2025年には世界の市場規模は5兆円にもなるといわれている「フェムテック」(出典 スタティスタ)
Female(女性)とTechnology(技術)をかけ合わせた造語です。
今、女性の健康問題を技術の力を中心に解決するこのフェムテックが広がっています。
身近なものから最新のものまで、どんな商品やサービスがあるのか、取材しました。
■大手企業も注目…吸水ショーツ
低価格であらゆる世代から人気のGU。ここに非常に注目を集めている商品が…。
【GUルクアイーレ店の担当者】
「こちらが沢山のお客様にお問いあわせいただいているトリプルガードショーツです」
GUが今年3月に発売した「トリプルガードショーツ」(1490円)。
吸水ショーツは、5000円ほどするものが多い中、低価格で、15~20mlの液体を吸収することができます。
発売当初から売り切れる店が出るほど大人気だそうです。
【GUルクアイーレ店の担当者】
「ご年配のお客様から中高校生位の10代のお客様にも手に取っていただいております」
また「ユニクロ」も9月17日から吸水ショーツを販売すると発表。
肌触りの良いエアリズム生地を採用していて、抗菌防臭機能などを備えた3層構造で漏れを防ぎます。
調査してみると、大手企業よりも早く吸水ショーツの販売に乗り出した会社が大阪にありました。
開発したのは「アサクラ」の男性従業員。
そのきっかけはというと…。
【アサクラ 川西宏和さん】
「妻が『生理めんどくさい』とぼやいたんですね。もともとレディースアパレルの会社で勤めていたわけなので、生理の面倒くささを解決できる衣料品を開発できないかなと」
開発に約1年をかけた「OLTER natural」(4290円~)は、吸水量が最大で40~50mlと、ナプキンの約4、5枚分です。
デザインにもこだわり、今年2月の発売から半年で想定の倍を超える2万枚を売り上げました。
【アサクラ 川西さん】
「世の中の男性の方も女性の生理に対する理解などを深めていただくことで、もっといい社会になっていくのではないかという思いも込めて開発してきました」
女性特有の健康問題を解決しようとFemale(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた「フェムテック」。
これが女性の社会進出を後押しすると専門家は指摘します
【女性の健康とメノポーズ協会 松原爽さん】
「女性特有の健康課題の代表例である月経随伴症状による1年間の社会経済的負担が、約7000億円という試算もあります。これに更年期の問題、妊娠出産、不妊の問題も含めるとさらに増えます。やはり働く女性が増えてきて、その能力を十分に発揮できないといけないということで、女性の抱えてる問題を理解していこうという流れになってきました」
■悩みを“隠す”から“共有”へ
さらなるフェムテックを探してやってきたのは、大丸梅田店。
“女性のリズムに寄り添う”をテーマに2019年オープンし、月経カップ「スクーンカップ」(5907円)や骨盤底筋トレーニング「elvie」(2万9700円)など様々なフェムテックの商品を取り揃えています。
【薄田ジュリアキャスター】
「商品すごくカラフルですね。デリケートゾーン用の保湿クリーム、さらには石鹸などが販売されてますね。このブラジャーは、こちらのデバイスと一緒に使うナイトブラなんですね」
女性のリズムを知るには、毎朝同じ時間に基礎体温を測るのが一般的ですが、「わたしの温度 デバイス・ナイトブラセット」(1万9250円)は専用の機械をつけると、寝ている間に温度を自動で計り、アプリに記録。
生理日や排卵日を予測するほか、ホルモンバランスの変化による心や体の状態を教えてくれます。
【大丸梅田店 ミチカケ担当 高橋知世さん】
「いろんな選択肢があるんだなというのをまずは知ってもらうというのが大切かなと思います。今までは“隠す”のが正解だったと思いますが、悩みを共有するというか、一人で苦しまなくていいんだなと、そういうのは感じますね」
経済産業省の調査によると、2025年のフェムテックによる経済効果は年間約2兆円と推定されていて、広がりを見せています。
さらに妊娠した時の健康管理に役立つ便利なアイテムも登場しています。
【薄田キャスター】
「こちらのスマートウォッチ、スマホのアプリと連動して、心拍数やストレス度合いなどを計測することができるんですが、ここに新たに妊娠の経過に沿った身体の状態などを確認することができる機能がついたそうなんです」
「Lily Classic」(3万580円)は、妊娠の週数に応じた食事や運動へのアドバイスのほか、症状を記録すると、4週間分のデータを確認でき、定期健診で医師に見せることもできます。
この機能をつけたことで、問い合わせが増えているということです。
■更年期障害の悩みもフェムテックで軽減
一方で40代や50代を悩ませているのが、閉経前後に女性ホルモンの急激な変化などによって、めまいや動機などの体調不良や情緒が不安定になる更年期障害。
そんな悩みをフェムテックによって、軽減させているのが滋賀県大津市に住む高本玲代さん(46)。
更年期による体調不良で、夫との会話に悩んだ経験があるといいます。
【よりそる代表 高本玲代さん】
「私が2、3年ぐらい前からすごく体調が悪くなってしまって、疲れがひどかったり、家事がおぼつかなかったりみたいな感じで。夫からしたらある時から突然病気でもないのに…という不満がやっぱりたまるということがありました」
【高本さんの夫】
「ひどくなり始めて、ずっと寝込んでる状態になったので、あ、これはなんかおかしいな」
高本さんは自身の経験をもとに、LINEでパートナーとのコミュニケーションをサポートするシステム「よりそる」を立ち上げました。
「よりそる」では毎朝の体調やパートナーにやってほしいことを質問され、回答すると、その思いがパートナーに伝えられます。
【高本さんの夫】
「直接しゃべってたら感情的になったりするじゃないですか。それが画面通してだったら、そういうところが抑えられたりするのかなと」
【よりそる代表 高本さん】
「わがままで言ってるんじゃなくて、『本当にそうなんだ』とやっと理解してもらって夫が変わったというのもユーザーから聞くので」
高本さん夫婦にも、その効果はてき面だったようで…。
【高本さんの娘】
「大きいケンカは結構少なくなった。私たちも(お母さんと)接しやすくなったというか、お父さんとのけんかも減ったと思う」
今では、大手企業をはじめとする約1200社の福利厚生サービスに利用されていて、カウンセリング機能もついているということです。
【よりそる代表 高本さん】
「更年期障害が理由で、2割が退職されているデータや、半分の女性が昇進オファーされていても断っているというデータもあるぐらいなので。周りに辛い時にこういうことがあるというのを理解してもらうのは、すごく大事だと思います」
(カンテレ8月31日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)