また発覚した少年事件の記録廃棄 集団登校の児童らの列に突っ込んだ無免許居眠り運転の“亀岡暴走事故” 遺族は「一番守ってほしかった司法に裏切られた」と憤り 2022年10月26日
10年前、京都府亀岡市で起きた無免許の少年による車の暴走事故。京都家庭裁判所が、少年らの記録を廃棄していたことが分かりました。
2012年、亀岡市で当時18歳の少年が無免許で車を居眠り運転し、集団登校中の児童らの列に突っ込んで、児童2人と付き添っていた女性(当時26)が死亡しました。
車に乗っていた少年や、車を貸した少年ら6人が逮捕され、3人が有罪判決を受けました。
ほかの3人は京都家庭裁判所が保護処分としていますが、この3人に関する事件記録などの全ての資料が、2019年から去年にかけて廃棄されていたことが分かりました。
また、有罪判決を受けた3人についても、家裁調査官による調査記録が廃棄されていたということです。
無免許運転に関する罰則が強化される契機となった事件。
最高裁は、社会的な影響の大きい少年事件の資料について、事実上永久に保存する「特別保存」を義務付けています。
京都家裁は、「廃棄の経緯は分からない。経緯を調べるかも決まっていない」としています。
事故で娘(当時26)を亡くした中江美則さんは、「法整備にもつながった事案なのに、遺族に連絡もなく廃棄したことに憤りを感じる。一番守ってほしかった司法に裏切られた気持ち。廃棄されたのは少年が刑務所から出ていない時期で、更に憤りを感じる」と話しています。
■各地で判明した同様の事態 最高裁は
神戸連続児童殺傷事件を始め、少年事件の資料の廃棄が相次いで判明しています。
10月20日は「調査は考えていない」という姿勢だった最高裁ですが、26日には一転し、「保存のあり方が適切か有識者に評価してもらう」としました。
また「特別保存」された少年事件は、2000年に発生した当時17歳の少年による「西鉄バスジャック事件」や2015年に兵庫県で発生した、当時16歳の少年が無免許運転で男性をひき逃げし、死亡させた事件などの15件であることが明らかになりました。
廃棄の重大性と保存の重要性について、報道ランナーに出演する菊地幸夫弁護士は…
【菊地弁護士】
「少年事件は現在、厳罰化などの法改正の議論もあり非常に動いている分野です。将来、『あの事件はああだったから、こういうところを変えよう』といった振り返りをする、歴史的な評価の対象というか、その後の法整備に与える影響は少なくないと思うんです。残しておく価値は高いと思うんですが、最初に最高裁が『調査は考えていない』としたことは、資料が後世に与える価値をどう考えているのか、疑問になります」
――Q:92年につくった基準はあいまいで、最近になって「主要日刊紙2紙以上が報じた事件」といった基準もできたようですが、もう少し線引きがあってもいいのでは
「記事として掲載された回数だけではなく、内容に踏み込んだ評価の基準をつくってもらいたいですね」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月26日放送)