【奈良県知事選挙】現職に新人5人が挑む“奈良県知事選挙” 過去最多の6人が立候補 “保守分裂”の状況 維新は大阪以外で初の“公認知事”目指す 4月9日投開票 2023年04月05日
4月9日に投開票が行われる奈良知事選挙です。数々の歴史遺産を抱えながら長年、大阪のベッドタウンといわれてきた奈良県。そのかじ取りを担う知事選挙に、過去最多となる6人が立候補しています。
■さらなる経済成長と安心して暮らせる奈良へ 平木省候補(48)【無所属・自民県連推薦・立民県連支持】
奈良県・香芝市出身で、1997年に総務省に入省、2019年からは岐阜県の副知事としてコロナ対策に当たるなど、長く地方自治に携わってきた、無所属で新人の平木省(ひらき しょう)候補(48)。
【平木候補】
「25年間務めた役所を辞めました。奈良県で仕事がしたかったんです。わたくしは若さと行動力、そして経験を持って働かせていただきたい」
平木候補は、毎朝、駅前で支持を訴えます。
【平木候補】
「1月の頭からやっていますけど、まぁ慣れはしませんね」
今回が初めての選挙。一人でも多くの人に顔を覚えてもらおうと、有権者に駆け寄って、あいさつをします。
【平木候補】
「命を守り抜くっていうのは、非常に重要だと思います。その上で、子育ての負担軽減、未来への投資、学研都市とか中小零細の技術を生かした成長実現をしっかりとやっていきたい」
演説を聞きに集まってきた有権者たちに強く訴えます。
【平木候補】
「経済成長を促し、安心して暮らせる奈良を目指します。奈良県をあと10年15年遅らせるわけにはいかないんです。日本のトップランナーにしたいんです」
「どうか平木省さんに皆様の力強い応援をよろしくお願い申しあげます」とビデオメッセージを寄せたのは、高市早苗経済安保担当相です。
平木候補は2014年、当時の高市早苗総務大臣の秘書官を務めていました。
平木候補は自民党本部に推薦を求めていましたが、見送られ、高市経済安保担当相が会長を務める、奈良県連の推薦のみを受けています。
■4期務めた知事としての実績掲げ5期目目指す 現職・荒井正吾候補(78)【無所属・国民県連推薦】
その理由は…現職の荒井正吾(あらい しょうご)候補(78)の存在です。荒井候補は、奈良県知事を4期・16年務め、今回、5期目を目指して出馬を決めました。
【荒井候補】
「私の最後の願いは、リニア中央新幹線の奈良市付近駅の県内の確定」
前回の知事選では、自民党奈良県連の推薦を受けていた荒井候補。今回は、平木候補と2人が出馬し、“保守分裂”の選挙に。
高市経済安保担当相が会長を務める、県連の推薦が平木候補に決まったことについては…
【荒井候補】
(–Q:自民(県連)の推薦が出ていないが?)
「政治はああいう(推薦決定の)経緯もあるんだなという受け止め方です。あまり感情的なこともありません、いろんなご判断があると」
選挙戦本番に入っての演説では…
【荒井候補】
「推薦・公認問題で、いま自民党(本部)はどちらにも(推薦を)出さないままで、選挙戦に入りました。その中で、森山自民党選対委員長から電話が入り、『みんな応援してるよ』と。ありがたいことでした」
荒井候補が掲げるのは、4期務めた知事としての実績です。
【荒井候補(今年2月・奈良県議会本会議)】
「脱ベッドタウンの成果が顕著に感じられるようになってきたと思います。企業立地件数や有効求人倍率は大きく伸びましたし、県外就業率も全国ワーストから脱却をいたしました」
そして5期目に向けて訴えるのは、東京から大阪までをつなぐリニア中央新幹線の駅を、奈良へ誘致することです。
【荒井候補】
「新幹線も空港もない県は日本に2つだけあります。山梨県と奈良県だけです。その山梨県には、リニア中央新幹線の工事が始まっております。奈良県は新幹線も空港もない唯一の県になってしまう…そのようなことは見過ごすわけにはいかない」
■ハコモノ行政を見直し教育の無償化を 山下真候補(54) 【日本維新の会公認】
この保守分裂に割って入ったのが、日本維新の会公認で立候補した、山下真(やました まこと)候補(54)です。
【山下候補】
「大阪では教育の無償化がかなり進んでおりますが、奈良県も少しでもこれに近づけるよう努力をしてまいります」
弁護士で、2006年から3期9年、生駒市長を務め、市の借金を減らすことなどに取り組みました。2015年に市長を辞めて、無所属で知事選に挑みましたが、惜敗。
今回は維新の公認を得て2度目の挑戦です。
【日本維新の会 松井一郎顧問】
「『橋下や松井、あんなこと言っているけどできるのか』って言うてね、僕らを批判していたこともある。でも、純粋な人ですから、12年やって結果つくってきたら『あれは間違っていたな』と。『やっぱり維新のやり方、一緒にやりたい』ということで、我々のチームに入ってきました。(大阪から)近鉄の特急で来れば、30分くらいかな。だからもっと大阪とコミット(関与)すればいいじゃないですか」
維新は大阪以外で、初の公認候補の知事誕生を目指しています。
–Q:今回、(追い)風は感じる?
【山下候補】
「8年前も知事選挙に出ているんですけど、その時と比べると、中南和(奈良県の中南部)、選挙区でいうと2区・3区の反応がいいように思いますね」
山下候補は、今の奈良県政をハコモノ重視と批判。しがらみのない政治を訴えます。
【山下候補】
「奈良公園のバスターミナル、建設するのに45億円かかっている。残念ながら、あまりお客さん来ていませんし、つくっても利用されないようなハコモノは極力つくらない。最初はフレッシュな気持ちで、志を持って市町村長になっても、みんな古だぬきのおっさんに取り込まれている。ぼくがもし(知事に)なったら、奈良県政の雰囲気だいぶ変わるんじゃないかと思うんですよ」
■自身の経験から…困っている人の声を政治に反映 尾口五三候補(72)【無所属・共産党推薦】
共産党推薦の尾口五三(おぐち いつぞう)候補(72)。大和郡山市議を4期務めました。
【尾口候補】
「皆さんの要望を聞いて、皆さんとともに実現をしていく、そういう奈良県政であってほしいと。小学生のころに生活保護を受給して、生活をしていました。高校入学すると生活保護は打ち切られて、中退をして働くことになりました」
自身の経験から、困っている人の声を政治に反映させたいと、市議時代には、健康保険料の引き下げなどを求めて活動してきました。
【日本共産党 小池晃書記局長】
「奈良県知事には、尾口五三さんを!人の苦労がわかる、試され済みの政治家です。開発大好き県政を変える選挙にしようではありませんか」
選挙の合間に弁当を食べながら話してくれました。
【尾口候補】
「何から食べようかなと思って。歩くようには気を付けています。健康じゃないと好きなボウリングもできないからね」
尾口候補は、現場の声を直接聞くよう心掛けています。この日は、コロナ対応に当たった病院で、医師や看護師らから改善して欲しい点をヒアリングしました。
【尾口候補】
「貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。この間コロナで大変だったでしょう、その辺の現場のお話を少し聞かせていただいて」
【尾口候補】
「一番は税金の使い方間違ってると思うんですよ。大型開発ばっかりやっているでしょう。あのお金があれば、教育や福祉、もっと良くなるはずなんですよ。庶民の立場に立って政治ができる政治家だという風に自分でも思っていますので、皆さんの願いを私に届けていただいて、私がそれを実行させていただく」
■観光業の活性化と教育の充実を 西口伸子候補(68)【無所属】
その他、2名が立候補しています。
観光業の活性化や、教育の充実などを訴える、無所属・新人の西口伸子(にしぐち のぶこ)候補(68)。
■企業誘致と子育て環境の整備を 羽多野貴至候補(43)【無所属】
もう一人は、企業誘致や、子育て環境の整備などを訴える、無所属・新人の羽多野貴至(はたの たかし)候補(43)。
投票日は4月9日で、即日開票されます。
(2023年4月4日放送)