トランプ前大統領 アメリカ史上初 大統領経験者が“起訴”される 次期大統領選に「“逆風”と“追い風”」 刑事被告人でありながら大統領になる可能性が! 2023年03月31日
アメリカのトランプ前大統領が、ニューヨーク州の大陪審に起訴されました。次の大統領選挙に出馬を表明しているため、選挙戦への影響がありそうです。
アメリカのトランプ前大統領と、かつて不倫関係にあったとされるポルノ女優。トランプ前大統領は、2016年の大統領選挙の際、不倫スキャンダルが表に出ないよう、このポルノ女優に「口止め料」を支払ったとされています。ニューヨーク州の大陪審は、この「口止め料」が州法が禁じる“一定額以上の寄付”に当たる可能性があるとして、捜査を進めてきました。そして、3月30日、大陪審は、トランプ前大統領を起訴。大統領経験者が起訴されるのは、アメリカ史上“初”です。
【トランプ前大統領のSNSより】
「歴史上最高レベルの政治的迫害と選挙妨害」
アメリカメディアはトランプ前大統領について、不倫の口止めのほかにも、30以上の罪を犯した可能性があると報じています。
トランプ前大統領は、フォックス・ニュースチャンネルで、起訴前の3月27日にインタビューに応じて、
【トランプ前大統領】
「みんな捜査は“詐欺”だと言っている。私を嫌いな人でも、これは国にとって非常に良くないと。起訴されることが私を利するか否か分からないが、選挙でズルする新しい手法だ。つまり選挙妨害だ」
今回の起訴を受けて有権者からは賛否の声があります。
【反トランプ派】
「彼は犯罪人だと思う。何かで起訴できたのはうれしい。もっと深刻な罪で起訴されれば良かった」
【トランプ支持者】
「政治的だ。でも彼は切り抜ける。きっと問題ない」
複数のメディアは、弁護士の話として、「4月4日にもトランプ前大統領が出頭要請に応じる可能性がある」と報じています。
■トランプ前大統領 起訴されても大統領になれる可能性が!
アメリカの歴史上、大統領経験者が起訴されるのは初めてだということで、大統領選への影響について、関西テレビ・神崎報道デスクとお伝えします。
起訴によって大統領になれないのか、なれるのか。神崎デスクは「起訴されても大統領になれる可能性がある」とみています。
【神崎デスク】
そうですね。起訴されて刑事被告人になったら普通「大統領にはなれないだろう」と思われがちでしょう。しかしアメリカの憲法を見てみますと、あまり細かいことは書かれていません。大統領選挙に出馬できる要件は3つだけ。
①アメリカ生まれであること
②35歳以上であること
③国内に14年以上居住していること
この3つの要件しか書かれていません。大統領が在職中に起訴されても、選挙に出てはいけないという規定はありません。
【神崎デスク】
起訴されてしまって、刑事被告人になると、裁判はどうなるか。
今回起訴された、ニューヨーク州のマンハッタンの刑事事件では、起訴されてから実際に裁判が始まるまで1年以上かかります。今の時点で起訴されると、来年の大統領選のスケジュールからして、裁判が始まる前に大統領選のキャンペーンが始まり、大統領選が進んでしまいます。被告人のまま大統領候補になる可能性があるのです。
■起訴されたトランプ前大統領には“逆風”と“追い風”が同時に吹く
起訴によって選挙戦にどんな影響があるのでしょうか?
【神崎デスク】
『“逆風”と“追い風”が同時に吹く』
普通に考えたら、起訴は“逆風”になります。刑事被告人になるのですから。しかも起訴された事案が女性スキャンダル。ポルノ女優にお金を渡して口止めしたのではないかという内容です。すると女性票が逃げてしまって、かなりマイナスになると思われるでしょう。
【神崎デスク】
しかし“追い風”になる要素もあるとみられています。こちらに「支持率の世論調査」結果があります。
・2月15~16日、トランプさんの支持率は46%でした。
・起訴されるのではないかという報道が出て、実際に起訴される少し前の3月22~23日には、4ポイントアップして50%になりました。
なぜなのか、推測ですが、ひとつには起訴が民主党側からの政治的な圧力なのではないかという考えがあって、トランプさんのコアな支持者が、ここはみんなで盛り上げなければならないと、結束が固まったのではないかという話があります。
【神崎デスク】
起訴された後、トランプさんとしてはこれを踏み台にして、追い風にしていきたいということで、トランプさんの弁護士が「起訴された場合、自発的に出頭する可能性」を示唆しています。今在宅のまま起訴されていますので、出頭する必要はないのではないかとも言われます。しかし現地の一部報道では、「どんな出頭をしたらメディアに取り上げられるか協議中」であるといいます。あえて自分から出頭して、政権に虐げられている自分の姿をテレビに映して、全米生中継されて、各ニュース番組に登場することで、大統領選のキャンペーンになっていく。自分を盛り上げてもらえるよう、利用していこうという考えもあるんですね。
【神崎デスク】
普通であればこのようなことにはならないでしょうが、トランプさんだから、悪い話でも自分に有利に持ち込んでいくのですね。
今後、アメリカ大統領選がどうなっていくのか、注目です。
(関西テレビ「報道ランナー」3月31日放送)