国交正常化から50周年を迎えた日中関係。経済規模の「逆転」を象徴するような出来事が、関西でも起きています。
【華森社 金澤宏樹 代表取締役】
「海外の投資家向けの投資用の民泊物件です」
外国人観光客に人気の大阪・黒門市場から歩いてわずか30秒の場所でそう紹介されたのは、11階建て30室、1棟7億5000万円の新築マンション。現在、購入を検討している中国人10組ほどとやり取りをしているということです。
【華森社 金澤宏樹 代表取締役】
「2025年の万博と2029年からのIR、大阪すごく注目されています。長期の目線で考えたら、絶対将来的に価値が上がります」
こうした投資用物件への問い合わせが、今、とても増えているそうです。アフターコロナを見据え、「民泊」物件を中国の投資家向けに建築・販売している華森社では、オンラインで中国の購入希望者と部屋の内覧動画を見ながら商談を進めます。
【華森社 金澤宏樹 代表取締役】
「10月また観光客が入れるようになるので、ホテル・民泊関係の利用施設が多くなりました。一般の収益物件と比べると民泊は収益率が良くなります。自分の民泊物件なので、来日のとき自分でも使える施設になりますので、すごく喜んでもらえます」
なぜ中国人の、日本の不動産に対する熱が高まっているのでしょうか。中国人の投資家と日本の不動産をマッチングするプラットホームの運営会社に聞きました。
【神居秒算 趙潔社長】
「日本という国は先進国なので。ただ、先進国の中で不動産価格が一番安い。今回の円安で、まさにバーゲンセールみたいな感覚で」
中でも、京都の物件は人気が高いそう。
【神居秒算 趙潔社長】
「京都のメリットとしては、中国の昔の文化のようなものが見られる。中国の中にも唐や宋の時代のものそんなに残されていないんですけど、京都で全部見られるんですね。民泊・旅館が人気ある。町家とか」
また、こんな指摘も…
【神居秒算 趙潔社長】
「(日本の経済)成長が鈍い反面、中国の経済成長は早いので。30年前、日本人が中国行くときの感覚は、今は中国人が日本に来るような感覚になっている、逆転になってる」
中国人投資家の『バーゲンセール』について、中国問題に詳しいジャーナリストの近藤大介氏は、中国の政策の影響を指摘します。
【近藤大介氏】
「2021年8月から習近平政権が『共同富裕』という政策を打ち出しました。富裕層の財産・資産を調整するということで、焦った富裕層が海外に資産を移そうとしています。日本はその移動先として最適の場所のようです」
また、日中関係の次の10年は「紅船(あかふね)襲来」とし、双方向の時代になると話します。
【近藤大介氏】
「これからは、日本企業が一方的に中国に進出していたこれまでの50年と違って、双方向の時代になります。中国企業も日本に進出して、日本に工場を建て、東京や大阪のオフィスビルに会社を構え、日本人を雇用する時代がやってきます。それは日本市場を見据えているということもありますが、米中対立の時代に日本を避難地にして、日本からアメリカ・EUへということにすれば、ほとんど関税がかかりませんから。そういった意味でも日本市場を重視してくると思います」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月29日放送)