2021年4月、大阪・道頓堀の飲食店が店先に置いていたカニのオブジェが、若者2人によって壊されました。
あれから8カ月、若者2人がいたのは、この飲食店。自らの行いを反省し、アルバイトをしていたのです。
今もなお続く、被害者と加害者の交流を取材しました。
■飛び蹴りに引き倒し…若者2人がカニオブジェ破壊
2021年4月。明け方の大阪・ミナミ。2人の男が飲食店の前に置いてあるカニのオブジェに近づき、何やら物色し始めました。
すると突然、1人がオブジェに飛び蹴り。挙句の果てにはオブジェを引き倒し、そのまま逃走しました。
【大阪かに源武田源社長(当時)】
「みんなが協力して、何とかこの局面(コロナ)を乗り越えないといけないわけじゃないですか。それをね。足をひっぱる。そういう行為はやめてほしい」
この社長の姿をニュースで見た2人は、3日後に社長のもとを訪ね、土下座して謝罪。弁償金を支払い、社長は警察への被害届を取り下げました。
■あれから8カ月…若者2人は社長のもとに
あれから8カ月。オブジェは変わらず、壊れたままです。
被害にあった飲食店を訪ねると、社長とともに現れたのは、オブジェを壊した張本人。被害者と加害者の交流が、今も続いていたのです。
【大阪かに源武田源社長】
「壊した後報道がいっぱい流れた時はどんな心境でしたか?」
【カニオブジェを壊した人】
「我に返りました、とんでもないことをしている」
なぜあんなことをしてしまったのか、改めて聞きました。
【カニオブジェを壊したAさん(21)】
「自分自身もコロナで仕事(を解雇され)うまくいっていなくて、お酒を飲んでストレスが溜まっていたのでやってしまったというのはあります」
2人は、社長が経営する店でのアルバイトを申し出ました。別の仕事をするかたわら、店の人手不足を埋めようと12月から働き始めました。
【カニオブジェを壊したBさん(23)】
――Q:仕事には慣れた?
「結構覚えてきました。中(厨房)のお手伝いもさせてもらって、ホールの方も手伝わせていただきました。自分自身も人の役に立ちたいというのがあるので、お手伝いできる日は積極的に手伝おうと思っています」
■騒動の後は毎週のように教会に
2人は、騒動の後、大阪市内にある教会に毎週のように通っていたといいます。
【カニオブジェを壊したBさん(23)】
「(教会に)来るたび来るたび思い出すんで。申し訳ないという気持ちを忘れずに」
来月に完成予定の新しいオブジェのデザインも2人が考えました。自動でカニの爪が動きます。
【カニオブジェを壊したBさん(23)】
「すごく成長できたんじゃないかと思う1年になると思います」
【カニオブジェを壊したAさん(21)】
「迷惑かけてしまったので、お手伝いさせてもらえてすごく感謝してます」
【大阪かに源武田源社長】
「彼らを見て僕自身もたくさんのことを学ぶこともできたし、また発見もできたし。そう考えればすべてのことに感謝ですね」
(関西テレビ「報道ランナー」2021年12月27日放送)