“万博史上最も軽い”パビリオン スイスが2025大阪・関西万博に出展 5つの球体でわずか400kg ハイジと一緒に楽むことも? 2023年02月02日
およそ2年後に迫った大阪・関西万博。2月1日、スイスが参加国で初となるパビリオンの詳細を発表しました。驚くべきは“軽さ”で、イメージは“シャボン玉”です。
■“万博史上最も軽い”建物
【建築家 マヌエル・ヘルツさん】
「私たちは“万博史上最も軽い”建物をデザインしました
特徴の一つは、パビリオンが「万博史上最も軽い」ということ。球体は合成樹脂の二重の膜の中に空気を入れて作られ、その軽さは5つ合わせて400kg以下。競走馬1頭か、大型バイク2台分ぐらいなのです。しかもこの球体も展示スペースの中の資材も、全てリサイクルが可能で、万博終了後は家具などに生まれ変わる予定です。
館内では、アルプスの花の香りがするということです。実は1970年に開かれた大阪万博のスイス館でも、
【大阪万博スイス政府代表 マックス・トレンドレーさん(当時)】
「アルプスの山の新鮮な空気を感じてもらい、ほっとしてもらえる空間です」
館内でアルプスの空気を感じさせたという1970年大阪万博のスイス館は、3万2000個の電球を使ったシャンデリアのような美しいデザインで、建築優秀賞を受賞しました。去年のドバイ万博では全面が鏡で覆われたパビリオンで、建築部門の銀賞を受賞しました。
そしてもう一つの驚きポイントは、
【内装デザイン イヴァン・フォンクさん】
「屋上バーは有名なハイジを記念したバーで、ラッキーならハイジと出会えます」
屋上のバーにハイジがいる?どういうことなのか、気になりすぎて担当者を取材しました。
【記者】
「『ハイジのバー』って気になるんですが、どういうことですか?」
【スイス連邦陳列区地域政府代表 マヌエル・サルチリさん】
「今でも日本の皆さんがスイスに対して、大自然や平和のイメージを持っているのは『ハイジ』のおかげです。だからパビリオンにハイジがいるべきなのです。ブランコに座ってハイジと一緒に飲み物が楽しめますよ」
日本人には懐かしいアルプスの少女と、先進技術の融合が見られるスイスのパビリオンは、2025年の4月13日オープン予定です。
■スイスの技術もすごいが、大阪の企業もすごい技術
スイスの技術もすごいですが、大阪の企業の技術も、世界から注目されているんです。
【記者リポート】
「あちらの体育館ような建物。実はこれが万博で、パビリオンとして登場するかもしれないのです」
この建物を開発したのは、建設機器などのレンタルをしている大阪市の「西尾レントオール」。至る所に独自の技術が詰まっているそうです。木材と金属を組み合わせた特殊な構造で建物の強度が保たれ、柱が無くても広い空間を作ることができるのです。
【西尾レントオール木造モジュール課 諏訪裕一郎課長】
「柱が無いということは、パビリオンにおいては利用しやすい」
手軽に建てられることも特徴で、基礎は約1メートルと深く掘らずに済み、工期は最短で半年ほど。さらに、再利用が可能で産業廃棄物を減らすことができて、環境に優しいのです。環境への意識が高いと、万博の参加国からの注目度も高いそうです。
【西尾レントオール木造モジュール課 諏訪裕一郎課長】
「非常に、問い合わせと、一度会っていただけないかと。活発になってきたなという実感があります。我々としては10棟程度建てられればいいなと」
万博開幕まであと2年!世界の技術や、日本の技術の進歩から目が離せません。
■万博全体に目を向けると、ちょっと気がかりなことも…
2月1日に詳細が発表されたスイス館。「ハイジのバー」が気になっている人も多いかもしれませんが、あらためてパビリオンの特徴を整理します。
・ちょ~軽いこと。球体のシェルの総重量は400kg以下。万博史上最も軽いといいます。環境負担を軽くするため、部材は全て再利用可能なものを使用し、解体して家具などに再利用されるということです。
・ルーフトップバー、屋上のバーはハイジに会える(かもしれない)バーだということです。大きな丸い窓が開いていますが、大阪湾の夕日が眺められるということです。
スイスは今回の万博への参加の発表が早く、日本で開催される万博にかなり力を入れくれているようです。前回大阪万博や、去年のドバイ万博でも独創的なパビリオンを出展していて、万博に力を入れていることが伝わってきます。
ただ、万博全体に目を向けると、ちょっと気がかりなこともあります。大阪府による全国アンケート調査によると、万博の認知度は年々上がっているのですが、「行きたい」と答えた人は、この1年で減少しているんです。昨年度51.9%だったのが、今年度には41.2%となり、10ポイント以上低下したのです。
この結果について、大阪府の担当者は、「物価高による消費意欲の低下」「万博の詳細が伝わっていないこと」などが原因だとみているとのことです。
(関西テレビ「報道ランナー」2023年2月1日放送)