保育士が園児に行った「15の虐待」 宙づり、暴言、カッターナイフ… 内部告発から3カ月 市の動きの遅さの裏には何が 前大津市長の越弁護士は「子供の命に関わるという認識が甘い」 2022年12月05日
静岡県裾野市の私立保育園で、園児に暴行を加えていた保育士3人が逮捕されました。保育士に口止めして隠蔽(いんぺい)したとして、市は園長も刑事告発しました。
■宙づり、暴言…保育士による15の虐待
保育士が虐待行為で逮捕されるという事態。裾野市は、宙づりや暴言など、耳を疑いたくなる15の虐待行為があったと公表しました。
<保育士による15の虐待行為>
・泣く園児の姿を携帯電話で撮影
・バインダーで頭をたたく
・足をつかみ宙づりにする
・遅刻した園児の腕を引っ張り「遅いんだよ」と怒鳴る
・寝かしつけた園児に「ご臨終です」
・泣かない園児の額をたたき無理やり泣かせる
・昼食時に園児を怒鳴りつけほほをつねる
・園児のズボンを無理やりおろす
・真っ暗な排せつ室に放置
・園児に「ブス」「デブ」など暴言
・手足口病の症状がある園児の尻を無理やり他の園児に触らせる
・給食を食べない園児の頭を後ろからたたく
・玩具が入っている倉庫に閉じ込める
・カッターナイフで脅す
・丸めたゴザで園児の頭をたたく
■事件の経緯
今回の事件については、2022年8月に内部告発があり、市の担当部局が市長に報告したのが11月28日でした。11月30日に会見が開かれ、12月4日、保育士が逮捕されるといった経緯をたどりました。
警察が把握したのは会見の少し前だったということで、スピード逮捕となった一方、市の動きは極めて遅かったとみられています。
<事件を巡る市の対応>
8月17日:市に情報提供「不適切な保育」
8月22日:市が園長と面談、調査を指示
9月9日:園が保育士3人を処分
10月下旬:園が「虐待行為を口外しない」との誓約書を全職員に書かせる
11月28日:市が市長に報告
12月3日:県と市が園を特別監査
市長がこの問題を把握したのは、市が情報提供を受けてから3カ月以上後だったことになります。
市長への報告が遅れたことについて、更迭処分を受けた健康福祉部長は「まずやるべきは子供の安全確保でした。園を改善させるのが第一。園の処分・配置換えなど検討するのに時間がかなり経過してしまった」と説明しました。
前大津市長の越直美弁護士も、市の動きの遅さを指摘します。
【越弁護士】
「原因として、現場が物事の重大性、子供の命に関わる事案であるという認識が甘かったと思います。園にはいろんな問題があります。よくあるのは、『保育士を●人配置している』と言っているが実は少ない、とかですね。いろんな問題がある中で、全てが行政処分に至るわけではないし、全てが市長に報告されるわけではないんですけど、今回の件は生命・身体に関わる事案なので、すぐに行政処分をする、またはその前に何らかの措置を取ることが必要な、一刻を争うようなものだと思います」
関西テレビの神崎デスクは、認可権を持つ県への報告も行われていなかったことについて、疑問を投げかけます。
【関西テレビ 神崎デスク】
「市は県に報告していない。市長にも報告してないので、もしかしたら内々に処理してしまって、処分を逃れようとしたのではという疑いもあります。一方、市は園とやり取りをしていて、調査を指示したりもしているので、市の力で何とか解決しようとしたのかもしれませんが、そこはまだちょっと分からないですね」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月5日放送)