あの道頓堀川がキレイに? 視界“ゼロ”…カーネルサンダースも沈んだ“飛び込み”名所は長年「くさい・汚い・危険」イメージ しかし今、水中が“激変” 魚が泳げる川に! 清流の女王“アユの噂”も…1年“密着”潜水取材【前編】 2022年09月27日
飛び込んだ人が体調を崩すなど、危険、汚いといったイメージが定着してしまっている大阪・ミナミの“道頓堀川”。実は今、大きな変化が起きています。
関西テレビの特命報道「ツイセキ」取材班は1年以上にわたって、川の中を撮影。すると…想像を超える数々の光景をカメラが捉えました。
■道頓堀川のイメージは?…「臭い・汚い・カーネルサンダーズ・人飛び込む」
日本屈指の観光スポット、大阪・ミナミの道頓堀。その足元を流れる道頓堀川は、良くも悪くも、この街のシンボルとなってきました。
【女性】
「(道頓堀川は)めちゃくちゃ汚い川。色もやばいし、臭いもやばいし。人飛び込むし」
阪神タイガースの優勝時やサッカーW杯の時に危険な“歓喜の飛び込み“も相次ぎました。
【親子連れ】
「カーネルサンダースのイメージ。阪神優勝した時に放りこまれて…」
1985年に、カーネルサンダース人形が投げ込まれました。
【記者 リポート】
「あ、上がってきます。カーネルサンダースの右手でしょうか」
川の底から上がってくるのは、カーネルサンダースの人形や、何百台もの自転車。そして真っ黒なヘドロ…。
ヘドロの臭いをかいだ女の子が「わ!くさー!」と鼻をつまみます。
謎のベールに包まれた道頓堀川。関西テレビの潜水取材班は、2021年に特別な許可を得て、潜ってみることに。
【カメラマン】
「思ったよりも、明るいですね」
さらに!
【おおさか環農水研・生物多様性センター 山本義彦さん】
「アユがいる可能性は非常に高い」
澄み切った川を好み、「清流の女王」と呼ばれるアユ。さわやかな香りとふっくらとした食感も魅力のあの魚が、道頓堀川にいる?
「ツイセキ」取材班は、1年をかけて定点観測。想像を超える数々の光景をカメラにおさめました。これを見たら、あなたの道頓堀川のイメージが変わるかもしれません。
■道頓堀川を過去の“秘蔵“映像で振り返る 高度成長、W杯、水質改善…の歴史
1966年に放送したドキュメンタリー番組「道頓堀新行進曲」より道頓堀川の様子の描写です。
【ナレーション】
「道頓堀は、非情の川。ありとあらゆるゴミが漂い、投身しても水死することなく、窒息死。このボウフラもわかぬ黒い水に油の膜が光るのは、寝屋川の工場廃液、さらに奥の北河内から来たものであろう」
高度経済成長の時代で、工場排水や下水が川にながれこみ、道頓堀川は、まるで町のゴミ箱のように扱われていました。
道頓堀は大阪の顔。このままではいけないと、川底のヘドロをとりのぞく船『ヘドロしゅんせつ船』を造ったり、魚が住みやすいように、川に酸素を送り込む浄化用噴水装置を設置したりしました。
水質浄化の機運が高まる中、地元の商店街が実施したのが…なんと金魚の放流でした。
そして、2002年の日韓で開かれたサッカー・ワールド杯…。
【ヘリ中継】
「狂喜乱舞、次々と道頓堀川に人が飛び込んでいます。かなり危険、自重してください」
このとき、2000人近くが道頓堀川にダイブし、お腹が痛くなったり、目の病気になったりする人が続出。
2003年、関西テレビの潜水取材班が、水中の調査を行うと…
【カメラマン】
「こちら道頓堀川の水の中です。汚れていて何も、ほとんど見えません。足がヘドロに埋まって
真っ黒なヘドロが巻き上がり、ブラックアウト。
道頓堀川は、「汚れた危険な川」というイメージを、なかなか払拭できませんでした。
■「視界“ゼロ”」の前回調査から18年後の道頓堀川 ヘドロが消えた!…魚がいた!!
前回の潜水調査から18年。道頓堀川はどうなっているのか?地元住民に聞いてみると…
【地元住民】
「だいぶきれいになってます。だから前のイメージとはちょっと違います」
道頓堀川がきれいになっている? 18年前に潜ったカメラマンが、意を決して、再び挑むことに。
【カメラマン リポート】
「ただいま、道頓堀川の水深3メートル、着底しました」
「ライトをつけてみます・・・思ったよりもきれいな水底ですね。まさかあのヘドロの道頓堀の底が、このようなきれいな砂地になっているとは想像もしませんでした。流れがあるので、ちょっと体がもっていかれます」
「何か落ちてますね。ちょっと何か分かりませんが、これは何でしょうか。何か棒のようなものも落ちてますね、刀かな?よく分からない形してますね」
得体の知れないゴミはあるものの、ヘドロに足がとられる恐怖を味わうことはありませんでした。
別の日、水中ドローンを使って、撮影してみたところ…明らかに透明度が増しています。しかも、あちこちで小さな魚の群れを発見しました。
一体、何が起きているのか、 取材班は道頓堀川の水を採取し、大阪市立環境科学研究センターに検査を依頼しました。
結果は…
【大阪市立環境科学研究センター 藤原康博さん】
「汚れを表す指標として一番用いられるのは、『生物化学的酸素要求量』なんですけれど、1.5mg/Lだった。コイやフナが住むには5以下、アユが住めるには3以下が目安とされているが、(道頓堀川は)これを下回っている」
道頓堀川は、きれいな水を好むあのアユが住める水質にまで改善しているという驚きの結果が…。
本当にあの「清流の女王」アユは、かつてドブ川だった道頓堀川に泳いでいるのか?「ツイセキ」取材班は引き続き潜水取材を続行!(カーネルサンダースもヘドロに沈んだ「道頓堀川」キレイになった! 水質が“劇的”改善で魚が泳ぐ川に…あの“清流の女王”アユもいる可能性? 徹底調査で道頓堀川の「アユを探せ!」 1年“密着”潜水取材【後編】)
(2022年9月23日放送)