急な“冷えこみ”で体が不調…それ「寒暖差疲労」かも? 朝晩の気温差「7度以上」は危険信号 肩こり、頭痛、不眠、めまい… 『原因』と『対策』を専門家に聞く 2022年10月19日
10月19日の朝は、近畿各地で今シーズン一番の冷え込みとなりました。この時期は体調を崩す人も増えますが、実はそれ、「寒暖差疲労」かもしれません。
木々が色づき始めた奈良公園。鹿の吐く息も白くなった10月19日の朝、奈良では最低気温9.5度と、今シーズン一番の冷え込みに。大阪市内でも、11月上旬並みの12.2度と今シーズンの最低気温を更新しました。
10月6~19日の2週間の最高気温を見ると、最も高かった日で28.5度、最も低かった日で18.3度と、上がったり下がったり。19日には、1日の間でも朝と昼で10度の寒暖差がありました。
そんな中、街を歩く人からは「温度差が激しいから年寄りはこたえる」「体がこわばって、筋肉が柔らかくなるまで時間がかかる」と言った声が。
この時期に疑われる「寒暖差疲労」の症状と対処法を、片平気象予報士と一緒に見ていきます。
【片平気象予報士】
「10月19日の朝は随分冷え込んで、大阪では今シーズンの最低気温を更新しました。内陸部はさらに冷え込み、奈良では10度を下回ることに。これがこの時期の気温の特徴で、晴れると寒暖差が大きくなるんです。昼間は日差しで暑いくらいですが、朝は穏やかに晴れると、地面の熱がどんどん宇宙に逃げていって寒くなります。これが『放射冷却』です」
寒暖差が大きいと、倦怠感(けんたいかん)や肩こり、頭痛、めまい、不眠などの症状が出やすくなるといいます。これが「寒暖差疲労」です。
「寒暖差疲労」に詳しい明治国際医療大学の伊藤和憲教授は、「5~7度の寒暖差は注意」、「7度以上の寒暖差は危険」だと言います。
寒暖差が大きいと体温調整をする自律神経の機能が乱れ、これが体調不良の原因になるそうです。夏に汗を十分かいていない人は、この自律神経が衰えている可能性があり、特に注意が必要だということです。
【片平気象予報士】
「寒暖差が『7度以上』という日は結構ありますし、内陸部では、15~20度くらいの差がある日も。10月19日の大阪も寒暖差が10度ありますので、かなりきついと思います。気を付けていただきたいですね」
■「寒暖差」と「自律神経」の関係
寒暖差が激しいことで、なぜこういった症状が出るのでしょうか。自律神経はレバーのような役割をしていて、暑いときには体温を下げようと血管を広げたり、筋肉を緩めることで熱を逃がそうとします。一方、寒いときには体温を上げようと血管を収縮させ、筋肉を固くすることで、熱が逃げないようにします。
寒暖差が大きいと、レバーの役割を果たす自律神経は過剰に働きます。それが、疲労につながってしまうということです。
では、自律神経は過剰に働かせないためにはどうすればいいのでしょうか。伊藤教授は「自律神経を鍛えるトレーニングが重要」だと言います。今日から自宅でできる「自律神経トレーニング」を、3つ教えてもらいました。
・適度な運動で汗をかく
・入浴で汗をかく
・過度な暖房を控えて寒さに慣れる
ジョギングやストレッチなどの適度な運動や入浴で汗をかくことは、体温を下げる働きを促進することで、自律神経を鍛えます。
また、過度な暖房で気温を一定に保つことは、自律神経の衰えにつながります。寒さに体を徐々に慣らすことで、適度に自律神経を使った方がいいということです。
【片平気象予報士】
「初夏には熱中症対策として『暑熱順化』を取り上げました。体を暑さに慣らしましょう、ということです。同じことの冬バージョンですね。寒さに慣れるということで過度な暖房は控えた方がいいとのことですが、あくまで『過度な』ということなので、寒いときは『適度に』暖房を使ってください。風邪を引いてしまうと本末転倒なので。また、暖房の温度を上げるよりは、上着を1枚多めに着るなどした方が、体にはいいかもしれません。この時期は寒暖差の激しい日が続きますので、無理のない範囲で、上手に自律神経を鍛えていってください」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月19日放送)