“ストーカー”男には「禁止命令」が “博多女性刺殺”事件は防げなかったのか 年間およそ1700件ある「禁止命令」 “抑止力”の実際と被害者生まない対策は 2023年01月19日
福岡市のJR博多駅前で寺内進容疑者(31)が元交際相手だった川野美樹さん(当時38歳)を刃物で十数回刺し殺害したとして逮捕された今回の事件。寺内容疑者に「禁止命令」が出される中、起きました。
川野さんの親族によると、2022年8~9月の辺りまでは付き合っていたが、別れた後に、ストーカーみたいにつけられていたということです。
数年前、大阪から福岡に移り住み中洲の飲食店で働いていた寺内容疑者ですが、大阪時代の知人によると、以前から女性関係では周りが見えなくなる一面があったといいます。過去にも同様にストーカーの果てに起きた殺人はありました。今回、防ぐことはできなかったのでしょうか?
殺された川野さんが警察に相談したこれまでの「経緯」を振り返ると…
2022年10月21日、被害者の川野さんは、「携帯電話をとられた。別れたい」と、警察に相談します。さらに、3日後の24日にも再び相談。寺内容疑者は警察から警告されますが、その後もつきまといは続きました。このため、およそ1カ月後に警察は、ストーカー規制法に基づく、「禁止命令」を寺内容疑者に出し、つきまとい行為などを禁じました。
そして、2023年1月6日に警察は、被害者に対し経過の確認をしていましたが、この時点では、異常は確認されなかったということです。…しかし、16日、事件は起きてしまいました。
今回のように「禁止命令」が出ても、加害者に対してのアプローチは難しいものだったのか、関西テレビの神崎博解説デスクは…
【神崎博デスク】
「禁止命令が出ても、つきまといを続けると逮捕されるため、多くの場合では一定の抑止力はある。しかし、被害者へは被害状況など定期的に聴き取りはできても、加害者には任意なので、監視や聴取などは基本的に難しいのが実情」
こういった被害を防ぐためにどうすればいいのか、犯罪学が専門の立正大学の小宮信夫教授は、「短期的な対策として、電子監視、GPSなどによる監視も必要。長期的な対策として、禁止命令と同時に加害者のカウンセリング、治療を行うべき」と話しています。
禁止命令は、2021年のデータで1671件もあるそうですが、監視や治療としてのカウンセリングといった対策がどこまでとれるのか、個人間の恋愛感情が絡むシビアな問題ですが、これ以上、被害者を生まない対策は考えていく必要があります。
(関西テレビ「報道ランナー」2023年1月19日放送)