ローソンの「飲む○○シリーズ」。2019年から2021年に発売されていた飲める商品で、天津甘栗や、大学芋、パンケーキなど意外な物もありました。
そして、2月1日から販売が始まったのが「桔梗信玄餅風味 贅沢飲む黒蜜きなこ」。山梨県の有名なお菓子「信玄餅」が飲めるようになっているんです。
なぜ、こうした“飲める商品”が次々と登場しているのか、そのワケを取材しました。
■「飲むわらびもち」バイトの女子高生のアイデアから全国70店舗に
梅田駅のほど近く、中崎町に構える店で販売しているのは、本わらび粉を使用した本格的なわらびもち。
カップの底にたっぷり敷きつめ、牛乳や生クリームを加えたものが「飲むわらびもち」です。
【とろり天使のわらびもち 中崎町店 吉岡輝樹副店長】
「昔からあるこの伝統菓子を、どうやったら若い人に受け入れられるかなと試行錯誤して考えている時に、当時バイトで働いてくれていた女子高生の子が、とろとろのわらびもちを見て、『これストローで飲めるんじゃないか』って提案してくれて」
女子高生の思いつきをきっかけに、販売するや否や、1日最高400杯を売り上げるほどの人気商品に。その勢いで、およそ1年で全国に70店舗まで拡大しました。
【吉岡副店長】
「『わらびもちって飲めるんや!』っていう反響というかリアクションいただいてますね。飲むわらびもちをきっかけに、若い方もわらびもちを購入されて、そこでわらびもちのおいしさに気づいて、広まっていってるなという実感はありますね」
■ターゲットを海外の団体客から地元の人へ
次に向かった先は、京都。去年9月にオープンした専門店『だしとうまみ』です。
【店員】
「こちらでは“飲む和食”を販売しております」
その正体は、すり流し。野菜などをすり潰し、出汁でのばした日本の伝統料理です。上には、生クリームではなく、泡状にした豆乳を添えて、美しいドリンクに仕上げています。
枝豆のすり流しには、エビや近江こんにゃくがごろごろ。
【薄田ジュリアキャスター】
「わぁ…。う~ん!おいしい~。枝豆の優しい甘さと、おだし。すごいおだし!見た目とのギャップがすごい大きくて、頭がこんがらがっています」
異色の“飲む和食店”のオープンには、切実な理由がありました。
【アミタ 山口憲一郎取締役】
「元々こちらのお店は、京都ハンディクラフトセンターといいまして、国内外の旅行客の方がお食事ですとか、体験・ショッピングと、複合施設として使っていただいていた施設なんですが…」
海外からの団体客をターゲットに、舞妓ディナーショーや伝統工芸品づくりの体験を行っていましたが、新型コロナの影響で売り上げが1割にまで激減。
そこで心機一転、旅行客ではなく近所の人に目を向け、京都の地で改めて手軽に和食を楽しんでもらえる商品を開発しました。
【山口取締役】
「近くの方も『どんな店か?』って実は思ってる方も結構いらっしゃるみたいだったんですけど、ご利用いただける機会が増えました。例えば小さい方でしたら離乳食の代わりにとか、ご年配の方でしたら流動食じゃないですけども、幅広い使い方をしていただければなと思います」
■飲むカレーも 飲み物で食事をとろうとする人が増加
実は、近年の調査の中には、飲み物で食事を賄おうとする人が増加しているとみられるデータも。
【TPCマーケティングリサーチ Health and Food担当 水上創さん】
「スープ市場が年々拡大しておりまして、2010年から比べまして、この10年間で約1.2倍に拡大しております。単身世帯の増加や働く女性の増加といった社会背景から、調理の手間がかからないスープへの需要が高まっていたんですけれども、引き続き右肩上がりに成長していく市場ではないかなと分析しております」
そんな中、缶入りスープでトップシェアを誇るポッカサッポロから誕生したのが、なんと“飲むカレー”です。
【薄田キャスター】
「しゃばっとした感じより、ちょっととろみもあります。スパイスの風味もしっかり感じます。“カレーは飲み物”だっていう言葉がありますけど、本当に飲み物になっちゃいました」
去年8月の発売以来話題を呼び、半年の売上目標の1.5倍を超える大ヒット商品になりました。
開発者の藤田さんは、缶飲料を食事の一品にしたいと発案したのだそうです。
【ポッカサッポロ 加工食品事業部 藤田良美リーダー】
「カレーをそのまま飲める世界が来たら、おにぎりと一緒に食べたりとか、パンと一緒に食べたりとかっていう新しい缶スープの使われ方ができるんじゃないかなと思って。カレーに限らず、新しい提案ができればいいなと思いますね」
■売れ残りケーキを廃棄せず“冷凍”してシェイクに
大阪府立大学3年生で、コンサルティング会社の運営もしている一柳翠さん。
案内されたのは、大阪市都島区の『パティスリーセボン』。ショーケースには、美しいケーキがずらりと並んでいます。特別に厨房へお邪魔すると、開けたのは冷凍庫…。
【店員】
「素というか、最初はショートケーキでした」
美味しそうなケーキを、ミキサーに投入。牛乳を合わせ、混ぜてしまいます。これを凍らせた物をもとに作られたシェイクが、一柳さん考案の“飲むケーキ”です。
【薄田キャスター】
「ショートケーキの味がする!おいしい~。なんでこの、ケーキをこうやってドリンクにしようと思ったんですか?」
【大阪府立大学 3年生 一柳翠さん】
「食品ロスの問題に対して、何か企画としてできないかなぁと考えました」
ケーキの売れ行きは日によって大きく違い、売れ残ったケーキの多くは廃棄することに。そこで提案したのが、冷凍するというアイデアでした。
【薄田キャスター】
「冷凍にしちゃうことで、賞味期限も伸びるし、売り上げにもなる?」
【一柳さん】
「そうです。別の商品にまた新しく生まれ変わる。地球にいいから味はちょっと…みたいなものでなく、おいしいから飲みたい、飲んでみたらすごく地球によかったというところは大事にしてます」
それぞれのストーリーが隠れた“飲める商品”。次は、どんなものが飲めるようになるのでしょうか。
(2022年2月1日放送 関西テレビ「報道ランナー」より)