ピークアウトの傾向が見えてきたとされるものの、新型コロナ(オミクロン株)は依然としてインフルエンザ並みに感染がまん延している状況だ。一方で、オミクロン株は重症化リスクが低いとみられることから、感染症法上の分類を「季節性インフルエンザ」と同じように扱うべきではないかという意見もある。
今、オミクロン株を季節性インフルエンザと変わらないものだという前提での対応が求められているのか。
16日の大阪府新型コロナ対策本部会議に出席した大阪府専門家会議の朝野和典座長は、「状況は二極化しているため分けて考えるべき」だと話した。
「若年者にとっては軽症で推移する季節性インフルエンザ並みの感染症であり、高齢者や基礎疾患のある人にとっては、季節性インフルエンザよりも重症化しやすい感染症。小児にとってはインフルエンザ脳症の発症がないため、インフルエンザの方が重症化率は高い」として、一律に季節性インフルエンザと同じだと考えるのではなく「若年者と高齢者で分けて考えるべき」だという。
2009年の厚労省資料によると、インフルエンザの70歳代以上の重症化率は、0.07~0.08%。一方で、16日に発表された大阪府の資料によると、オミクロン株の70歳代以上の重症化率は、0.78%。
2つの数字は単純比較できないにしても、高齢者にとっては、オミクロン株の方が重症化率は高いといえそうだ。
朝野座長も「高齢者をいかに重症化、死亡から守るかが最優先の課題」だと強調。まん延防止重点措置の延長や緊急事態宣言を新たに発出して人流抑制に頼るよりも、まずは高齢者に焦点を絞った対策でできることをやるべきだと話す。
しかし、高齢者へのブースター(3回目)接種は進んでいない。優先的に行われている高齢者施設の入所者・職員の接種率も40.8%にとどまっている。
国の指針でも高齢者施設入所者や従事者等は、2回目接種後「6カ月」で、例外的に「接種券が届いていなくても」接種できるとされているが、十分に周知されていないこともあってか、進んでいない。
朝野座長も対策本部会議で、「ブースター接種は、1週間以内に効果が出てくるので、今できる具体的な方法だ」と話し、70歳以上へのブースター接種を急ぐべきだと訴えた。
大阪府も、2月15日、府内の市町村に2月末までに高齢者施設の入所者等へのブースター接種を完了するよう要請しており、高齢者に特化した対策にいかに早く切り替えられるかが喫緊の課題となっている。