微笑みの国“タイ”。世界中から多くの外国人観光客が集います。まさに観光大国です。そんなタイに先週、格安航空会社のピーチが路線を開きました。
現地取材で見えてきた、ピーチのバンコク戦略とは?そして…タイ屈指の人気を誇るビーチではある異変が・・・
■ピーチで3年ぶり国際線“バンコク便”
12月27日、ピーチのおよそ3年ぶりとなる新しい国際線が誕生の時を迎えました。
【Peach Aviation 航空事業企画室 岩佐登紀郎さん】
「コロナ前はバンコクから大阪に来て頂く観光客は常に増え続けている状況です。今がまさに開設のチャンスではないかなと非常に会社としても攻める判断をしました」
関西空港を拠点にするピーチはバンコク便の開設前は31の国内線と17の国際線を運航。しかし、新型コロナで国際線が全て運休に。国内線も振るわず、ピーチは最近2年間は大幅な赤字を出しました。バンコク線の就航は、コロナ前から準備を進めていたまさに悲願です。
最初の便はほぼ満席となりました。
【2人組の女性乗客】
「お寺とかいろいろな遺跡とかを見に行けたらと」
【男性乗客】
「(バンコク便を)探している時に就航という情報が入ったので発売と同時にすぐに買いました。関空からの便の中では本当に限られているので」
【女性乗客】
「(関西から)飛ぶ本数も少ないので予約が取れないことが多かった。助かっています」
実は…成田・羽田からはバンコクへあわせて20社以上飛んでいるのに対し、関西空港からは3社だけ。ライバルの少なさも、ピーチがバンコク線に目を付けた理由の1つです。
■タイでは観光復活…だが日本人の姿はなし アフターコロナ後の回復見込む戦略
関西空港からタイ・バンコクまで6時間半のフライトです。
【藤井凌記者リポート】
「タイのバンコクへやってきました!ご覧ください、車やバイクがたくさん行きかっています」
インドシナ半島の中央に位置するタイ。国土は日本のおよそ1.4倍、人口は半分ほどです。
日本人にも人気の観光地で、2019年は過去最高となるおよそ180万人がタイを訪れました。
バンコク三大寺院のひとつ“ワット・ポー”を訪れました。そこには、悠々と横たわる黄金の仏像がありました。日本でも有名な“涅槃仏”(ねはんぶつ)です。注目は何といってもその大きさ。高さは15メートル、顔から足までの長さは46メートルです。
タイでは水際対策をほぼ廃止し、外国人観光客を積極的に受け入れています。様々な国から来た人たちでにぎわっていますが、その中に日本人観光客の姿は見当たりません。ピーチは、回復が見込まれる日本人観光客に期待しています。
【藤井記者リポート】
「飲食店が立ち並ぶ通りにやってきました。私が見る限り、屋外を歩いている人のほとんどがマスクを着用しています」
もちろん、タイもコロナとは無縁ではありませんでした。にぎわっていた観光地もご覧の通り。タイでは一時期、マスクの着用が義務化され違反すると最高8万円近くの罰金を科せられていました。
そんな最中、2021年11月にオープンした観光名所があります。野外に飲食店や雑貨店など600もの店舗が立ち並ぶナイトマーケット「JODD FAIRS(ジョッドフェア)」。
–Q:すみません、皆さん今、何を食べているのですか?
【現地のタイ人】
「レングです」
–Q:どういった食べ物ですか?
【現地のタイ人】
「豚骨料理です。味はスパイシーで辛くて酸っぱいです」
4人前で290バーツ(日本円で約1100円)です。日本に比べるとお手頃です。
【現地のタイ人】
「食べてみてください」
【藤井記者】
「うん、美味しい…辛っ!」
■人気のプーケットで意外な光景が…
日本とタイの結びつきは観光だけではありません。タイには日系企業が多く、タイに住む日本人の数は世界でもトップクラスです。(※2022年10月時点:米・中・豪に次いで4番目)
ピーチはビジネス利用の可能性にも目を付けています。
タイを代表するリゾート地・プーケット。かつてのにぎわいにはまだ及ばないものの、コロナ前の光景が戻りつつあります。そんなプーケットではこの1年である変化が…
ビーチにいた外国人観光客にどこから来たのか聞いてみると…
–Q:どちらの国からいらっしゃったのでしょうか?
【観光客】
「ロシアから来ました」
【別の観光客】
「ロシアからです」
ロシアと各国を結ぶ飛行機の多くが運航を取りやめている中、直行便が飛ぶプーケットに大勢のロシア人が押し寄せているのです。(※2022年11月:プーケットへの国別外国人観光客ではロシアが最多)
–Q:どういった目的でプーケットに?
【ロシア人観光客】
「きれいな場所だからです。カラフルで、人もフレンドリーです。タイも大好きで、ここの海と空も好きで、とてもいい場所です。(ビーチに)ロシア人がたくさんいますね。今、ロシア人が行ける国は少なく、タイがその1つですから」
プーケットで働くタイ人男性にコロナの影響について話を聞きました。
–Q:コロナ禍でしばらく観光客の方が減ったと思うんですけども…
【プーケットで働くタイ人男性】
「8割も減りました。ここまで復活するのに2年間以上かかりました」
–Q:今後、観光客の数が増えていきそうですか?
【プーケットで働くタイ人男性】
「もちろんです。2年間観光客が来られていませんでした。たくさんの観光客がプーケットに来たいと思っています。特にこのパトンビーチ、他ビーチもそうです。プーケットはとてもきれいな場所ですから」
プーケットで唯一出会った、京都からきた日本人観光客に話を聞きました。
【日本人観光客】
「関西国際空港からバンコクまで1本できました。(関空からの)便数は少ないので、少し来にくいのかなと思うのですけど、お友達でも割とバンコクに行っている方が多くて。タイがすごく人気なんだなと」
コロナを乗り越え再出発を図るピーチ。2023年、海外旅行は私たちに身近な存在となるのでしょうか。
(2023年1月4日放送)