候補者乱立状態になっている兵庫1区。
神戸市中央区、灘区、東灘区という神戸の中心部を含む選挙区です。
今年7月の兵庫県知事選挙では、自民と維新からの推薦を受けた齊藤知事が当選しましたが、この時自民では、中央と地元が分裂するという事態が。
それから約3カ月で実施される今回の総選挙、自民・維新・立憲の3党の公認候補を含む5人が出馬していますが、知事選の混乱が候補者にも支持者にも波乱を呼んでいるといいます。
■盛山正仁候補
午前6時からの地域のラジオ体操に参加する、自民党の前職、盛山正仁さん。
比例復活を含めて、これまで4期連続で当選しています。
国会に行っても、神戸の人たちとのコミュニケーションは欠かせません。
【自民党・盛山正仁候補】
「なかなか僕らいろんな人と話す機会ないでしょ。今日だってそう大して話すわけじゃないけど、ラジオ体操の人と会って、少しでも親しみをもってもらえれば」
神戸市中央区、灘区、東灘区をエリアとする「兵庫1区」。
盛山さんは岸田派に長年所属していて、「岸田内閣の是非」も判断材料となる今回の選挙は、特に負けられない戦いです。
【自民党・岸田総裁】
「盛山さんは長年同じ政策集団で汗をかいてきた同志であります。そして身近なところで友人として支えていただいた大切な人でもあります」
【盛山正仁候補】
「岸田総理とともにこの選挙戦を戦い、そして今回の総選挙、岸田内閣に対する信任を問う選挙でもございます」
盛山さんは、厚生労働委員長を務めた経験から、コロナ治療薬の推進を掲げています。
【盛山正仁候補】
「口からの経口薬を早く実用化、開発して日本で生産していって供給が滞らないように日本全国に供給できるようにしていく、コロナを抑えていかないと経済対策を打ちたくてもコロナが再燃したら何もできない」
盛山さんは一方で、これまでにない焦りを感じています。
――Q:今の戦況はどう見ている?
【盛山正仁候補】
「正直よく分かりません。大変厳しい選挙であるという風には思っておりますけども、やはり知事選の影響は強く残っていると思う」
今年7月に行われた兵庫県知事選挙。
この時自民党は、候補者の推薦を巡り、国会議員と地元県議会議員が分裂し、今回の衆院選にも尾を引いています。
■高橋進吾候補
無所属の新人、高橋進吾さん。
街頭演説中に「がんばってや。陰ながら応援しているよ」と声をかけられました。
【無所属・高橋進吾候補】
「陰ながらじゃなくて表に出て来てよ」
自民党の県議だった高橋さんは、知事選などを巡る自民党の国会議員への反発から、今年9月に離党し、無所属で出馬しているのです。
【高橋進吾候補】
「私はみなさんの批判を受け止めて自民党を離党し、みなさんの厳しい批判をしっかりと受け止め、保守系無所属として、みなさんの批判を一緒に国に政治にぶつけたいと思います」
高橋さんは、保健所に勤めた経験から、予防中心のコロナ対策を訴えます。
【高橋進吾候補】
「コロナ対策の目線は予防に置く。PCR検査を、無料でみなさんの身近な場所で受けられるようにすること。保健所による健康サポートと医療にしっかり結び付けること。これが大事なんですよ」
■一谷勇一郎候補
キーポイントとなった兵庫県知事選を「追い風」と感じているのが、一谷勇一郎さん。
国会議員を中心とする自民党とともに齋藤元彦知事を推薦した日本維新の会の公認候補です。
【日本維新の会・一谷勇一郎候補】
「失うものもありません。あるのはやる気と情熱そして具体的な政策です。私は日本維新の会と共に、この改革を神戸から日本中に広げたい。我々は企業から団体から票を頂かない。だからマイクを持って、1人1人に訴えていく」
勢いに乗って、兵庫1区での票の獲得を目指し、吉村副代表も応援に駆け付けます。
【日本維新の会・吉村洋文副代表】
「自民党との明確な対立軸は改革です。改革で成長を目指していきたい。日本に1つぐらい改革政党あってもいい、これ一谷さんにやってもらいたい」
2人のこどもを持つ一谷さん。
家族総出で応援に駆け付けます。
――Q:今日わざわざご家族が応援に
【一谷勇一郎候補】
「そうなんですよ応援に。お父さんの見せ場なんで。ターニングポイントなんで」
【一谷候補の娘】
「すごいなって。すごく勇気あると思いました」
【一谷勇一郎候補】
「大満足ですね、ありがとうございます」
一谷さんは維新の「身を切る改革」とともに、東京一極集中の現状を変えたいと訴えます。
【一谷勇一郎候補】
「震災(災害)が起こった時に、日本だけじゃなくて世界中に影響を及ぼしてしまう。東京ですから。経済も政治も東京に集中している。これを半分関西に持ってくる。これをやりたい。でもその受け皿をつくらないと。それは神戸と大阪の連携。衆議院をやっぱり任していただいて、連携させていただいて、国との窓をさせていただく。これが私の役割」
■井坂信彦候補
立憲民主党の井坂信彦さん。
この日街頭活動を行っているのは三宮の中心にある商店街。
実はこの商店街、戦後ずっと自民党の地盤でしたが、知事選での混乱をきっかけに舵を切り、井坂さんの支持に回ったのです。
【三宮センター街会長】
「知事選(の影響は)大きかったですよ。何をやってるんだ非常にぶざまだなと」
【井坂信彦候補】
「敵は大きい、強い、でも、この兵庫1区でなんとかそこを勝ち抜いて。4年間、やりたいこと、山のように積もっているんです」
井坂さんは長年、小選挙区で盛山さんと勝ち負けを繰り返していて、前回は敗れて4年間浪人生活を送っています。
自宅で部屋を共有するのは、これまた大学受験のため浪人中の長女。
お互い「浪人」中の身、励まし合って過ごしています。
【井坂信彦候補】
「演説2時間してたら、地味にテンション下がってくる。最初のテンションではしゃべられへんわ」
【井坂候補の長女】
「みんなちゃんと反応してくれるん?」
【井坂信彦候補】
「まぁまぁビラはとってくれる。7割ぐらい取ってくれる感じかなぁ」
前回の衆院選で敗れた次の日からほぼ毎日、駅の前で直接地元の人に政策を訴えてきました。
【市民】
「市会議員のころから見てるから。誠実な人やなと思って」
【井坂信彦候補】
「かれこれ20年ですね」
【市民】
「頑張りよ」
井坂さんが訴えるのは、今後に向けた感染症対策の徹底と、一時的な消費税の減税です。
【井坂信彦候補】
「今回わたしコロナ対策0点だと思っていますから。当初は水際対策、検査で芽をつむ。そして、病床確保、宿泊療養施設の確保。ここはいったん消費税の減税という形で全産業に対してきちんと消費を促進する効果を出していく必要」
■木原功仁哉候補
このほか、兵庫1区では、無所属で、反ワクチンの訴訟をしている弁護士、木原功仁哉さんが、新型コロナウイルスワクチンの即刻中止を訴え立候補しています。
【木原功仁哉候補】
「ワクチン中止を求めるなんて、こんな筋金入りの根性の座った人間いないんです」
(カンテレ「報道ランナー」2021年10月26日放送)