公取委が1000億円超の「課徴金命令」 電力会社4社の"カルテル"問題 違反行為を”主導”した関西電力は処分を免れる…なぜ? 前社長を直撃取材 2023年03月30日
【公正取引委員会】
「独占禁止法違反につながる情報交換が行われることのないよう、周知徹底していただきたくここに申し入れます」
30日朝、公正取引委員会から電気事業連合会に会員企業の違反行為が通達されました。
「カルテル」という複数の企業でこっそり話し合って価格などを決め合う違反行為をしたと疑われているのが、関西電力・中部電力・中国電力・九州電力の4社などです。
2018年ごろから「事業者向け電力」に関して、互いに競争しないよう申し合わせていたとして、公正取引委員会は30日、各社あわせて1千億円超えという過去最高額の課徴金を命じました。
きっかけは電力小売りの”自由化”でした。
以前の電力市場は、地域ごとに電力会社が割り振られた独占状態でした。
そこで、「電力をより適正な価格に下げよう」と2000年からどんな会社でもエリアを超えて電力を販売できる”自由化”の動きが進められました。
こうして、ガス会社や通信会社など違う業種の企業も、新規参入の「新電力」として競争に参加。
市場が活性化される中、大手電力会社は必死の値引きで抗戦しますが限界に達します。
その時、4社が結んだのが「カルテル」。
「それぞれの地元の顧客には手を出さないようにしよう」と申し合わせたのです。
関西テレビは去年、当時担当役員だった森本前社長に問題について直接聞きましたが…
【記者】
「関電のカルテル関与について教えてもらえますか」
【関西電力 森本孝前社長】
「・・・」
【記者】
「一部の報道では、森本さんが持ちかけたとありますが」
【関西電力 森本孝前社長】
「・・・」
森元前社長から回答を得ることはできませんでした。
「電力改革」の流れに反する行為に公正取引委員会は、電力会社4社などに立ち入り検査などを実施。
30日、中国電力に707億円、中部電力に275億円、九州電力に27億円、あわせて1000億円を超える過去最高となる課徴金の支払いを命じました。
一方でカルテルの中心になっていたとみられる関西電力は、違反していたことを公正取引委員会に最初に自主申告したため、独占禁止法の課徴金減免制度によって処分を免れ「無罪放免」となったのです。
今回の問題について公正取引委員会は…
【公正取引委員会事務総局・田辺治審査局長】
「電気料金を最大限抑制することや、需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大することといった(電力自由化の)理念をないがしろにする違反行為である。経営陣を含むような形で違反行為が行われていたのは1つの大きな問題だったと考えている」
電力自由化に反するような大手電力会社の不正行為。企業のモラルが問われています。
(2023年3月30日 関西テレビ「報道ランナー」放送)