■タブレット端末のチャットで「うざい」「きもい」
遺族などによると、去年11月、東京都の町田市立小学校に通っていた当時12歳の女子児童が自殺しました。
女子児童は遺書を残していて、そこには、同級生数人の名前と、受けたいじめの内容が克明に書かれていました。
【代理人弁護士】
「子供たちの中で『うざい』『きもい』『死んで』などの悪口が言われていたことが明らかになっている」
女子児童が通っていた小学校では、国のGIGAスクール構想の先進事例として、タブレット端末が児童に1台ずつ配布されていました。
遺族によると、去年9月以降、授業中にアプリのチャット機能を使って、「うざい」「きもい」などのメッセージを複数人が女子児童に送っていたということです。
■遺書には「加害者側を殺してやりたい」
遺族は、「自殺は、チャットのやりとりなどを含む、いじめが原因だ」と学校側に訴えましたが、学校は「トラブルは9月で解決している」という説明に終始。
しかし、保護者会などから説明を求められ、今年3月に一転して「いじめが自殺の原因の一つ」であると認めました。
【女子児童の遺族】
「(遺書には)加害者側を殺してやりたいと。でもあんな奴らを殺して刑務所に行くぐらいだったら私が死ぬと書いてありました」
「学校が配った端末教材も使われており、いじめの温床に大きくつながってると考えている」
■いじめの相談受け付ける団体「学校の体制が不十分」
全国から寄せられる、いじめに関する相談を受け、サポートをしているNPO法人「ProtectChildren~えいえん乃えがお~」の森田志歩代表は、決して特別な事例ではないと指摘します。
【NPO法人ProtectChildren~えいえん乃えがお~森田志歩代表】
「今回タブレットを使用するようになってからは、タブレットを使ったいじめ、その件数も増加傾向にあります。私はタブレットだとか、携帯だとかパソコンが悪いのではなくて、使い方であったり、モラルであったり、リテラシーであったり、そちらの問題だと思う」
森田さんの息子もネットいじめの被害に遭い、不登校になりました。
この経験からいじめの相談を受ける活動をはじめ、最近は、ICTの活用を急ぐ学校の体制が不十分であることを懸念していたといいます。
【森田志歩代表】
「文科省、都道府県の教育委員会には、利便性ばかりではなく、並行して子どもたちには情報モラルであったりとか、道徳教育をきちんとやっていかないと、必ず問題が起きるっていう話はさせていただいていた。なので、やっぱりっていうところもあります」
森田さんは、「文字だけで簡単に相手の命を奪ってしまう」という危機意識を、まずは大人が認識することが必要だと話します。
【森田志歩代表】
「町田の件も、まず学校は、その子が被害にあっていると分かった時に、きちんと迅速に適切な対応をしていれば。あとは、授業で使うものなのであれば、学校の管理体制とかをきちんとされていれば、救えた命だったんじゃないのかなと思います」
全国で広がるICTを使った授業。
家庭での見守りや学校の管理体制の構築が求められます。
(カンテレ「報道ランナー」9月15日放送)