高さ15センチのイチゴタルト…需要高まる『イチゴスイーツ』 青果店から異業種IKEAまで熱視線 【ヒットにワケあり!オカネのヒミツ】 2022年02月08日
農水省や総務省のデータをもとに算出すると、イチゴの1人当たりの購入量が減少傾向にある一方で、スイーツなど業務・加工品用の需要は、増加傾向にあります。
この時期、特に盛り上がりを見せているイチゴスイーツ。その秘密を取材しました。
■ホテルや家具店が実感“イチゴの集客力”
ホテルニューオータニ大阪の『スーパーいちごビュッフェ』。11周年を迎える今年は、花をテーマに24種類ものイチゴスイーツが勢ぞろい。2月はすでに予約で埋まり、4月末まで期間を延長する人気ぶりです。
【ホテルニューオータニ大阪 濱川未来さん】
「スイーツビュッフェの中でも一番反響いただくのがイチゴビュッフェになりますので。例年だと期間中で約3万人のお客さまがお越しいただきます」
またインテリア雑貨や家具を販売するIKEAでは、4年前から「ストロベリーフェア」を行っていて、ほかのデザートフェアに比べて売り上げはおよそ3倍と、大人気だそうです。
【IKEA鶴浜 ローカルマーケティングマネジャー 中河美香さん】
「アクティビティ(デザートフェア)を通してIKEAに来店するきっかけや楽しい買い物体験を目的にしています。実際こちらを目当てに来られる方が年々増えておりまして、リピーターの方も多くいらっしゃいます」
使われているグラスや皿は商品として販売していて、本業の売り上げにも貢献しているそうです。イチゴスイーツについて街で聞いてみると…。
【男性】
「コンビニでイチゴがあったらイチゴのスイーツ買います。自分が疲れた時とか、何かを達成した時のご褒美」
【別の男性】
「どっちかって言うと生で食べるより、上にのってるほうが美味しそうに見えますね」
■高まる「イチゴスイーツ需要」のワケ
なぜイチゴスイーツの需要が高まっているのでしょうか。
大阪市此花区にある青果店が経営するタルト専門店『ふぁみり~たると』。ここで大人気だというのが約70個のイチゴが積み重ねられ、高さ15cmのタルト。透明の筒を引き上げると…。
【薄田ジュリアキャスター】
「イチゴの山ができてる!これはテンション上がりますね。(食べて…)うーん!タルトめちゃくちゃおいしい!タルト生地と、やさしい甘みのカスタードと、この紅ほっぺの果肉感と優しい酸味、すごく美味しいです」
【ふぁみり~たると 荒山拓哉さん】
「フルーツをまず身近に感じてほしいということで。なかなか若い世代の方々がフルーツを購入しに来ていただける機会が少ないのをずっと実感しておりまして。このフルーツタルトの土台の力を借りて、イチゴを食べて欲しいという思いです」
実際、販売後は中学生など若い人がタルトを買いに来るように。さらにその流れでフルーツを見にくる人も増え、青果店の来客数は1割から2割ほどアップしたそうです。
イチゴスイーツの人気について専門家は次のように分析します。
【日本協同組合連携機構 岩崎真之介さん】
「デザート感覚で食べるものが多様化していってるので、あえて果物を選択するという消費者が減ってきているということがあるんじゃないかと思います。若者からは生のイチゴよりも華やかに加工してある、イチゴを使った食品の方が選ばれやすくなっているということがあるかもしれませんね」
さらにイチゴの消費量が減っている一因には、卸売価格の上昇傾向があるといいます。
【日本協同組合連携機構 岩崎さん】
「(値上げの要因は)おそらく生産量が減少しているということがあると思います。一番手間のかかる収穫作業、それから収穫したイチゴのパック詰めの作業。この部分が基本的に手作業で行わなければなりません。非常に手間・時間がかかってしまうために面積を拡大するということが難しいので、より高く売れるように(という意味でも)品種改良しようという方向だと思います」
農林水産省によると1980年代には35品種しかありませんでしたが、今や300品種以上に増え、価格も約1.5倍になっています。
■イチゴの専門家も単体ではなく“スイーツ店”に
そんな増え続ける品種を研究している“苺専門家”が京都にいました。
イチゴスイーツ専門店『メゾン・ド・フルージュ』を開いている渡部美佳さん。日本全国だけでなく世界のイチゴを食べ歩き、これまでに100以上のレシピを作りました。さらに品種登録される前にその味の特徴を研究者に伝えています。
【苺専門家 渡部美佳さん】
「色んな品種を今の時期に一番いい状態でお届けするのがこだわりですね」
【薄田キャスター】
「なぜイチゴ単体ではなくスイーツ店だったんでしょう?」
【苺専門家 渡部さん】
「イチゴそのものの販売だと店としてはどうしても難しいんです。年間通して楽しんでもらうと考えるとイチゴのお店、お菓子、ジャムにしてっていうのが一番いいのかなって」
店では、その日のイチゴの状態を見て、品種を変えてスイーツを作っています。
【苺専門家 渡部さん】
「うちのお店では表現する幅が広くなったと思いますね。ショートケーキに入れたらどんな味になるんだろうというような、そういったすごくマニアックな感じの楽しみ方を(お客さん)皆さんされます」
イチゴの魅力を引き立たせるスイーツ。今後も目が離せません。
(関西テレビ『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」 2022年2月8日放送)