ネット上にあふれる「銃の作り方」 規制はできない? 元首相銃撃で使われた“手製の銃” 猟銃の専門店は「精度には問題あるが脅威」 2022年07月15日
日本中に衝撃をもたらした、安倍元首相の銃撃事件。
事件直後、確保された山上容疑者のすぐそばに転がっていた銃には黒い筒が2つあり、通常のものとは少し違うように見えます。
山上容疑者が作ったとみられる“手製の銃”。
警察によると銃の長さは40センチ、金属と木でできていて、6個の弾丸が一度に発射されるようになっていたということです。
この銃について、猟銃などを取り扱う専門店に聞いてみると…
【キタヤマト ガン サービス 吉留敦浩さん】
「モデルガンみたいなグリップがついていたんで、明らかに猟銃じゃないとは思いましたけど」
――Q:威力っていうところを判断するのは難しいと思うんですけれども、それなりのものができ上がっていたということ?
【キタヤマト ガン サービス 吉留敦浩さん】
「そうでしょうね。(体を)貫通してますから。火薬が結構入ってたのか、その6発の弾が小さかったのか分からないですけど」
山上容疑者の自宅の捜索では、手製の銃が数丁押収されました。
捜査関係者によると、山上容疑者はYouTubeの動画を元に銃を作成したと供述していますが、専門店の吉留さんは、「銃としての精度は懐疑的」と話します。
【キタヤマト ガン サービス 吉留敦浩さん】
「弾を発射するパイプの部分が短かったので、飛び出した後がすぐにばらけると思うんです。そういうこともあって精度は悪かったと思います」
一方、山上容疑者は、こうした供述も…
<山上容疑者の供述>
「火薬の材料をインターネットで購入し、混ぜ合わせて火薬を作った」
日本で銃を所持するには厳しい審査が必要ですが、銃に使う火薬についても、許可証が交付されないと購入することはできない決まりです。
【キタヤマト ガン サービス 吉留敦浩さん】
「今、市販で使われてる(銃の)火薬っていうのは無煙火薬って言って、そこまでの煙が出ることはないんですよ。市販されている装弾とか、売られている(銃用の)火薬を使ってっていうふうには感じなかったですね。筒の問題なのかよく分かんないですけど、花火みたいな感じに聞こえましたけどね」
――Q:花火とかそういう火薬をいろいろ集めて調合して作った可能性があるということですか?
「それしか思いつかないんですけどね」
――Q:本当のプロからみて、銃が作れるっていうことについてはいかがですか?
「脅威ですよね」
インターネットからの情報で人を殺傷する銃が作れてしまうことについて、専門家は…
【立命館大学 上原哲太郎教授】
「かなり幅広く世界中にいろんな情報があふれていますから、そういう意味ではもちろん銃の作り方みたいなものも含めた情報が出回っているのは確かだと思います」
こう話すように、8年前にも“手製の銃”を使った事件がありました。
「3Dプリンター」で拳銃を自作した男が、銃刀法違反の疑いで逮捕されたのです。
銃は樹脂製でしたが、ベニヤ板を10枚以上貫通させる威力があり、殺傷能力もあったといいます。
“手製の銃”を作れてしまう現状。なぜ制限できないのでしょうか?
【立命館大学 上原哲太郎教授】
「基本的な考え方はですね、その表現の自由との兼ね合いというのがあります。実際の作り方みたいなものの情報を完全に遮断するっていうのは、海外の情報も含めて考えると、そういうことは不可能だと思うんですよね」
ネット上にあふれる「銃の作り方」。
コントロールが難しい中、今後どのような対策が必要なのか、課題が浮かび上がっています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月15日放送)