公文書の改ざんを苦に、近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが自殺した問題。
妻の雅子さんが、「改ざんの真実を話してほしい」と改めて訴え、裁判は結審しました。
【赤木俊夫さん】
「車で出かけるからそれだけ許してくれ」
【赤木雅子さん】
「いけん、絶対に嫌。そんなので死ぬって頭おかしくなってるよ」
【赤木俊夫さん】
「おかしくなってない、大丈夫」
自殺するために出かけようとする赤木さんと、必死に止める妻の雅子さんのやり取りが記録された動画。
裁判の中で証拠として提出されたものです。
27日、妻の雅子さんは法廷で、当時の夫の状況を語りました。
【赤木雅子さん】
「足にすがりついて止めました。夫が私の首に手をかけて『お前が死んでくれないと僕は死ねないんだ』と言いました」
赤木さんが自殺した発端となったのは、大阪府豊中市の国有地が8億円以上値引きして売却された、いわゆる「森友学園問題」です。
安倍元首相の妻、昭恵夫人は小学校の名誉校長を務めていました。
【安倍元首相(当時)】(2017年)
「私や妻は、認可や国有地払い下げに事務所も含めて一切関わっていない。もし関わっていたら、私が総理大臣を辞める」
その後、財務省が組織ぐるみで公文書を改ざんするという前代未聞の事態に発展しました。
改ざんの作業を強いられた赤木俊夫さん(当時54)はうつ病を発症し、2018年に自殺しました。
「公文書の改ざん」は誰が、どんな指示を出して、行われたのか。
真実を知りたいと、雅子さんは国と財務省の佐川元理財局長に対して、損害賠償を求める裁判を起こしました。
しかし、国が突然、雅子さん側の請求をすべて認める「認諾」という手続きを取ったため、国に対する裁判が終結。
佐川元理財局長に対する裁判では、裁判所がこれまでに「佐川氏らの尋問を行う必要はない」と判断しています。
そして、27日の裁判では雅子さんへの尋問が行われ、雅子さんは「佐川氏への尋問をしてほしい」と訴えました。
【赤木雅子さん】
「一度くらい、佐川さんにここに来ていただいて改ざんの経緯を話してほしかったと今でも思っています。先日、安倍元首相が亡くなりましたが、元々国会で発信されたことが原因で、夫は改ざんをしなければならなくなったと思っています。安倍さんが黒い疑惑のまま、国葬されることはご本人も望んでいないと思います。私は真実が知りたいです。今からでも佐川さんの尋問を行ってください」
しかし、佐川氏への尋問は認められず、裁判は27日で結審しました。
【赤木雅子さん】
「誰からも、佐川さんからも国からも、夫が亡くなった改ざんのいきさつについて一言も知ることができなかった。それが残念でたまらないです」
判決は11月25日に言い渡されます。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月27日放送)