いつも心に“お嬢様”! お上品なゲーム実況、ノブレスオブリージュなごみ拾い 魅力はギャップと世界観? 男でもなれる“お嬢様”とは 2022年09月29日
「お嬢様系VTuber」が社会現象になったり、全国の大学に謎の集団「お嬢様部」が現れたりと、今、「お嬢様」が大ブーム。若い世代が「お嬢様」に夢中になる理由を調査しました。
■“お嬢様系”VTuber 魅力は独特な言葉選び?
縦巻きロングヘアとドレス姿が印象的な、お嬢様系VTuberの「壱百満天原(ひゃくまんてんばら)サロメ」さん。バーチャルの姿でYouTubeの配信を行っています。
活動を開始してわずか17日で、チャンネル登録者が100万人を突破。日本の全YouTubeチャンネルの中で5位、VTuberとしては史上最速というニュースターです。
街を歩く若者に、「この人知ってる?」と聞いてみました。
【女子中学生】
「キャー!!!」
「サロメちゃん!!!」
【男子中学生】
「言葉選びですね。それが結構、独特っていうか」
中学生が「独特」と表現した言葉選び。どんなものかというと…
【壱百満天原サロメ】
「おバイオハザード7の実況を始めていきたいと思いますわ~!」
ホラー作品の「バイオハザード」などのゲーム実況動画を配信しているサロメさん。ドアを蹴って開ける登場人物に「お下品!」と言ったり、“お嬢様ことば”での実況が続きますが、時には…
【壱百満天原サロメ】
「どうも~失礼いたしますわ~どうも、皆さまごきげんよう。…早く警察に!一刻も早く警察にお電話をいたしましょう、ドア閉めたいです!ドア閉めなさいよ!ハァ~!なに~!?」
たまに出る“素”も親近感を抱かせると、好印象のようです。また、ゲーム配信以外にも、ファストフードを食べたり…
【壱百満天原サロメ】
「ギガビッグマックをペロリですわ~!!マジででっけぇですわね、これ」
競馬に挑戦したりと、お嬢様が庶民的な遊びを楽しむという世界観が、若者の心をつかんでいるようです。
■謎の集団「お嬢様部」
書店をのぞけば、「おっとり令嬢」に「悪役令嬢」に「ブチ切れ令嬢」…ライトノベルのコーナーにずらりと並ぶ「令嬢もの」。さらにお嬢様について調べる中で、“ある記事”を見つけました。
【吉原アナ】
「ん…?お嬢様部…?何ですか、これ?『お嬢様部は、一般人が本気でお嬢様ごっこをする集まり』…?」
よく分からないので、記事で紹介されていた「佐賀大学 お嬢様部」の部長に話を聞くことに。
【吉原アナ】
「そもそも『お嬢様部』って何なんですか?」
【佐賀大学 お嬢様部 部長】
「お嬢様になりきってツイッター上で投稿したり、お嬢様同士でコミュニケーションを取ったりする架空の部活でして、実際に部員で集まってティーパーティーをしたりとか、そういった活動もしておりますわね」
【吉原アナ】
「男性の方でもお嬢様部には入れるんですか?」
【佐賀大学 お嬢様部 部長】
「そうですわね…うちも確か、部員は男子の方が多くて。“お嬢様っぽい”振る舞いをすることが大事ですので、性別とかは関係ないかなと考えておりますわ」
佐賀大学お嬢様部は、2022年6月、暴走族とギャラリーが散らかしたごみを掃除したことで、一躍話題となりました。
【佐賀大学 お嬢様部 部長】
「『ノブリスオブリージュっぽくない?』みたいな感じで…」
【吉原アナ】
「何ですか、それ?」
【佐賀大学 お嬢様部 部長】
「上に立つ者は、その下の者に施さなければならないみたいな精神で。それで『ゴミを拾おう』っていう感じですわね」
関西にもお嬢様部があるのか、聞いてみると…
【佐賀大学 お嬢様部 部長】
「大阪大学は、確か部員数が40名ぐらいいらっしゃって。本格的な活動をしていらっしゃって、『お嬢様部強豪校』っていうイメージですわね」
東洋大学お嬢様部の調べによると、こうした集団は全国80校以上の大学に存在しているとのこと。
その中でも強豪と言われる「阪大お嬢様部」が、「お顔を出さないこと」を条件に、調査に協力してくれることになりました。
活動が行われている部屋に、恐る恐る足を踏み入れる吉原アナ。「ごきげんよう」の声に迎えられます。感染対策で飲食なしの「お茶会」として、テーブルを数人で囲み、和やかな歓談が行われていました。
【部員】
「きのうまで北海道に避暑に行っておりまして、いろんなところを回ったんですけれど。ちょうど満月の頃に、夜の小樽運河を望むことができまして。とても素敵な観光地でしたので、皆さん機会がありましたら、ぜひ赴いてくださいまし」
「すてきですわね~」
【吉原アナ】
「言葉遣いがきれいですねぇ…」
その後はゲームの時間。円になって座り、中央の“鬼”のキーワードで席を移動するのは「フルーツバスケット」と同じですが…
【部員】
「コーヒーよりもお紅茶が好きな方」
立ち上がった数人は、お嬢様らしくおしとやかに移動します。1つの席に2人が向かった場合は譲り合いまで。「ティータイム」というゲームだそうです。
強豪校と聞いていたわりに、こんなゆるい活動だけなの?と、思いきや…
【部員】
「ドイツ語でお嬢様という意味のFräulein(フロイライン)と、休暇とか余暇って意味のFreizeit…」
「フライツァイトかな?」
一転、真面目な企画会議も。議題は、「大学祭の出し物のタイトルをどうするか」です。
【部員】
「お嬢様部を全く知らない人が、パンフレットとか見たときに、『お嬢様』って言葉が入っていた方が、何だろう?ってお嬢様部に関心持ってくれるのかなって」
「『お嬢様のお屋敷へのご招待』で決定いたします」
お嬢様の魅力を知ってもらうための活動に、真剣に向き合う部員たち。お嬢様部に入ってから、“良い変化”もあったそうで…
【部員】
「(アルバイトで)接客業をやってるんですけど、中には『嫌だな』って思うお客さまがいるんです。自分の中に一旦、“お嬢様を得る”と『何かやってますね~』くらいの気持ちで、寛容的になったなっていうのは感じつつあります」
【大阪大学 お嬢様部 代表 くるさん】
「結構人見知りをする方なんで、おとなしい感じでずっといたんですけれども。こういった活動を通して、お嬢様というベールを1枚被って。ある種演じるというか、そういったところがありますので。結構楽しく、やりやすくなるかなと感じます」
お嬢様になりきることで、自分の違う一面を引き出すことができる。これも、「お嬢様部」の魅力の1つだそうです。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月29日放送)