キーウ在住のボグダン・パルホメンコさん。この1年間、毎日のようにウクライナ現地の様子をSNSなどで発信してきました。日本の私たちに何を伝えようとしていたのでしょうか。
【ボグダンさん 2022年2月26日】
「夜中はもちろん銃声も聞こえたし、爆弾が爆発するような音もありました」
キーウ在住のボグダン・パルホメンコさん(36)は、4歳から15歳までの12年間を神戸や大阪で過ごし、日本企業にも勤めました。
■1年間ほとんど毎日、SNSで日本に向けて発信
軍事侵攻から1年。ほとんど毎日欠かすことなく、SNSで日本に向けて発信を続けています。日本から送られてくる寄付や支援物資は、日に日に増えました。ボグダンさんは家族や友人10人ほどでボランティアチームを作り、最前線で戦う兵士や親を亡くした子供たちに直接届けています。
【ボクダンさんYouTube~親を亡くした児童施設におにぎりを届けに行きました~】
【ボグダンさん】
「僕の名前はボグダン。これは全て日本からみんなへのプレゼントだよ」
「(おにぎりの包装を開けて見せて)ほら見て、こうやるんだよ。怖がらないで引っ張って」
「おいしい?」
【女の子】
「おいしい。私の好きな味」
【女の子】 「(バナナを差し出して)これを軍人さんに届けてほしい」
【ボグダンさん】 「もちろん」
【女の子】 「本当にありがとう」
【男の子】 「これも!」
【ボグダンさん】 「ありがとう。でも軍人さんには違うものを届けるね」
【女の子】 「私たちはいっぱいご飯があるからこれを軍人さんに届けて」
子供たちの言葉に、ボグダンさんは、返す言葉が見つかりませんでした…
一方、戦争の中にありながらも何気ない日常を伝えてきました。
【ボクダンさんYouTube~ウクライナ人が生まれて初めて日本のお菓子を食べてみたら反応が面白過ぎた~】
【ボグダンさん】
「(初めて餅を食べるウクライナ人に)砂糖入ってるから、砂糖付けてたべてみて」
「(食べにくそうにしている様子を見て)歯にくっつくって」
【友人】
「おいしい」
ウクライナのありのままの生活を、日本の人たちに知ってもらいたいと、発信を続けています。
【ボグダンさん】
「日本の方との交流があって、それがひとつの大きなパワーになっていたことに気付いた。そして多くのサポートの声が得られて、それが自分や家族、メンバーの大きなエネルギーになっていた」
■容赦ないロシア軍の攻撃 停電、断水 「心が折れそう」
しかし秋以降、寒さが厳しくなる中でロシア軍の攻撃は容赦なく続きました。発電所といったインフラ設備に対する攻撃で、停電や断水に見舞われ、ボグダンさんの生活も一変しました。
【ボクダンさんYouTube~正直、もう生活するのが困難です~】
【ボグダンさん】
「電気、水道、ガス、通信がないとこれだけ大変なのかと改めて再確認」
【ボクダンさんYouTube~ついにセントラルヒーティングが止まってしまいました~】
【ボグダンさん】
「今セントラルヒーティング(集中暖房)も切れちゃいました。状況は深刻化していってます」
日常生活もままならない中、この時ばかりは弱音を吐かずにはいられませんでした。
【ボグダンさん】
「電気がない、水がない、通信ができないという時に、もう一度心が折れそうになったし、海外に出たいなというのは初めて強く強く思った」
■今も多くの兵士が命を落としているウクライナの現実…日本に伝えたいこと
不便な生活を強いられる市民たち。そして今も多くの兵士が命を落としています。ボグダンさんは2月、戦死者が埋葬されている墓地を訪れました。
【ボクダンさんYouTube~戦死したウクライナ兵が眠るお墓に行ってきました~】
【ボグダンさん】
「20歳になってない、19歳ぐらいで亡くなっている方もいます」
「こっちの方は33歳。ウクライナをこれからを背負っていくような男性たちが、どんどん亡くなっていますね」
【ボグダンさん】
「世界の人が平和でいられるのは、対価を誰かが払っている部分があると思うので、少しみなさんに知っていただけたら」
終わりの見えない戦争から1年、ボグダンさんはきょうも、ウクライナの現実を伝え続けます。
(関西テレビ「報道ランナー」2023年2月23日放送)