同性婚を認めないのは憲法に違反するとして、同性カップル3組が国を訴えた注目の裁判。
大阪地裁が下した判断は、「憲法には違反しない」というものでした。
判決を受け、原告の坂田麻智さんは「ひどい判決だなと思います。自分たちが変えられない性的指向で差別的な取り扱いを受けていること、これを合憲とした。非常に憤りを感じていますし残念でならない」と語りました。
坂田麻智さん(43)とテレサさん(39)は、この3年間声を上げ続けてきました。
京都の1軒屋で暮らす2人。連れ添って14年になります。
ただ、その関係を法的に証明するものは何もありません。
一緒に購入した家の名義人は麻智さん。
もし先に麻智さんが亡くなった場合、テレサさんには相続権がないため、そのまま住み続けられるか、不安を抱えています。
2人は安心して生きていくために、同性婚の実現を求める集団訴訟に参加しました。
去年のクリスマスには、友人から精子の提供を受けたテレサさんの妊娠が判明。2人にとって念願の子どもです。
しかし、今の制度では麻智さんが親権を持つことはできません。
結婚を求める思いが、より強くなっていきました。
結婚について、「婚姻の自由」を定めた憲法には、「婚姻は、両性の合意のみに基づく」と記されています。
裁判で、原告側は、「”両性の合意”は男女と限定していない。同性婚ができないのは、性的指向に基づく不合理な差別で、法の下の平等にも違反する」と主張しました。
一方、国側は、「”両性”は、男女を表すことは明らかで、同性婚は想定されていない。婚姻の目的は、子どもを産み育てる男女を特に保護することで、異なる取り扱いは差別ではない」と反論していました。
20日の朝、判決を前に麻智さんは「どんな結果になるかは分からないけど、どちらにしろどんな結果になっても、戦いは続いていくので。あんまり悪い結果は聞きたくないけど、通過点にして進んでいきたいなと思ってます」と話しました。
なぜ異性のカップルは結婚できて、同性のカップルは結婚できないのか…2人は、司法の判断に期待を寄せていました。
そして20日、大阪地裁の土井文美裁判長は、「同性愛者が安心して安定した共同生活を営むために必要な公認に係る利益が満たされないという問題は残されている」などと指摘。
その上で「現行の婚姻制度か婚姻類似の制度を新たに設けるべきかについて議論は現段階では尽くされていない」と述べ、現在の法制度は憲法違反にはあたらないとして、原告らの訴えを退けました。
全国5カ所で起きている同様の集団訴訟のうち、札幌地裁が去年3月に言い渡した判決では、法の下の平等を定めた憲法に違反すると判断を示していて、同性婚を巡る司法の判断が分かれる形になりました。
【原告 坂田麻智さん】
「国が逃げているからこそ、この司法で判決をして、立法するような判決になってほしかったと心から思っていましたし、応援してくださっている人も多分そう思ってくれていたと思うのに、こういう結果になってしまって、本当に本当に残念です」
【原告 坂田テレサさん】
「皆さんと平等で生活できる権利があるのに、平等で暮らせてない現状がある。それでも違憲判決が出なかったのは、本当に納得いかないです」
原告側弁護団の三輪晃義弁護士は「(判決で)議論の途上にあるという言葉も出てきていましたけど、“議論の途上にあるから司法府で判断しないんだ”っていうのは、人権救済を放棄したという風に私は思っています」とコメントしました。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年6月20日放送)