【専門家が解説】冬に警戒が必要な「フルロナ」 新型コロナとインフルエンザの"同時感染"が「約半数」の可能性も・・・発熱した場合、何から感染を疑うべき?対応や治療法を解説 2022年10月14日
今年の冬に警戒すべき、新型コロナと季節性インフルエンザの「同時流行」
厚生労働省は、ピーク時には新型コロナと季節性インフルエンザあわせて1日75万人の患者が出ることを想定していて重症化リスクの高い人の医療体制を確保したいとしています。
同時流行に対して、どのような行動をすればよいのか。関西医科大学附属病院の宮下修行先生の解説です。
■海外ではすでに確認の「フルロナ」 警戒すべきは?
インフルエンザと新型コロナに同時にかかることを欧米などでは、“フルロナ”と呼ばれていて、アメリカやイスラエルなどで確認されているということです。
宮下先生は「比較的起きやすい現象」かつ「肺で重症化する傾向」と指摘します。
【宮下修行教授】
「ウイルスはお互いが嫌いあって同時に流行しないものがあります。反対に、同時に感染する傾向もあります。特に新型コロナとインフルエンザは同時に感染することが分かっています。今年の冬は同時感染に最大限気を配らないといけないですし、同時感染だと重症化しやすいことが判明しています。また、肺胞レベルで炎症を起こすと肺炎を起こしやすくなります」
ーーQ:1日に75万人の感染が想定されるということで、両方感染する人がいてもおかしくないということですね?
【宮下修行教授】
「一番最初に新型コロナが武漢で流行した時も、インフルエンザが流行していました。その時の「同時感染率」は約50%。半分の方が感染してしまう可能性があります」
■医療機関のひっ迫緩和策 発熱したらどう対応?
同時流行が懸念される中、政府は医療機関のひっ迫を緩和させる対策を発表しました。
重症化のリスクの高い、65歳以上の方や基礎疾患のある方などは、これまでどおり発熱外来の受診を勧めています。一方でリスクが低い人は発熱した場合、自分で新型コロナの検査をします。
陽性ならこれまでどおり、健康フォローアップセンターに登録して自宅で療養をします。
陰性の場合は、オンラインや電話で受診して、インフルエンザと診断されれば、タミフルなどの治療薬が配送されることになります。
ーーQ:オンラインで、インフルエンザはどこまで診断できるものなんですか?
【宮下修行教授】
「私ならば診断ができません。いろんな病気が出てきますし。インフルエンザや新型コロナ以外も想定して診療します。そういう時は聴診器、レントゲン、血液検査を行って、その上で診断をするからです」
ーーQ:症状がひどかったら、かかりつけ医にいくことは規制されていないんですよね?
【宮下修行教授】
「行くことは規制されているわけではないですね」
ーーQ:インフルエンザではないのに、インフルエンザと診断されて、配送されたタミフルを飲んでしまっても大丈夫なんですか?
【宮下修行教授】
「健康な人がタミフルを飲んでも安全と考えてください。もしインフルエンザであれば、約24時間以内に解熱して症状が良くなります。反対にタミフルを飲んでも熱が続く場合は、違う病気が考えられます。この考え方は診断的治療というものです」
ーーQ:新型コロナに感染した場合、インフルエンザの薬はもらえないんですよね?
【宮下修行教授】
「そういうことになります。重症化するリスクの高い、65歳以上、基礎疾患がある方、小学生以下は早く抗インフルエンザ薬を投与した方がいいというデータが出ています。一方で健康的な方にも9%ぐらいの方は重症化するリスクがあります」
ーーQ:やはり一番良いのはワクチンなんですか?
【宮下修行教授】
「一番いいのはワクチンです。過去にないぐらいの7000万人以上のワクチンが確保されています」
また、政府は、検査キットと解熱剤は事前購入しておくよう、呼びかけています。
■気になるマスクルール
現状、政府が呼びかけているマスクのルールは、室外では、原則不要。十分な距離がとれない場合は、マスクを推奨しています。一方、室内では、会話が行われない場合は、不要となっています。
【宮下修行教授】
「世界の動きに日本合わせるというのは、感染対策から考えると間違っています。インフルエンザが流行るかもしれない、感染対策はしっかりとるべきです。ただ流行が終わった後は危険性が少ない。私も屋外では会話がなければマスクをしていませんが、どうやったら感染するのか、そういう考え方をしっかり持ってもらいたいです」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月14日放送)