核実験の「エックスデー」到来 ミサイルでの挑発行為を続ける北朝鮮 「中国が圧力をかけて核実験を止めている」説の真偽は 緊張感高まる国際情勢を解説 2022年11月07日
11月7日、北朝鮮は2~5日に行った一連のミサイル発射を「米韓に対抗する軍事作戦」だったと発表しました。
5日には日本も、アメリカとの戦術訓練を九州北西の東シナ海の上空で行い、航空自衛隊の戦闘機とアメリカ軍の爆撃機など、合わせて9機が参加しました。
韓国軍は7日から4日間、北朝鮮の「核」を想定した図上演習を行う予定で、北朝鮮が再び反発する可能性もあります。
互いにけん制を強める北朝鮮と日米韓。北朝鮮は、このまま核実験へ突き進むのでしょうか。
核実験の危険性が高いとされるアメリカの中間選挙を目前とした今、危機はどこまで迫っているのか、関西テレビの神崎デスクが解説します。
■エックスデーは「11月7日」 核実験は?
11月2~5日にかけてミサイルを乱発した北朝鮮。5年ぶり7回目の核実験は、アメリカ中間選挙の11月8日までに実施される可能性が高く、エックスデーは「11月7日」だと言われていました。しかし現在のところ、その動きはみられていません。
――Q:今回は、核実験はしないのでしょうか?
【神崎デスク】
「アメリカ軍は、衛星などで北朝鮮の核実験の兆候を捉えます。核実験をやるんじゃないかというときには、アメリカ本土から核実験を監視する飛行機を沖縄の嘉手納基地に飛ばしてくるんです。北朝鮮が核実験を行いそうな日の朝に、嘉手納から飛行機を飛ばすんですが、その監視機がまだアメリカから来ていない。アメリカ軍は恐らく、7日・8日に核実験はないとみていると思います。最終的には金正恩総書記のタイミングですが、中間選挙までの核実験は難しいのでは、という見方があります」
――Q:北朝鮮としては、核の小型化を実現するために核実験はしたいはずですよね。やらない理由として、中国が北朝鮮の核実験を止めている可能性があると聞きます
「中国はメンツがありますので、共産党大会まではやらないようにと止めていた、というのが大勢の見方でした。それが終わったのでできるはずなのですが、北朝鮮が核実験をすると、核抑止力を働かせるため、アメリカの核が日本や韓国に配備される恐れがあります。あくまでも北朝鮮に対する包囲網ですが、隣国である中国もその包囲網の中に入ってしまう。中国はそれを恐れて、北朝鮮に『核実験をするな』と圧力をかけているのでは、という見方があります。北朝鮮のエネルギーや食糧は中国側から入っているので、ある種、北朝鮮という国の存続を、中国が握っていると言っても過言ではありません」
――Q:中国が、核配備を恐れている戦闘機というものがあるそうですね
「F-35Aという戦闘機で、日本にも韓国にも配備されています。戦闘機というのは、中をどんどん改修して最新型にしていきます。『F-35A ブロック4』というのが最新型で、日本に配備されているものも、将来的にはこちらに改修されることが決まっています。『F-35A ブロック4』には、長さ約5メートル、重さ約500キロの『最新小型核爆弾(B61-12)』が搭載可能なんです。小さいんですが、威力は広島に落ちたものの3倍以上とされています」
――Q:F-35Aはレーダー網をかいくぐれる戦闘機なので、中国としては、そこに核を積まれると…ということですね
「中国はロシアを見ています。ロシアは今、ウクライナに対して核を使う恐れがあると言われています。F-35Aはドイツにも配備される予定なんですが、アメリカはドイツと核を共有しているため、このF-35Aに核を積むことができる。さらに、ロシアと国境を接しているフィンランドにも、核搭載可能な『F-35A ブロック4』が配備されることが決まっています。フィンランドからモスクワまではF-35Aで往復できる距離なので、プーチン大統領としては、フィンランドにF-35Aが来るのは困る。こういった状況を、中国の習近平国家主席は見ています。今北朝鮮に好きに核実験をされてしまうと、中国もロシアと同じように、日本や韓国から核で囲まれてしまうのでは、と恐れているんです。ロシアの状況を見ながら、『今は待て』と北朝鮮に圧力をかけているのでは、と言われています」
中国が恐れているという、日本や韓国への核配備。技術的なステップに加え、日本が「非核三原則」を変えて核の持ち込みを容認するという大きなハードルがありますが、中国はそれも見据えて北朝鮮を止めている可能性があるということです。
ますます緊張を高める国際情勢。核実験は行われるのでしょうか。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月7日放送)