時代の空気を色濃く残す、京都に残る貴重なモダン建築。
普段は非公開のものも、内部が特別に見学できるイベントが開催されています。
■街の魅力を伝える「モダン建築」 一斉に扉を開く
古い町並みが残る京都。空襲や地震の被害が少なかったこの街に、明治以降に作られた貴重な「モダン建築」が多く残されています。
京都に残る最古の教会『聖アグネス教会』。木造の建物にはステンドグラスからやわらかな光が差し込みます。
隣接する『平安女学院・明治館』は1895年に校舎として建てられました。
建設当時は、教室・職員室・事務室など学校全体のさまざまな機能を担っていました。
赤いレンガを見せるイギリス式の建築で、「ダッチゲーブル」という曲線を描く破風が目を引きます。
京都に現存する、こうした魅力的なモダン建築を一斉公開するプロジェクト、それが「京都モダン建築祭」。
文化庁の移転記念事業として、京都市と民間団体が連携して取り組む、初めての”建築の祭典”です。
京都市とその周辺にある200以上のモダン建築から、今回は36件が参加します。
広く知ってもらい、大切に守っていくキッカケにしたいと建築の研究者や美術館関係者などが企画しました。
【京都市京セラ美術館・前田尚武ディレクター】
「京都は近代建築の宝庫と言われてきたが、そういう風に言われてきて知っているのは専門家ばかりだった」
【京都市京セラ美術館・前田尚武ディレクター】
「各時代とかぎゅぎゅっと、本当に歩ける範囲に集まってて、他は日本国内に多分ないと思います」
風見鶏が出迎えるのはツタが印象的な『革島医院』。国の登録有形文化財に登録されています。
【籾山あやの記者】
「10年以上前に閉院し、立ち入ることができなくなっていましたが、今回初めて、内部も公開されます」
1936年に住宅兼病院として作られた建物で、丸い窓は当時流行っていたという、船をモチーフにしたデザインです。
■第二次世界大戦をまたいで80年あまり…最古の美術館
『京都市京セラ美術館』は、現存する日本の公立美術館の中でもっとも古い建築物です。
1933年に建てられ、第二次世界大戦の戦火をくぐり抜けて80年あまり…、多くの人の記憶に深く刻み込まれてきました。
和と洋のデザインが随所で混じり合っているモダン建築の特徴を受け継いでいます。
【京都工芸繊維大学・笠原一人助教授】
「イベントをすることで、所有者や管理している人だけじゃなくて、みんなでこういう建物を守っていこう、という気運が高まればよいなと」
【京都工芸繊維大学・笠原一人助教授】
「100年、1000年続けていきたいんですけれども、ライバルは祇園祭だと言ってるんですけれども」
地震や戦争の被害が少なかった京都には、古い建築物や庭園だけではなく、近現代に誕生した数多くの「モダン建築」が残されています。
“生きた文化財”として受け継がれ、文化的価値に触れることのできる「京都モダン建築祭」は、11日から3日間開催されます。
(関西テレビ「報道ランナー」11月10日放送)