか?
■大企業と中小企業 異なる賃上げの性質とは…
トヨタやホンダが春闘で満額回答を示すなど大手企業による大幅な賃上げラッシュの様相を呈しています。
トヨタ自動車の労働組合は、月給6.7カ月分のボーナスや基本給を底上げするベースアップを含む、過去最高水準の賃上げを要求。交渉初日の22日、経営陣はこの要求に満額で、異例のスピード回答で応じました。
果たして、これは多くの人にとって良い動きなのかどうか考えていきたいと思います。まず専門家の見解はこちらです
日本総研の若林厚仁主任研究員に聞きました。
世界的なインフレの中で今回の賃上げの動きについて、大企業と中小企業とでは意味合いが全く違うそうです。
まず大企業ですけれども、そもそも儲かっているという現状があるため、その儲けを従業員に賃上げというカタチで還元し、さらには優秀な人材の確保につなげる「前向きな賃上げ」が出来るそうです。
一方の中小企業では賃上げの流れはどうなのでしょうか?
多くの中小企業は経営が厳しいという状況で、その中で大企業が賃上げのトレンドを作っていく…という前提があります。そして中小企業は、慢性的な人出不足も抱えています。
そのため賃金が低いと、さらには働き手が逃げて行ってしまうため、それを防ぐための「防衛的な賃上げ」をせざるを得ない状況だということなんです。
この賃上げのトレンドはどれくらい続くのでしょうか?若林さんは「1~2年は続くけれどもその後はどうでしょう…」ということです。
■トヨタは仕入先企業の費用の一部を負担
中小企業が賃上げに苦慮する中、大企業が賃上げを支えるこんな動きもあります。トヨタは仕入れ先企業で生じるエネルギーの高騰分を一部負担するとしています。
トヨタが負担する分を仕入れ先の賃上げにつなげてもらう考えです。
大手企業の賃上げラッシュが、どこまで波及するのでしょうか。長続きする賃上げの実現に模索が続きそうです。
(関西テレビ「報道ランナー」2月23日放送)